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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゆきちゃんへ。

作者:

今朝思いついてパッと書いたので、おかしい所も多々あるかもしれません。但し、主人公がおかしいのは仕様です。理解しようとするだけ無駄なので、ただ笑い飛ばして下されば結構ですw






12月26日 夜


ゆきちゃん。


私の大切な、ゆきちゃん。


やっと、一緒になれたね。やっと、私を認めてくれたね。


大変だった。でも、終わり良ければ全て良しって言うじゃない? 今はゆきちゃんが側にいてくれるから、私はそれだけで幸せだよ。全く、初めて会った時のゆきちゃんったら、酷かったよね。第一声が、『キモい死ね』なんだもの。照れ隠しなのは分かるけど、でもね、私だって傷つくんだよ?


私のゆきちゃんは、運命の糸で結ばれてたの。だから、私とゆきちゃん、二人で一つ。私は不完全な存在だけれど、ゆきちゃんがいてくれる事で、私の存在は補完され、初めて完璧なニンゲンになれるの。ゆきちゃんだって、分かってるでしょ?


あ、喋らなくても大丈夫だよ? ゆきちゃんの考えてる事は、私、ぜーんぶ分かっちゃうんだから。


まぁ、どうせ今のゆきちゃんは喋れないだろうけど。


それじゃあ、今日はおやすみ。


ゆきちゃん。


これからは、ずーっと、一緒だからね。








12月27日 朝


おはようなんだよ、ゆきちゃん。あーあ、もうこんか時間かぁ。冬って本当、起きるのが大変だよねー。でも私、ゆきちゃんと会う為なら、あんな布団とかいう妖怪ごとき、簡単に倒しちゃうんだから。えへへー、私のゆきちゃんの力を合わせれば、どんな苦難だって敵ではないんだよ!


そ、そう、貯まりかけてる冬休みの宿題なんかも、私達にかかれば、屁でもないんだからぁ……っ!!


ねぇゆきちゃん。この世って、本当に理不尽だよね……。


……いや、なんでもないよ?


ゆきちゃんはずっとゆきちゃんのまま。ずっと変わらなくていいの。いや、絶対に変わらないでね?


……私を捨てて、逝くかないでね?


ごめんね、ゆきちゃん、私、悪い子だから。


……それでも、ゆきちゃんは良い子でいてね?


私の悪いのとゆきちゃんの良いので中和して、全部無かった事にするの。あっていいのは、私のゆきちゃんの愛だけなんだから。


ゆきちゃんは、冷たいね。でも大丈夫だよ、私が温めてあげるから。


私が持っていて、ゆきちゃんが持っていないもの。ゆきちゃんが持っていて、私が持っていないもの。


そんなものを共有して、混ぜ合わせて、溶け合って……。それって、とっても幸せなものだと思うから。


じゃあ、私は行ってくるね?


うん、冬季講習だよ、冬季講習。


私は一応、受験生だからね……。勉強するのが義務なの、ゆきちゃんだって分かってるでしょ? 勿論、ゆきちゃんと離れるのは寂しいよ……。でも、散々待たされてきた今迄に比べれば、一日待つことくらい、なんでもないんだから。


あー、めんどくさい。いっそのこと、塾校舎がバーンって爆発して吹っ飛んじゃえば面白いのに。そしたら、ポテチとファンタで一人宴会しながら延々と笑ってやるのに。


……心配しなくていいよ? 大丈夫、私はちゃんと帰ってくるから。


本当に塾を爆破なんてしないから。


てか、するような器具もないから。


だから……。


……私を捨てて、逝くかないでね?








12月29日 夜


はぁ……。ゆきちゃんは、私のただ一つの癒しだよ。


だって聞いてよ? みんな酷いんだよ、私を頭のおかしい子扱いして。みんな私を避けるの。先生でさえも。何で、私が何をしたって言うの?


でもいいよ。私にはゆきちゃんがいるから。


あんな有象無象なんて、気にするだけ無駄だもんね。


あぁゆきちゃん、あなたはなんでこんなに天使なの? 見ているだけで、私の存在が浄化されていく気がするよ。


あんな奴らとは大違いだ。


みんな、何を目指してるんだろ。何であんなに焦っているんだろう。


私のもう受験生だし、ちゃんと進路の事も考えなくちゃとは思うけど。でも何かね、馬鹿らしいの。ゆきちゃん以外の全てに、価値があるなんて考えられないの。


何が将来よ、馬鹿馬鹿しい。私はもう、ゆきちゃんのお嫁さん……。いや、お婿さんかな? になるという唯一の目的を果たしたんだから。それ以外に、何を目指して生きろって言うの?


でも、理屈では分かるんだよ。私はちゃんと、ゆきちゃんを養って行かなくちゃならないんだから。


あ、ゆきちゃんはいいんだよ? ゆきちゃんみたいな天使、私以外の人間に会わせる訳にはいかない。だって、穢れちゃうもん。


いい? ゆきちゃんは、天使なの。天使は穢れちゃいけないの。じゃないと、ちゃんと中和出来ないから。


だから私、ちょっとだけ頑張るね。


……あぁ、そうだ。別に、頑張る必要もないのかな、死んじゃえば。


二人で一緒に、こんな世界とおさらばしちゃえば。


でも、ちょっとだけ怖いんだ。死ぬ事が。そして、死んだ後、私達がちゃんと一緒にいられるのかって事が。


だから私、もう少しだけ、ずるずる頑張ってみるよ。


来年からね!


冬季講習は、今年の分はもう終わり。明日からは、ずっと一緒にいられるよ。だから、ゆきちゃん成分をちゃんと補給しなきゃ。


明日が楽しみだね!


おやすみ。








1月1日 朝


あけましておめで豚骨ラーメン!


出落ち? 出落ちかな? 私の新年初滑りかな? 縁起でもない、受験は滑ってなんかやんないんだからね。


ってわけで、おはよう、ゆきちゃん。ん、どうしたの? 身体が崩れかけてるよ?


……………チャント直サナキャ。


はい、よし、よくできました! 私に花丸! ゆきちゃんも、ほら、ありがとうって言ってみて?


……………。


照れちゃって、可愛いんだから。


さて、今日は元旦! 初日の出の時間には間に合わなかったけれど。他にも、初詣という大事なイベントがあるのです。合格悲願もしなくちゃね。ロクに努力もしないのに願掛けなんて、バチ当たりにしか思えないけど。


ちゃんと勉強しますので許して下さいね、明日から!


ふんっ、ゆきちゃんが可愛い過ぎるのが悪いんだからね。


そしてそして、お正月と言えば、このおせち料理。各料理には色々な謂れがあるらしいけど、美味けりゃいいんだよ、美味けりゃ。ゆきちゃんの好物は数の子だったよね。


はい、あーん。よく噛んで食べてね。


……うむ、この昆布は美味い、利尻産か。対して、このエビはパサパサしてカロリーメイトのようだ。ベトナムらへんから輸入した養殖モノか。


知らんけど。


もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、ごっくん。


それじゃあ、そろそろ行くとしますか。


じゃあ、ゆきちゃん。


今年もどうぞ、宜しくね!









1月1日 夜


ゆきちゃん……。私、分かったよ。外の人間は敵ばかりなんだね。みんな、こっちを見てるの。そして、こう囁いてるの。


アイツは、ユキを──。


ねぇ、私は悪い事をしたのかな。ゆきちゃんからも許され得ないような、とびっきり悪い事を。みんな、私を責めるんだ。ゆきちゃんも、私を責めるの?


そしたら、私──。


……そうだね、ごめんね。ゆきちゃんは今、喋れないのに。


なんでもないよ。


今日はもう……おやすみ。








1月3日 夜


ねぇ、ゆきちゃん……。


ゆきちゃんは、無くなったりしないよね? ゆきちゃんは、私の前から、消え去ったりしないよね? でも、ごめんね。私じゃもう……。ゆきちゃんを、直せない。


だって、ゆきちゃんが悪いんだよ? あの時、ゆきちゃんがちゃんと、私を──。


……ねぇ。私はいつまでも、ゆきちゃんの味方だからね。


味方、だったんだからね。


でも私は絶対に、ゆきちゃんの側を離れたりしないから。


……なぁんて、辛気臭い話はここまで。


今日は三が日。私の感覚としては、ここまでがお正月っていう感じ。駅伝ラッシュもここで終わるし。元々は15日までみたいだけど、15日ってもう学校始まってんじゃん。そこまで正月気分でいる人なんているのかな。やっぱり、大抵の人が3日くらいまでをお正月として認識してるんじゃないかなぁって思う。


そういえば、最近知ったんだけど、初詣=1月1日に神社に参る事って訳じゃないんだね。そりゃあ、初詣って年明けて初めて神社に参る事を言うんだろうけど、みんな元日に行くから、いつの間にか初詣=1月1日のイメージがついちゃってたんだろうね。


1月3日になった今でも、神社は初詣と書かれた看板を高々と掲げたままだし。


……………。


それじゃあ、おやすみ。


大丈夫、明日には、ちゃんと笑えるようになってるから。









1月6日 朝


早いもので、冬休みも今日でおしまい。冬休みの宿題はまだ終わってないけど、残ってるのは国語のだけだし、何とかなるかな……? どうせ若竹先生だし。


冬休み。


ところで、中学生最後の……とつければ、何でも大切なもののように聞こえる。中学生最後の運動会。中学生最後の始業式。中学生最後の、1月6日。別に、大した意味はないけど。一日一日が何だか仰々しく感じて、少し窮屈になる。


ゆきちゃん。


特別な時間。特別な人。


私が喪った。私が奪った。


私はもう離れたくないんだ。


怖いんだ、全部。だから何も、知りたくない。何も、考えたくない。それはただの現実逃避。


私は……。


幸せになりたかっただけだった。みんなが当たり前に手に入れるかもしれない幸せを、ただちょっと手に入れてみたくなっただけだった。だって、幸せっていうのは、ごくありふれたものじゃない。何で私だけ、こんなに苦しまなきゃいけないんだろう。


そんなに大層なものではない筈なんだ、幸せって。街を歩けば、色んな所から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。幸せのかけらたち。それは、みんなが持ってるモノ。私だけが持ってなくて、だから焦って、焦って、私は間違えた。


私は、大きな間違いを犯した。


そして現在も、間違いを犯し続けている。


そうまでしても、守りたいものがあるから。


そうまでしても、手に入れたいものがあるから。


ねぇ、ゆきちゃん。


私はあなたが大好きだ。私はあなたを愛している。けれど、ゆきちゃんが私に愛を囁く事は、未来永劫無いだろう。何故ならば、その僅かな可能性は、私がこの手で摘み取ってしまったのだから。


悪いのは全部私だ。ゆきちゃんは、何の罪もないただの天使。えへへへ、私の天使なんだ。その外面がどんなに汚れようとも、どんなに崩れようとも、天使は天使のままだ。だって、ゆきちゃんは天使だもん。


中学生最後の1月6日。何の変哲もないけれど、特別な今日。今日は、ずっと一緒にいるからね。今日もずっと、間違いを犯し続けるからね。許してとは言わない。私は自分が間違ってるって分かってるから。でも、それでも、側にいてよ。


だって私は、あなたが大好きなんだから。








1月7日 放課後


ただいま、ゆきちゃん。


みんな心配してたよ? どこ行ったのかなぁ、大丈夫かなぁって。愛されてるんだねぇ、ゆきちゃんは。勿論、この私が一番、ゆきちゃんの事を愛してるんだけどね?


中学生最後の始業式。今日は、本当に特別な日だった。校長先生まで、ゆきちゃんと事を話題に出して、心配してるって言ってたよ。体育館の中だけ、重力が何倍にも増幅されてる気がしたよ。みんな、悲しそうなカオしてさ。私は、笑いを堪えるので必死だったけどね。


単純なことなのに。ゆきちゃんはみんなのモノじゃなくて、私だけのモノになったんだ。


そして、それを知ってるのは、私だけなんだ……。


ピンポーン。


突然、我が家のインターホンが、軽快に鳴り響いた。一体だれだろう? 我が家を訪れるような人なんて、誰もいない筈なのに。


すると。


「警察だ。中に居るのは分かっている。大人しくドアを開けなさい」


そんな渋い声が、ドアの向こうから聞こえて来た。


……。


…………。


はぁ……。そうか、もう終わりか。そりゃあ、誰だって不審に思うか。今回の事件の容疑者を挙げろと言われたら、私だって、私以外の誰も思いつかないや。常にゆきちゃんに付き纏い、迷惑行為を繰り返していた私しか。


いいさ、いずれこうなるって分かってたんだ。悪い子にはこんな終わりしか齎されないって分かってたんだ。もう詰んだ。私は大人しく退場しよう。


ゆきちゃんの眠るベッドの真上。穴の開いた天井から、先っぽに輪っかのついた縄がぶら下がっている。私は黙って、縄に手を伸ばす。ごつごつした感覚が、何故かよく手に馴染んだ。


どうせ私が死んだって、私はゆきちゃんと一緒にはなれないだろう。それはそうだ。例え来世なんかがあったとしても、私じゃ到底天国には行けない。でも、あはははは、何だろう。不思議と、愉快な気持ちだ。腹の底から笑いが込み上げてくる。自分が滑稽過ぎて。ねぇ見てよ。私って、なんて馬鹿らしいんだろう。なんて惨めなんだろう。これが笑わずにいられるか。


笑いは最強。笑えば幸せ。笑いは私の自己防衛。だから笑え。笑えば全てが馬鹿らしくなる。あ、そうか、そもそも、私はゆきちゃん以外のものに価値を見出してなかったね。でも、そんなゆきちゃんとも、もうお別れだ。価値なんてもの、初めから存在してなかったんだ。価値なんて、幸せを追い求めていた私が作った、ただの虚像だったんだね。それなら私の人生は、最初から笑いで構成されていた訳じゃないか。何と幸せな人生だろう。あっはっは。


「おい、居るんだろう?! 早くドアを開けなさい!!」


ガンガンガン。


濃紺色の兵隊アリは、しつこくドアをノックする。ノックは徐々に激しくなり、もはやドアは舞わないサンドバックと化した。早くしないとこのドアをブチ破るぞ、という意志がまる見えだ。短気な奴め。ただ、残された時間はあまりないようだ。


……私はただ、愛されたかっただけだったのに。私はどこで、人生を間違えたんだろう。でも、もう終わりだ。私は愛されないまま死ぬ。例えこのまま生き続けても、私が誰かに愛される事なんてないだろう。


……それとも?


ねぇ、画面の前のあなた? 私の独白を覗き見て、ただ感傷に浸ってるだけのあなた?


あなたは、こんな私を愛してくれる?


……愚問だったね。


そろそろ時間かな。ちょっとだけ怖いけど、でもいいの。私なんて、生まれて来たのが間違いだったんだから。でも、最後はせめて、笑って逝こう。最後まで、私は狂った道化を演じ続けるんだ。


本を積み上げて足場を作ったら、それによじ登って、首に縄を掛ける。そしたら急拵えの足場は蹴っ飛ばして、私はめでたく宙に浮く。あぁ苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい、今にも首が千切れそうだ。だが毒島融子、これがお前の罪の重さなんだ。


あははははははは、ねぇ。世界は、こんなにも楽しい。楽しいんだ全部、馬鹿だ、馬鹿馬鹿馬鹿。馬鹿だから救いようのない。救いようのないから、世界ってこんなにも素晴らしい。ごっちゃごちゃのぐっちゃぐちゃ。全部掻き混ぜて、全─部塗り替えて、見てごらん、これがセカイなんだ。


視界が霞む。意識が遠のく。何だか心が軽くなって、全ての罪が赦された気がする。そんな事はないと分かっていても、この感覚は、とても気持ちのいいものだった。


……それじゃあ、全世界のみんな。


──ばいばい。














***事件報告***


19××年1月。○○県△△市の民家で、折野雪枝(15歳)の殺傷死体が発見された。容疑者は毒島融子(14歳)。自宅に被害者を呼び出し、電気コードで首を締めて殺害したと見られる。検死の結果、遺体は死後2週間前後と判明。遺体は裸の状態で容疑者のベッドに安置されており、性器周辺の損傷が激しかったことから、死後何らかの陵辱を受けたことが推察される。なお、容疑者は警察が自宅に訪問した際、首を吊って自殺。被告人死亡により、本事件の捜査は完了。


なお後日、本事件の容疑者が以前、親殺しの嫌疑をかけられていた事が判明。容疑者の両親は□□山の展望所から転落して事故死しており、現場に容疑者も存在していた事から、嫌疑がかけられた模様。当時の容疑者には、日常的に虐待を受けていた形跡があり、親への不満が爆発して犯行に及んだ可能性がある。もしこの嫌疑が事実ならば、容疑者は、おそらく──




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[良い点] 主人公の独白に込められた痛切な思いに破壊力がありました。 [気になる点] 誤字の多さが少し気になりました。 [一言] よかったです。少し文章がおかしい部分がありますが、物語全体を通してイン…
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