表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/263

どうあがいても、混沌~Apocalypsis~

 今僕は分かりやすいぐらいに遅刻している。サンドイッチを口に咥え、空気抵抗に負けじと必死で走る(自転車はパンク、車は車検に出している。なんっつー分かりやすいぐらいの展開であることよ!)その姿は、完全に遅刻した人間だ。これで学生服を着ていたら、それもう完璧なラブコメの始まりじゃないか!

 だがしかーし! それは飽くまで創作上のあるあるであーる!! 同じ学校に向かうのに曲がり角でゴッツンコなんていう最強に使い古された展開を貴方は目の当たりにしたことがあるか? そしてお約束として、ぶつかった相手はもれなく頼んでもいないのにパンツを見せる!

「あんたなに見てんのよ!!」

 そこでひと悶着ありーの、クラスについたら悪友ポジションの男友達、もしくは、たまたまその日は日直かなんかで先に行っていた世話焼き女幼馴染に

「今日転校生が来るんだって」

 と言われたらもうリーチだ! 断言しよう!! 間違いなくパンツ見せ魔は君のクラスにやってくる!!

「「あー! あんた(お前)は今朝のうんたらかんたら……」」 

 クラスは間違いなく騒然となる!!

 そして極めつけは、

「じゃあ席は……あそこにしましょう」

 都合よくあいていた君の周囲左右前後のどこかになるだろう!

「フンッ!」

 ちなみに転校生キャラは6割強ツンデレキャラです。(注;以上は南雲先生の妄想に過ぎません。実在の人物、団体、エヴァ○ゲリオンとは異なります。)

 だがしかーし!!こんなベッタベタがあってたまるだろうか!! ないや無い!! それは厨房の妄想といいたいね!! 世話焼き幼馴染なんか俺にはいなかったよバーか!!

 いつもよりテンションが高いのは、あれだ。ランナーズハイってやつかな? いつもより多めにぶっ飛んでいきまーす!!

 



 時間はもうない、近道をしよう。と曲がり角を曲がった……




 のが間違いでした。


「ってうわっ!」

「きゃっ!!」

 突如死角からパンを加えた女の子が飛び出して来たっ!!! ぶつかるっ!! ベタすぎるっ!! っと思っていた時期が私にもありました。

「やぁ!!」

 女の子は勢いよくジャンプし、

「ぶべしぃ!!」

 ドロップキックをかましやがりました。

 


 教訓:ベタな手で来るかと思って準備を怠ると、大変なことになりますよ。 by本当は怖い南雲の家庭のフラグより







「――」

 僕を呼ぶ声がする。どこかで聞いたことのある声だ。しかもついさっき。

「――さん――さい」

 残念だけど僕は三歳児じゃない。自分の足をあんよなんて言わないし、車のこともブーブーなんて言わない。

「なにわけの分からないこと言ってんのよ!! どなたかさん、さっさと起きなさいよ!!」

 パチン!! パチン!! 往復ビンタを食らわされる。

「なかなか起きないわねぇ、まさか死んでんじゃ……目を覚ましなさい!! 私を殺人犯なんかにしないで!!」

 クビを強力な何かに絞められる。ってギブギブ、死ぬっツーの!!

「目が覚めたら地面をたたきなさい!! ギブアップするまで絞め続けるわよ!!」

 あかん! 首絞めたら昇天しちゃう!!


「神は言っている。ここで死ぬ運命だと」

 お前誰だよ!?ってなんかもう気持ちよくなってきたぁ……



 何かが聞こえる。

「――!! 離して両腕を上げなさい!」

「これは違うのよ!! やめなさい! 汚らわしい国家の番犬がぁ!」

「貴様ぁ……公務執行妨害で逮捕じゃー!」

 なんか周りが騒がしいけど気にしなくていいよね? 十二分にがんばったよね?ほら。皆僕を待ってくれてる。

「もう、ゴールしてもいいよね?」

「帰れ」 

 思いっきり拒絶されちゃいました。

 

――――


 意識が戻っていく。今まで俺は何を……。

「大丈夫ですか!?」

「わっ!」

 突然の声に思わずびっくりする。声の主を探すと、そこには青い制服……お巡りさん?

「意識はありますか? あるなら手を上げてください」

 右手を上げるお巡りさんに習って敢えて左手を上げる。

「大丈夫でしたか!!」

 いや、体のあちこちが痛いんですが……。

「大丈夫です! 世の中気合と根性で何とかなります!! それでは私はこの暴行少女を署まで連れて行きますのでご同行願えますか?」

「暴行少女?」

 言われて気付く。先ほどのドロップキッカーが手錠をつけられ喚いていた。今気付いたが、この子が着ている服は御崎原の制服だ。けどこんな子学校で見たことないぞ。そう、学校では。

「私は暴行なんかしてないわよ!! そっちからぶつかって来たから反射的にドロップキックかましちゃただけじゃない! せーとーぼーえいよ! 正当防衛!!」

「いや、過剰防衛だろ……」

「あんたは黙ってて!!」

 年上にあんたってな……。よし、現時刻を持ってこの娘は南雲式ブラックリスト№53に認定だ!!酷い目にあわせてやる! 三ヵ月後ぐらいに。

 喚きたてる少女はこちらを睨めつける。怖い顔をしているが、じっくりと見てみるとなかなか可愛らしい容姿をしている。伊織とは違って健康的な美少女だな。腕を汚しているのか包帯を巻いているのが気になるが。あ、八重歯が見えた。

 うーん、この子どっかで見たことあんだよなぁ……。学校ではなさそうだけど。

「なぁ、あんたどっかであった事あるか?」

「はぁ、このシチュエーションでナンパぁ? 頭おかしいんじゃないのぉ?」

 よし! 気のせいだった! 僕の知り合いにここまで口の悪いやつはいないや。じゃあどこで……。考えあぐねていると電柱の張り紙が目に留まる。なにない、内ゲバ注意? いやいや、こんなドロップキックぐらいしかない平和な町に内ゲバなんて……ってあれ?

「この子そこの電柱に張ってる内ゲバ組織の一員の写真に似てません?」

 電柱を指差しお巡りさんに言う。それを聞いた暴行少女も同じように張り紙を見る。

「ちょっとあんた!? 何ふざけた……ってええ!? 似てるじゃないの、私に!」

 おお、倒置法を駆使したか。

「なんと!! 本当だ!! 貴様、一市民の首を絞めるだけでなく、日本全体に不幸を撒き散らす存在だったとは! ご協力感謝します!!」

 ビシッ!という擬音がつきそうなぐらい勢いよく敬礼をされた。釣られてついつい僕も敬礼してしまう。いやぁ、いい事をするって気持ちいですなぁ。

「離しなさいよ!! こんなの絶対おかしいわ! 何かの間違いよ!! 陰謀よ、陰謀!!世界中が私の素晴らしさに嫉妬しているのよ、そうだわ、そうに決まってる!! 世界が私に宣戦布告したのよ!! これは全部やつらの仕業なのよおおお!!」

 突然バックドロップ少女は開き直り、わけの分からないことを喚きたてる。ツンデレかと思ったらまさかのお電波さんでしたか。

「こいつ……薬でもやってるんじゃないか……」

「そんなまさかっ!! なんということだ! このような少女ですら大麻の犠牲になったというのか!? 悔しい、私は悔しい!! こんな子供を犯罪の誘惑から守りきれないなんて!! 何のため警察になったというのだ!!」

「くっ右手がうずいてきた!!! 皆離れなさい!! 連中は何をしでかすか分からないわ!!」

 うわぁ、収拾つかねー。メンドクサイの2乗がここまでの破壊力があるとは……、いつの間にかギャラリー出来てるし……。あ、あそこのおばさん泣いてるぞ。笑いなき……じゃなくてがちでないてるな、ありゃ。

「こいよ監査官どもよおおお!! この混沌(CHAOS)がまとめて終焉の日(ラグナロク)に導いてやらああ!!!」

 混沌という名前を自分の娘につける親の顔を拝んでみたいと思った矢先、落ちていた生徒手帳に気付く。

  



 これは……酷い……。

 生徒手帳には所狭しと、文、テキスト、謎の文字etc…が連なられていた。生徒手帳はどうやら設定資料集らしい。最後まで見るとそこには不敵に笑う彼女の写真と、陣内郁恵(じんないいくえ)さんの住所やらが書かれていた。あ、住所は普通なのね。ここでもし聖県(エクスカリバー)やら、郵便番号666-6666とかこられたらどうしようかと思ったよ。ハハハハハ……

 


 って陣内郁恵? この名前どこかで……









 って、あああああ!!

「こいつ僕の生徒じゃねええかあああああああ!!!!」

 三人の馬鹿は叫び続ける、そして僕は気付いてしまった。

「職員会議……遅刻だぁ……」

 

 


 陣内郁恵(下界での偽りの仮面。真名:混沌(CHAOS)

)。御崎原高校2011年度新入生 1年3組 担任:南雲航(担当 社会科)

 ツンデレ女王様風味厨二病末期患者。(ツン4割ヤミ6割)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ