一方その頃
「では参りましょう。」
私はヒラツカ達を置いてアヅチ族の領地から勢いよく出た。…それにしてもヒラツカ達はよくあんな恐ろしいものを食べれたわね…
魚は生だし…骨と頭だけなのに口とか動いてるし…酷い時は体がびくんってしてるし…その上に自分の身を乗せられた魚の目が…うぅ…しかも何だか元が何なのか分からないものとかあったし…
まぁ、あの黒いのは不気味だったけど、付けてみたら美味しかった。醤油はいいものだと思った。…緑のアレは要らないけど。
「幼女様大丈夫ですか…?」
「…ヒラツカには後で良く言って聞かせないと駄目ね…」
このディアという少女は私と大して変わらない年齢…というよりヒラツカも大して変わらないのに何が幼女よ…私はもうすぐ10歳よ?二桁に達そうというお年頃なのに…
ヒラツカは多分1…5?16くらいでしょ?人の事幼女呼ばわりできる年齢じゃないと思うわ。
この子は…む、胸が大きいだけだし、そんなに離れてないはず。1…7?まぁヒラツカと大体同じくらいでしょ。(正解は2歳です)
「王妃様心配ですね…」
「…?あ、あぁ…あなたあの話の流れを読んでなかったのかしら…?」
幼女様がディアのことを考えているとディアが心配そうに幼女様の顔を除いていた。
「話の流れ…ですか?」
「…もしかしてあなたあの話を信じてるの…?」
幼女様はアヅチ族の族長と思われる人物の話を全く信じていなかった。常識的に考えて空間を超えるという魔法があるわけがない。
また、この範囲の自称を全て知るほどの力があればとっくの昔にクリーク王国を飲み込んで大陸に覇を唱えに行っているだろう。
なのでノブナガの話を彼女はこれから先は責任者は要らないという点だけ読み取って自国に帰っていたのだ。
なので、実際何の心配もしていなかった。その旨をディアに伝えるとディアは首を傾げた。
「…じゃあ最初の話はなんだったんですか…?」
「何かの暗号じゃないかしら?特定の言語を知っていれば通じる…時々意味がよく分からない言葉が出てたから…」
地球のある世界の固有名詞はこちらでは通じないだろう。何せ存在しないのだから。
「…何を話していたのかよく分からないけど…私はヒラツカを信じてるし…」
それに、第4王女の婿とはいえ、王族。しかも軍事に関してのトップと内政に関してのトップを兼任しているのはヒラツカ一派だ。ほぼ彼らの国の様なものであるのに妙な真似をする必要もない。
そんなことをフロワは考えていたが、ディアは隣で微妙にむくれて反論して来た。
「む…その点はディアの方が信じてますけどね…」
「…あなたより私の方が先にヒラツカと会ってるわよ?」
その件に関してはいい加減白黒つけようか?といったばかりに幼女様はディアの視線を馬上で受け止めて反論する。
「付き合いが長ければいいってものじゃないですよ?」
この後も呑気に二人はクリーク王国へと馬を走らせた。
「フム。俺は今そんな風になっておるのか。」
「伐折羅っていうゲームや双無き者ってゲームじゃもう、本当に魔王役でしたよ!声も渋くて…」
「フハハハ!悪い気はせんのう…」
その頃酒宴の方では松田による日本の現在の話で盛り上がっていた。松田が話を一手に引き受けて盛り上げている脇で平塚は色んな考えに思いを馳せる。
「大丈夫かな…」
平塚はノブナガの言うことを信じていた。何せ嘘を言う理由がない。話をするのであればフロワがいても問題はなかったのだから。
そして一度不安になると様々なことが思い起こされる。例えば、フィロド将軍とファンテ男爵に任せた北のヴォラス戦など…
「…ファンテ様。どうなさいますか?」
フィロドさんが決めればいいだよ…何でオラが…一応言っておくけどよう…
「ヴォラス軍は基本的に戦争したことないから、まずは戦場ってことを頭に叩き込む…とか。」
「うむ。私もそれが良いかと。」
考えてたなら何でオラに訊くだよ…オラ大元帥様の受け売りくらいしかできないだ。
ファンテは軍を率いるにあたって、ヒラツカが覚えている限り書いた兵法書をすべて頭に叩き込んでいる。
高い身分なのだから失敗したらマズイと思いそれはもう必死にやり遂げた。その結果、彼は戦争の名前だけで何ページのどの辺にあるのか、また戦況や戦局の運びなど全てを暗記するに至っている。
彼も自覚はしていないが才ある者なのだ。
「では、初戦はクリーク王国の話を聞いて戦争すれば簡単に砦を落とせると勘違いした馬鹿どもを完膚なきまでに砦から叩きのめしましょう!」
「…多分、戦車隊の突撃の方が…」
アレを見た時オラほんとにびっくりしただよ。アレで戦意を削るのが…
「フフフ…」
うわぁ…この狼人さん笑うと怖いだ…
「いや、素晴らしい。失礼ながら一兵卒上がりという事で少々試させてもらいました。流石大将が見込んだ人だ。その戦術眼でしたら大丈夫ですな。」
「あーその…」
「その通りです。まずは出鼻を挫いてやりましょうぞ!」
ひ、人の話を聞いて欲しいだよ…
「我が命預けさせてもらいます!伝令兵!」
「はっ!」
そんな重い物要らないだよ…オラこれ以上色々抱えたくないだ…
ファンテ卿はそんなことを思いながら明日から始まる本格的な戦に向けて様々な策謀と準備を始めた。




