ランナーズ・ハイ~Race to put there~
第一走者 古村VSサワムラ
第二走者 茅原VSマエストロ
第三走者&第四走者 二宮&西邑VSミスター&ミセス
第五走者 南雲航VSアンノウン
アンカー 南雲美桜VSパピヨン=アンリ=シャルロット=ミオ=ルナティック=ソクラテス=サイン=コサイン=タンジェント=サウスクラウド=ワールドエンド=ルイーズ=マウリス
Chapter1
勢いであーゆうこと言っちまったが、実際の所まだ状況が掴めていねぇ。善本が捕まったってのはとりあえずは理解したけどよう……。
「んだよここは?」
さっきまで部屋にいたよな、おれ? いきなりフラッシュが焚かれたと思ったら、違う場所に移動してやがった。どこだここ?
『ふん。貴様が私の相手か、見るからに貧弱そうなヤツが私のフェイクとは舐められたものだな』
「あぁ?」
『まあ、精々足掻くんだな。私は手加減と言う言葉を知らないんでな』
「そのなりで言うかぁ?」
いつの間にか、ウサギのお面を被った変態野郎がそこにいた。相手ってなんだよオラ?
Chapter2
「……、また移動したのかしら?」
まばゆい光に飲み込まれた私達は、どうやらバラバラになってしまったようだ。
「ここは……、ダンスホール?」
お昼にカレーを食べた所かしら、でも違和感を感じるのは何故?
『それは反転しているからじゃない?』
後ろから声をかけられる。
『やあやあ、そんな怖い顔しないでよ、せっかく可愛いんだから損しちゃうよ、キャッ!! 自画自賛!』
「アナタはさっきの……」
『そうそう! 奏でる音は人魚が歌うが如く、泣く子ももっと感動する天才コンサートマスターマエストロとは私のことよ!』
「マエストロって指揮者じゃないのかしら?」
『な、なんだって良いだろ!!』
何故か名古屋にあるサッカーチームのマスコットみたいなシャチマスクをした少女は、顔を真っ赤にして言う。でもマスクで見えないんだけど。
Chapter3
「――! ――さん!」
ボクを呼ぶ声がする。女の子みたいな声だな、でもボクは知っている。この声を。
「にしむらっち?」
「良かった! 二宮さん目を醒まさないから僕……僕……」
手に冷たい雫が落ちる。そのもとを辿ると、彼は女の子も羨む可愛らしい顔をくしゃくしゃにして泣いていた。不覚にも可愛いと思った僕は、
「あ~! 泣くな泣くな!! これじゃあボクが悪役みたいじゃないか!」
ついついいつもみたいに意地悪してしまう。
『抱き合わなくていいのかい?』
「誰っ!?」
ここにいるのは二人だけと思っていたけど、どうやら先客がいたみたいだった。
『感動のフィナーレにはハグアンドキスが付き物だろう? こんな風にさ!』
「「!?」」
あ、ありのまま起こったことを話すよ! ガチムチ体型なのに声が可愛いアンバランスな男と、傍らにいるオドオドしている子いきなりキスをしだしたんだ!
『あっ……』
『ほら、君達もやってみるんだな』
「「――」」
顔を真っ赤にするしかできないよ……。
『今からゲーム説明しま~す。一回しか言わないから聞き逃さないでね~。これから皆さんには、この城をフルに使ったリレーをしてもらいま~す。今自分の胸に付いているゼッケン、そこに書かれている番号がアナタの走順でええす』
『ルートは壁に矢印が書かれているから、それを見て走っちゃってくっださああああい!! ただし、あらゆるところに貼ってるってわけじゃないから、御理解のほどよろしく。先に善本幸子のいるゴールに辿り着けたら勝ち。簡単でしょ? それじゃ、5分後に始めるから、準備運動を忘れないように!! ちなみに、各エリアにカメラがあるから、走者達の頑張りが是非ご覧あれ! それじゃあバァイ』
――
「1番? つーこったトップバッターかよ……」
城内リレーだなんてよく考え付いたな。いつの間にかご丁寧に矢印が用意されてらあ。
『ふん。どのような内容とはいえ、私が貴様に負けるなんてことはありえないがな』
いちいちうるせェバニーちゃんなこった。
「へっ、言ってろ。そん変わり、てめえらが負けたら、その激ダサウサギの仮面ぶっ壊してやっからな」
さてと、たまにはちゃんとやりますかね。
――
リレーだなんて、運動は苦手なんだけど……。
『大丈夫じゃない? うちも運動苦手だし、それにうちらにゃうちらの専用のステージがあるんだよ』
「あら、ずるいのね。すでにコースを知っているなんて」
『矢印書いてんだから迷いはしないでしょうに。それに、あの人気まぐれだからなぁ……、何やるかは知んないけどさ』
シャチマスクはおもむろに何かを取り出す。これはヴァイオリン?
『そ。うちらといったらやっぱこれですよ。ほれっ!』
「ちょっと!!」
なんとこちらにヴァイオリンを投げる。いくらハードケースに入って衝撃に強いからって言っても、落としでもしたら一大事だ。ヴァイオリンに限らず楽器にとって致命的よ。
「ずいぶん扱いが悪いのね。もし落としてしまったらNG集ってわけにいかないわよ」
『大丈夫大丈夫。だってうちだもん』
何が大丈夫なんだか。どうもペースが崩されてしまう。
――
『説明に足りないところがあったな。ここだけはほかとちょっと違って、二人三脚なんだ。これをつけてくれ』
そういって筋肉モリモリのマスクマンは僕らに何かを投げる。これは……、
「て、手錠!?」
『ははは、実際にかけるのは手ではなく、足だけどな』
相手の二人は慣れた感じで足にそれを装着する。僕らにもそれをつけろって言いたいのだろうか、マスクの開いた穴から除く目で合図しているように見える。
「西邑っち、ボクらもつけよ!!」
二宮さんはそういって足に足錠をつける。
「さ、西邑っちも! ボクだけつけてたら変態みたいじゃんか!」
二宮さんに急かされて、僕も足につける。足錠……、いや、足枷は意外と僕らの足にぴったりな気がする。もしかしてオーダーメイドかな?
――
『アンタが私を殴ったからほかの人にも迷惑かかってやんの!! アヒャヒャヒャ!!』
場内放送を終えた暴君は、こちらを一瞥して狂ったように笑う。本当に悔しい話だけど、こいつは私とまんま同じ顔、同じ声をしている。受け入れろってか? こんな実の弟を傷つけるような自分を受け入れろってか? 反吐が出るわ。
『まあ良いわぁ。ここではっきりさせてあげる。どちらが本物かって。フェイクがオリジナルに挑むなんて愚かなマネをしたことをその身をもって後悔してもらうわ!!!』
「生憎だけど、なんかもうオリジナルだとかフェイクだとかどうでもいいのよ。こう君も言ってたけど、名乗りたいなら勝手に名乗りなさい。でもアンタは許せない。同じ顔、同じ声を持つ身として、ここで成敗してあげるわ!! あんたの野望はここで終わらせる!!」




