辺境滞在中…
話を要約するとこういうことらしい。
本能寺の変で隠し通路を抜けるとそこは知らない世界だった。信長さんは最初異国の地に何らかの現象によって飛ばされたのかと思ったが、明らかにおかしな空間の中で男が異世界という概念を教え、魔法などを教えたらしい。
妖か?幻術か?などと思ったが、それはそう言うものだと受け入れたらしい。…流石革命児。
それはともかく、天下布武したばかりな上、裏切り者に目に物を見せてくれると意気込んで元の世界に戻ろうと画策。
ついでに魔法を使ってみて姿形や声などを少々変えたらしい。
それで、男から習った【闇魔術】の【空間魔法】をやってみて…失敗したとのことだ。代償として関わった者は皆特定範囲内で不老長寿。具体的に言うと正妻のお濃の方、黒虎の印象を受ける黒人の弥助、忠臣森蘭丸、それに長男の信忠がそうなったらしい。
その時に不完全なりとも異世界への門が開き、日本から人が流れ込んで来たとのことだ。
そして聞けば時代はすでに流れており…明智軍は秀吉に負け、その後は徳川家が支配。そして明治時代に入ると外国との戦争に勝ち、日本が凄いことになっていると知った状態らしい。
それで、そこから先どうなったかを俺らに訊きたいそうだ。なので昭和恐慌の後日本が国際連盟から脱退し、日独伊で三国連盟を組んだ後、太平洋戦争に突入し、連合国がイタリアとドイツに行っている間に日本は太平洋の半分近くを占領したがイタリアの降伏、ドイツの降伏で米軍が来ることで負けたことを言った。
そこから先の復興についても話し、ディアや幼女様、ファムが話題が全く分からないと言った顔をする中、日本史の授業的なことを行った。
それが終わるとノブナガさんは憮然とした。
「なんじゃ、戦はもう終わったのか。面白そうじゃったのだがのう…」
「…紛争など色々問題も残ってますけど日本が直接的に戦争しているという時代は終わりましたね。」
「まぁよい。今の時代のコンクリートジャングル?とかいうものや経済にも面白そうなものはあるからのう。見て見たいわ!のう蘭丸。」
「ご随意に。」
話に上がっていた蘭丸さんが声を上げたらしいのでそちらを見ると…何とも中性的でクール系の美形になっている。そして髪が長くなっており、後ろでポニーテールの様にリボンで結ばれていた。
勿論、髷ではない。どこからどう見ても純日本風の美少女だ。…ただし、この人男だよなぁ…
声も今聞いた感じ何か男と女の境目みたいな声だから分かり辛いけど…
「あのー…質問があるのですが…」
「おう。言ってみるがいい。」
そんな風に蘭丸さんに見惚れていると松田が質問の為に声と手をあげた。ついでに幼女様に俺も別の意味で手をあげられている。
「信忠さんは確か二条御所から援軍に向かって途中で自刃されたとの報を聞き明智軍を迎え撃ったのでは…?」
「あぁ、よう分からんがそうらしい。死んだと思った瞬間に俺の目の前に来ておって『父上…申し訳ございませぬ。』と言ったよ。」
楽しそうにそう言うと流し目で一方面の人を見た。…またイケメンで…
「因みに言っておくと奴の隣にいる女性は下方弥三郎じゃ。欠損の酷い死体でこちらに来おったが先ほど言った男の手によって全て復活し、性転換しおった。」
「…大事な部分が欠損してませんか?」
「ハッハッハ。別に良かろう。体内に収納されただけじゃしのう?」
「大殿様。その儀は本当にありがとうございます。」
…色んなところで色んな人が大変そうだなぁ…そんなことを思っている最中だった。突然、宴の最中に人が入って来てノブナガさんに報告を入れた。
それを聞いてノブナガさんは顔を顰め、そして幼女様に向かって言い放った。
「貴様の母親…ジョルジュ・クリークと言ったか?」
「は…何故?」
「何故知っているのか、か?それとも何故その話題を持ち出したのか、か?」
「両方です。」
剣呑な顔で幼女様はノブナガさんを見る。何となく元日本人として、申し訳ない気分になったので代わりに軽く頭を下げておいた。
「まぁ俺らはここにいるが情報網はこの大陸の北半分は押さえておる。その程度造作もない。それで、話を出した理由だな?危篤状態に入っておる。」
「なっ!」
幼女様が驚きの声を上げた。ノブナガさんは特に表情を変えずに続けた。
「確か、5年前にスゥド国から呪いを受けておったのだったな。領土侵犯が本国に伝わったことで報復行動に出たようじゃ。さぁ酒宴はどうする?」
ノブナガさんはそこで俺を見てにやりと笑った。ここで席を立つのはどう考えても外交的に問題が生じる。
「…続けましょう。」
その声を上げたのはフロワ様だった。その顔はいつもよりも無表情で感情の欠片も見せていない。酒宴を切り上げるという意味を理解して、決断を下したようだ。だが、ノブナガさんは正直フロワ様に興味がなさそうだ。
「あぁ、一応言っておくが事実じゃぞ?後、貴様と話したいこともないし、そこの二人を置いていけば本国に帰っても良い。新しい時代に入って色々面白い発明品があるらしいからのう…」
つまり、お前は要らないから帰っていいとの宣言だ。喜んでいいのか悪いのか判断をつけかねるが、フロワ様は悩んでいる。
「水門。客人の一人は帰国されるようだ。丁重に連れて帰れ。」
ノブナガさんは入って来た黒服の男にそう告げたので俺は些か慌てて下座にいるディアに声をかける。
「ちょっとお待ちください…ディア。付いて行ってくれ。」
「…わかりました。」
ディアも一応護衛代わりにつけて帰国してもらう。水門と言われた人はそこまで強くないはず。フロワ様も強いのだが、心配なので念には念を入れる。
「さて、話がまとまったのであればさっさと行ってもらおうか。」
ノブナガさんがそう言うと入って来た黒服の人が幼女と少女の手を引いてこの部屋から出て行った。
何か酷い絵面だが…まぁ、本人たちは真剣なのでふざけたりしない。
「まずは飛行機とやらの説明からしてもらおうか。」
この後松田のお前何者?どこのニュース解説者さん?的な説明会が開かれて宴も夜通し行われた。
…フロワ様大丈夫かね?




