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異世界不本意戦争記  作者: 枯木人
地盤固め
41/102

逆侵略しておこう

 結論から言おう。ジエイゾは守り切った。敵軍が来て野営の構えを見せていたところを急襲。エスト軍は大混乱に陥り、追い散らすことが可能だった。


「ヒラツカ!エストの殿しんがりが反転して撃って出てカシザワの隊が混ら…いや、控えて準備してたジャック隊に蹴散らされた。もういい。」


 現在、逆に侵略中だ。そろそろニード山脈の端の低い方の山地。エスト国の天険の要塞であり、主要の砦であるモノエイゾまで攻め込むところだ。


「はっ!姫騎士も大したことなかったし…今回の先陣は私が切らせてもらうよ!」

「んふふふ…それにはもう遅いです。ごらんなさい!我がマリー隊を!」


 ゴンザレスとリーゼが言い争いながらモノエイゾが見える丘陵へとなだれ込んだ。すでにゴンザレスが率いる軍は老将軍オドアケルが立て籠もる城に攻撃を仕掛けていた。


「んふふふふふ…リーゼちゃんには姫騎士あげたでしょ?こっち・・・は貰っとくわねぇ?」

「ありゃ只の猪だろ!あたしもこっちと戦らせろ!征くぞ!」

「はぁやれやれ…もう僕の隊は仕事終わりにしようか。城攻めは被害が大きいし…」


 殿の動きを読み取ったかのように狙い澄ましで壊滅させたジャックがそう言って自分の隊を下げた時だった。親方の率いる隊の伝令係が俺の所に飛んできた。


「親方から伝令です!『堅牢な砦は名だけで城壁は立地条件を整えずに適当に石積んだだけの壁だ。一部が壊れれば簡単に崩壊する。』とのことです。大魔導師様!黒曜姫様!親方の所へ!」

「…松田。ディア。」


 ディアが一瞬不安そうな顔をしたが、すぐに行った。因みに黒曜姫は最近ディアに付けられた称号っぽい。

 【闇魔法】が得意だったからだろう。後可愛いから姫。最近ファンクラブ的な物が出来てたからお義父さんは心配です。


 うちのディアは変な奴にはやらんぞ!


「それはさておき、ファム。伝令頼んだ。カシザワの隊に親方の軍と合流するように言って他の全軍は一旦退かせろ。」

「はい。」


 ファムはすぐにこの場から消えた。そして波が引くようにクリーク軍も引く。


「大将!今からがいいとこだったのに何だよ!」

「…またなんか酷い策でも考えたんですか?」

「人聞きの悪い…城壁が崩れるから引かせただけだよ。」


 俺が言い終わると何とも言えない顔をしているリーゼとジャックが俺を見て…その直後に轟音と共にモノエイゾの城壁が崩れ始めた。


「んな…っと!大将…」


 その光景を見てお預けを喰らった犬のような顔…いや、空腹状態で羊の群れをようやく包囲した狼のような顔でリーゼが俺の方を見る。勿論俺が出すのは出撃命令だ。


「行け。」

「全軍突撃!オドアケルの首級を揚げろ!手柄を逃すな!」

「…こうなれば僕らも乗らないとね。行くよ。全隊に命令。」


 まさに貪狼のようにかけて行くクリーク軍。


 先陣は松田とディア、それに親方の隊の護衛に当たらせていたカシザワの隊。それに続いて俺の所まで何も言いに来ずに敵陣近くで待機していたゴンザレス。それに続いてリーゼ、ジャックだ。


「本体にも突撃の命令を。」

「はっ!」


 近くにいた伝令兵たちに命令を出す。伝令兵たちはすぐに散らばって100人隊長格のものに伝令を伝え、全軍が突撃体勢で戦の中に突入して行った。

 それに対して俺の下に帰ってくる2名。松田とディアだ。


「お疲れ。」

「…あぁ。結構疲れた…」

「…ディアも…」


 魔術師たちの名が広がるわけだ。こりゃ確かに戦局ひっくり返るもん。


「ここの城関東地方だったら即壊れだったろうなぁ…多分震度2で倒壊してたんじゃね?」


 ぼんやり城攻めを見ていた俺の横で松田が城を見て感想を言う。まぁ…そりゃここ地震起きないらしいからな。

 どれくらい揺れたかに関わらず地震が起きたら大事件扱いだ。ヨーロッパって感じだな。


「カントーチホウ?」

「…あぁ、ディアは知らなくていいよ。」


 この世界じゃもう松田を除いて誰とも通じない話題だ。だから気にしないでいい…そう思って言ったのだが、ディアは不満気だ。


「…ディア頑張ったよ!」

「あぁうん。偉い偉い。でもあんまり危ないことは…」

「…何の話かディアに教えて?」


 ぐっ!あざといまでの上目遣い…誰だウチのディアにこんなことを教えたのは!褒賞ものだ!


「まぁ…別に隠し立てするほどの話じゃないから後で教えるよ。」

「絶対だからね?」


 頷いて松田を見ると松田は松田でファムに同様の言質を取らされていた。戦争中にこんなんでいいのか?と思わないでもないが大局は既に決まっている。

 それに俺はこれ以上何か手柄を立てても…どこに行くのか分からんしな。松田は松田で大魔導師の称号を貰ってるからいいし…


「…あれ?俺…マイホーム一戸建て…」

「大豪邸作れば?」

「…維持費がかかるから…」


 けち臭いなぁ…と言われたがまぁその辺の感覚はまだ市民だ。大スターでも維持できなかっただろ前世で。


「元帥閣下!敵軍、降伏した模様!」


 そんなことを喋っているとこちらに向かってくる伝令がいたので話は変えて真面目な話をしておいた。

 そこに入ったのがさっきの情報。オドアケル老将軍が降伏か…まぁどんなんか知らんけど…


「よし、入城だ。罠の確認もしっかりな。」

「はっ!」


 さて、エスト国の保有城数はあと1つ。首都だけだな。将軍二人とも斃した状態で相手はどう出るかな?




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