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特訓開始

「じゃあ、まずは……いきなり魔道兵が入った戦争は難しいと思うから君らの世界の近代部隊で戦争の練習しよう。」


 黒髪の青年はそう言って手を叩き、この場に何名かの軍人らしき人々を召喚した。


「こいつらは……俺この前日本でVRMMOとして異世界に精神体だけ人を飛ばす装置を作ったんだが、日本は戦争を再開するつもりだとか技術の独占がどうのこうの五月蠅いからガワは全く同じで精神だけ入れ替えて持って来た奴ら。」

「つまり、あなた方の世界の人たちの全盛期の姿です。」


 ヴェネチアンマスクを付けた美女がそう告げるのを聞いて平塚は難色を示す。


「それって……大丈夫なんですか……?」

「文字通り神隠しだ。大丈夫。元の世界には温厚な人格者の精神で溢れることになるから。それに余程独善的なこととか自己主義すぎること、また頭おかしいこと言ってなければこっちの世界に連れて来てないよ。」

「……そんな頭おかしい人たちの統制は取れるんですか……?」


 平塚の質問に創造神は頷いた。


「そこが腕の見せ所。元々理由があって戦争する奴らばっかりなんだからそれをまとめて士気を上げるのも指揮官の役目。何の理由もなくて嬉々として戦争ができるのはよほどの愛国者か君ら基準で頭がおかしい奴か。まぁごちゃごちゃうっさいな。さっさと始めよう。」

「えぇと……」


 平塚が困惑してこちらを見ているとある男と目が合って彼はここにいる全員の気持ちを代弁するかのように声高に叫んだ。


「おい、そこのジャップ!聞いてんのかテメェ!ここはどこだ!俺た」

「日本語上手だね。でもムカつくから死ね。」


 無造作に、その男の頭部は弾けた。血と脳漿が辺りにシャワーのように降り注ぎ、悲鳴が上がる。


「こっ……この野郎……!死ね!」


 マズルフラッシュ。連続する発砲音に対してあり得ない着弾音。煩わしそうに目の前の青年が手を振るとその彼の体の一部が砂になり始め、崩壊する。


「……まぁ、基本的にアレだ。ここにいる間は練習だから君の方で彼らの復活に対するオンオフ昨日はつけられるから肉体は大丈夫だよ。精神は……ムカつくからどうでもいいや。」


 青年はそう言って笑う。そして軍隊の名簿を渡してきた。


「100人までは意思排除した部隊を作れる。あ、それで悪いけど……君の祖国の日本の軍は殆どいない。つーか君の国の連中は少ないよ。変な市民団体とかいう奴らが結構いるけど……まぁ、練兵から頑張るのならオススメかな。ここにいるのは権利ばかりを訴えて義務を履行しない奴が多いけど。」

「言語って……」


 抗議をしても始まらないと判断した平塚はリストを見ながら重要な問題を尋ねる。青年は頷いた。


「全部サガリッシュで統一してあるから大丈夫だよ。で、最初の戦いの目標はそうだね……ここにいる『クワトロシスターズ』が指揮官の軍を突破して俺の所に来ることかな。」

「期間は……?」

「好きにしな。……ただ、そうだね。6か月過ぎたらこっちも訓練を始める。神々の使徒として動ける、国崩しの連中を量産するから。」


 実質的な期間は半年のようだ。


「兵站は……」

「今回は無限。そのリストにある武器の範囲内であれば要求すればいくらでも出て来るよ。で、決まった?」


 平塚は悩んだ。


 軍、というよりもカテゴライズ的にここに来ている面子の中で一番多い数の集団は個人的に面倒そうだ。と言うよりも、自分たちが知っている状態と違うようで日本人は敵と見做しているらしい。


 五月蠅いので既に何回か殺され、目の前の青年の力によって復活しているのではなく自分が優れているから復活していると思っているのか騒がしい。


「……100人で、抑えられる規模……数の調節とかはどうすれば……」

「あいつらウザいな……」

「消し飛ばします?」

「ギリギリ死なない程度に延々と痛めつけましょうか?」

「……いや、まだ平塚くんが使うかもしれないから『自聴他黙』……」


 口汚く罵ってくるような連中を使う気にはならなかったが、数だけを見ると優勢に見える彼ら。

 平塚はその武器リストを見てその連中は使わないことにした。


「武器が粗悪品の可能性が5分の3……」

「何かムカつくから。それに実際そんなもんだし。」

「えぇ……槍とか、剣とか、弓ですよ……?それくらいなら……」

「ファンタジーの武器舐めんな。『呪刀』……こんな感じだぞ。」


 この場にいた人間が吹き飛んだ。しばらくしてそれは復活させられるがその威力に平塚は目を疑う。


「これ、失敗したらどうなるかな?さて、もうどうでもいいけど早く選んでくれない?選ばなかったらこっちで適当に選ぶ。」

「じゃ、じゃあこの多国籍傭兵団で!」

「うむ。それじゃ、始めようか。」


 拘束していた人物たちから選ばれた軍は夜鷹を意味する名を冠した傭兵1000名程度だった。平塚にはその文字が読めないので夜鷹と呼ぶことにする。


「こっちはここから何人くらいで行くかな?」

「200人で十分です。」

「それじゃその他は適当に解散。勿論、死にはしないが飢えると思うだろうから頑張って略奪や森の中で頑張って生きろよ?さて、平塚君。俺らはあっちの方にいるから。樹海降臨。」


 青年たちが消えると樹海が現れ、デスゲームが始まった。武器こそ持っていないが大量の人間に対して平塚は目を据わらせて相手を見据え、黒兎耳幼女をじっと見て黙っていた松田に告げる。


「魔法、使えるか?」

「……一応、な。」

「まずは牽制だ。」


 誰かが主導権を握る前に平塚は行動を起こす。まずは松田による上空の大爆発でこの場での強者は誰なのかを示し、集団に広く声を伝える。


「敵対すれば、容赦なく殺し、復活させない。」

「あ、悪魔だ!神敵だ!」

「鬼子!」

「戦争は止めてー!」

「薄汚い土人が……!」

「チョッパリは死ね!」


 平塚は騒ぐ奴らを見せしめに殺しておく。そしてなるべく全体に見えるように松田に空へと浮遊させるように言って全体を睨みながら告げた。


「我が軍に編入した場合は食料等の確保は約束できるようだ。しかし、他は我々の知るところではない。服従か逃亡か、選べ!」


 そう言って無限の兵站の中から防衛陣を選択するとその砦の中に洗脳済みの夜鷹の中でも屈強そうな傭兵100人、そして夜鷹の他のメンバーを連れて入って行く。


 この後、幾度かの戦闘の後に平塚たちの軍は4万まで膨れ上がった。




 そろそろ中盤に入ります。

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