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異世界不本意戦争記  作者: 枯木人
内政編
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小姑チェック

「……それで、私たちは何を見せればいいのかしら……?」

「お嫁さんとしての力を見せる……つまり元気な子どもを産むことが出来るかどうか? そうなると殿方の望みを叶えることが出来る力が問われる……すると。い、妹さんの前で露出プレイ……とか、ですか?」

「ディアはどうしてしまったんだ?」


 平塚は小鳥を抱えながら自分もどうしたらいいのか分からない状態で小鳥を見ている。因みに平塚がモテなかった理由として小鳥が挙がるくらいなので過去の小鳥チェックを突破した者はいない。


(それと、ポーションとやらが何なのか非常に気になる……あの人? たちのだから何が起きても不思議ではないが……何が起きるのか分からない不安が本当に怖い。)


 人間が最も恐れるのは未知だと聞く。まさしくその恐怖の権化である存在から渡されているらしいポーション。会って間もない平塚でもそのポーションを地面に垂らしたら過去の死人が全員いきなり蘇って生者を襲うくらいは普通にありそうだと思ってしまう代物だ。


(もう来ないって言ってたのに、本人は来てないのに、どんだけ場を乱すんだ……)


 尤も、その得体の知れないポーションも使われなければいいのだ。フロワとディアに頑張って貰えばいい。ファムに刑を執行され、マリアに甘やかされている松田のことを尻目に手持無沙汰に待機していると冷静状態に戻った小鳥から指令が下される。


「では、コミュニケーション能力から。何でもいいので会話してください。それを見て私の方で点数をつけます。」

「え、いきなり丸投げ……」

「スタートです。」


 スタートと言われてもどうしろというのか。先陣を切ったのはディアだった。


「あの、そう言えばここに来た用事なんですが……親方が率いる工作部隊の予算が嵩んでいるみたいです。特別会計を他に組むか抑えるように通達したいのですが。」

「そうだな……あの特訓の所為で。いやお蔭でか。効率のいいやり方を学んだからなぁ……他の部隊も練兵に金掛かるようになったしどうするか……」

「収入を増やすための政策を行っていますが、それがまた財政圧迫してますし……」


 地獄にも思われるトレーニングの結果、現在の環境がぬるすぎると危機感を抱いた将たちが仕事を開始したため、金がかかるようになってしまっている。しかし、現在は内政に力を入れているのでそちらに回す分が減少気味なのだ。


「普通の兵でも破損報告なんかでいっぱいだが、特に工作兵は……おいそこで遊んでるの!」


 ある程度考えをまとめながらそう呟いていた平塚だが、マリアと遊んでいる松田からも考えを聞こうと声をかける。するとデレデレだった表情を一転させて松田は平塚を見た。


「あぁん? 幼女との戯れの時間を邪魔するなんざいい度胸してるなこら。話なら聞いてたぞ。予算内でやりくりしてもらうことと周囲にゃまだ森があるだろ。アレを開拓してもらうついでに資材にでもして貰えばいいじゃん。」

「……まぁやっぱりそんなところか。ただ、切り過ぎないように報告を入れてもらおうか。はげ山になられても困る。」


 河の増水や土砂崩れなど治世のことも考えながら割とまともに出された松田の案に修正点を加えてディアに報告すると彼女はメモを取って次に移った。


「わかりました。では次の報告なんですが、北方交易に関して国内の民草よりもう少し輸入品を増やしてくれないかという要望が入ってます。」


 平塚は最近、税収が上がっていることを踏まえて腕を組んで考える。


「んー……国が豊かになり始めてるのはいいことなんだが……コントロールできる範囲内でやらせないとな。因みに求められてるのは?」

「海産物ですね。今、城下街ではブームでそれが他の町に広がっています。」

「それならいいが、不穏な動きとかはないのか? こちらからの輸出品に鉱物が混じってるとか。」

「……特には。これまで通り農産物や木材が基本ですね。」


 ディアの報告では網に何もかかっていないようだが北の国は天才と称される人物が治めている国だ。身内さえも欺いた男の言葉は鵜呑みに出来ない。


「まぁ、あんまり同盟国を疑うのも良くないか……他国と言えばニード山脈の方はどうだ?」

「……相手は基本的に軍事国家ですので軍備増強は行っているのですが、それがこちらと一戦交えるための物かどうかまでは捕捉できていません。」

「そうか。やはり軍事増強はこのままペースを緩めずに進めるべきか……あぁ、話を戻すとアレだ。輸出入に関してはこれまで通りの品目であればある程度緩くしてもいいようにしておこう。」

「畏まりました。」


 そこで話はいったん途切れることになるのだが、黙って聞いていた小鳥が口を挟む。


「……まぁまぁですね。10点満点で6点ですか。」

「……評価基準は?」


 6点でまぁまぁって厳しくないだろうかと思いつつ平塚が小鳥に尋ねると小鳥は平塚に抱えられながら答えた。


「良かった点はきちんと兄さんの役に立てている所、そして家計を握っている時の状態が予想できる話しぶりだったことです。悪い点はコミュニケーションを取ると言ったのに仕事の話しかできなかったことですね。家庭の中で仕事をするということは悪いこととは言いませんが、度が過ぎるのは休めていないと言うことに繋がるので減点です。」

「……割とまともな評価だった。」


 自分の記憶をたどると結構なブラコンだったはずの小鳥だが平塚が死んだことで治ったのだろうか。死ねばブラコンも治るんだなと変なことを考えていると今度はフロワが挑戦する。


「今日も仕事頑張ってくれたようね。」

「まぁ、それが俺の役目だからな……」


 寸劇をやっている気分になってしまうが、それはそれとして先程の態でいいのかと平塚はいつもの仕事の話を開始する。


「ところで、王宮の方は最近どうなってるんだ? 進展があったら話してくれるって……」

「……聞きたい? ちょっと、大変なことになってるけど……まぁ、悪いようにはなってないけど、聞くと軽い疲労感に襲われることになると思うわ。」

「……片付けたか、何か手伝いが必要になったら言ってくれ。」


 フロワの姉の一人、ネイトという王女がいたことを知り、それを洗っている内にこの前の平塚達が追放された後の王家の大掃除を行って何食わぬ顔で仕事を全て妹と平塚達に、そして権力を全て兄に押し付けて引き籠り生活を送っていることが分かった。

 政務的にとても有能だがやる気皆無で楽することだけを追求している彼女を何とか働かせようと最近苦心しているところだが、相手は王族であり尻尾も出さない。状況証拠のみでフロワに説得をお願いしているのだ。


「ネイト姉様を執務に引き摺り出せれば落ち着いて二人の生活も始められるものね。」

「許すかぁっ!」

「松田さん、良い所なんで黙っていてください。そちらの甘やかしている方は松田さんを退出させてください。」


 マリアによって退場させられる松田。小鳥はこの後も同僚カップルのような付き合いの話をするフロワと平塚に7点をあげてコミュニケーション能力のテストを終了した。


 そこに至ってようやく平塚は何で自分の恋路をもうこの世界に来ることもない妹に左右されているんだろうと思ったが、まぁ自分にとって悪い待遇が来るわけでもないのでいいかと今のところは黙っておくことにした。




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