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異世界不本意戦争記  作者: 枯木人
地盤固め
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異文化交流

 松田君の妄言が途中入るのでその長文は無視していいです。

「クリーク王国第4王女フロワ・ミゼリコルド・クリークよ。」

「クリーク王国大元帥 平塚 治樹だ。」

「クリーク王国特別宮廷魔導師 松田 秋彦だ。」

「クリーク王国大元帥直属近衛隊隊長ディアーブル・デシュです。」


 ファムは隠密中だ。付いて来てはいる。


「オダ・シュクリグブタニノカミ・ノブオです。よろしくお願いします。」


 え~…交渉の結果、態々好んで敵対する意思はないと告げ、向こうに友好関係を結びたいと言わせることに成功しました。


 それで現在、私たちはアヅチ族の領地に友好使節としています。…あれー?俺って一応クリーク王国元帥だよねー?何であっちにフラフラこっちにフラフラしてんのかな?


 まぁ近いからいいけど。それに嫌でもないしね。


 アヅチ族が住んでいるのはクリーク王国のある大陸の最北端。海に面した場所で海の幸が取れる上、ニード山脈が近くにあるため、蜘蛛が遮られることで出来ている大河がるので川の幸、その上肥沃な大地のおかげで山の幸もあるため豊かな暮らしを行えている。


「こちらにどうぞ。」


 で、大殿と呼ばれる人の所に行ってます。途中で…ヤバい。あんまし喋りたくなかったけど聞こえない程度に…


「醤油の煮つけの匂いっ…!」

「だよな…」


 かっは…何とまぁ懐かしく芳しき香りか…二度と出会うことはないかと思っていた悲劇的な別れ…それを乗り越えて俺たちはまた奴と出会うことが出来るのか…


 そんなことを思っていたら抑揚のない小声で松田が長々と喋り始めた。


「…どうやって醤油を…アレは建長6年。興国寺の禅僧・覚真が当時の南宋から径山寺きんざんじ味噌の製法を日本に持ち帰り、紀州、湯浅の辺りで人に教える過程においてちょっと置き過ぎてしまったのをやべ、しくったと思いつつ失敗したのを悟られまいと出て来てしまった液体を使わせてみると存外美味しかったことから始まり京都五山の割烹料理を経て懐石料理の影響を受けることにより現在の形へと流れたとされる奇跡の調味料のはず…失敗しなければ…あるいは時期がずれていれば生まれなかったはずの調味料…それが何故ここに?」


 何か松田がどこぞの醤油業界の回し者みたいになっているがまぁ放っておこう。


 ってか詳しすぎない?頭大丈夫かね?一応小声で応酬しておく。


「…まぁ富山県から大量の人がこっちに来た時にでも身に着けてたんじゃね?」

「でもよ、俺ら何も持って来てなくね?持って来れるなら俺の嫁連れて来てたよ?真奈美ちゃんだろ?智子ちゃんだろ?ポーラだろ?レベッカだろ?シェリーだろ?結衣ちゃんだろ?由香利ちゃんだろ?あかりちゃんだろ?…」


 っと話ずれてるし、松田ー後ろ後ろ。


「…秋彦さま。その件に関しては後程詳しくお願いします。」

「…あ、はい。」

「…?今誰か…?」


 案内してくれていた人がファムの声を聞いて後ろを振り向くがその程度で気付かれるロリババアじゃないぜ。

 にしても…すでに尻に敷かれてるな松田。俺は楽しくて仕方ないよ。


「うわぁ…ご主人様…その顔止めた方がいいって…」

「すっげぇムカつく笑顔だな。お前だって同じようなもんじゃねぇか。」

「静かに。今外交中。」


 全く…幼女様を見習え。氷の姫様モード全開でしっかりしてるぞ!?一応案内役以外に聞こえないように話してるとはいえしっかりしろって。


「…その顔で言われても全く説得力がない…」


 ディアの言葉は無視するとして、何となく弛緩した雰囲気の中で部屋まで案内される。


「こちらになります。」


 で、入るとなれば内心はどうであれ居住まいを正さないとな。今回はこちらが完全に上位に立っている。兵力差も支配地域もな。


 急に雰囲気が変わった俺らに若干顔を強張らせる案内役。顔に出すようじゃまだまだの人材だな。まだ舐められてる。


「クリーク王国使節のおなーりー!」


 その声と同時に俺らは顔を作って部屋の中に入った。中には活け造りに米。汁物など我らが愛してやまない日本食の数々が鎮座なさっておられた。


 ついでに上座に何かいた。まぁ…そっちはある程度幼女様に任せて、軍事関連になったら口を出させてもらおう。

 そんなことを思って口上を待ち受けていると上座にいた黒髪イケメンの男が俺らを歓待するためか立ち上がって口を開いた。


「よくぞここまで来られた。儂がオダ・アヅチノカミ・ノブナガだ。まずは歓待の証としてこの食事を受け取られよ。」


 そして彼はにやりと笑った。


「クリーク王国第4王女。並びに日本からの転移者殿?」


 刹那にも満たない時間で俺の顔が強張った。松田はどうだったかは知らない。今後ろを向けば完全にその言葉を真実だと認めるようなものだからだ。

 しかし、彼にはその一瞬で十分だったようだ。


「あぁ、特に身構える必要はない。少し話がしたいだけだ。とりあえず…皆の者酒宴じゃ。」


 警戒状態の俺らを前にして特に気にした風もなくノブナガと名乗る男は幼女様を横に―――上座に招いて座らせた。

 俺らも移動するが、ここは一応王族とされている俺だけ移動して、第1席の辺りに松田とディアを座らせる。


「あぁ、そこの貴様。気を張っておらずに座るがいい。ファム…とか言ったかのう?」


 そして全員の居場所がバレた。態々席が準備されているという事から考えると最初からばれていたらしい。


「フフフフ…さて、口の回りはやはり酒がないとのう?」


 酒宴が、始まった。交渉はする必要もないだろうと近衛と思われる黒虎を思わせる風貌の大男が目録を読み上げた。


 内容はアヅチ族の方が下に付く形となっており、米、酒、味醂に醤油と味噌、反物などをくれる代わりに小麦や情報、何かしらの発明品を流して欲しいとのことだ。


「さて、これに不服があるか?」

「いや…」


 完全に相手のペースに巻き込まれているが、条件ではクリーク王国の方が有利過ぎるくらい有利だ。


 そしてノブナガを名乗る男はそんなことよりと言って俺らに質問した。


「貴様らは1928年以降の日本人か?」

「…あぁ。2000年代に入ってる。」


 そこで彼は哄笑を上げた。


「はっは!の時代の400年以上後か…どうだ?国は…いや、日本はどうなってる?」


 どうだ?以降の顔は笑っているものの、目は鋭く光っている。俺は説明をする前に訊いておきたいことがあった。


「400年以上後…?」

「うん?貴様俺の名前を知らんのか…当時は知らんものはいなかったというのにのう…」

「いや、名前は知ってるが…え?本人なわけ…」

「あぁ、確かにこの外見じゃ想像もつかんか。俺は日本に帰るために【時空魔法】とか言う奴に手を出してな…」


 この後この世界に来たノブナガ…いや、織田信長の話を聞くことになった。







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