姉と弟の何気ない日常~Sister and brother daily~
「こう君ってさ、北○悠仁に似てるよね」
「姉さん、いきなり何を言いますか」
「いや、なんとなくそう思っただけ。良いじゃん、あの人爽やかで嫌いじゃないよ」
「北○悠仁って月9に出た方?」
「知らないよ。私の中の月9はHEROで終わっているもん。なになに、悠仁月9に出たの?」
「出てたよ。一体誰が彼を月9につれてくるというトンでも発想をしたんだか」
「ってことは、悠仁のキスシーンあったの?」
「あったんじゃない?」
「つまり、こう君が女優とキスを……」
「それは論理が飛躍しすぎだ」
――
「姉さんさ、結構クラスになじんだよね。友達もいるし、担任兼弟としてはうれしい限りだよ」
「恋人兼が抜けてない?」
「むしろ入れる意味が分からない」
――
「巻坂君っているじゃんか」
「いるね。どうしたの?」
「彼女に振られたんだって」
「あらま。ざまぁとだけ言っておいてやろう」
「巻坂君は結婚するつもりだったみたいだよ? 高校出て一緒に暮らすつもりだったんだって」
「高校でただけじゃ今の世の中厳しいぞ。でもまあ何で振られたんだ?」
「計画性のない男はNGだって。だから巻坂君現在絶賛人生プラン練り直し中。一回みたけど、分単位で刻まれてたよ? あれは狂気というものを感じたよ……。あの瞬間は善本さんを軽く凌駕したね」
「電車遅れたら一発アウトじゃない?」
「まあその辺は彼の判断次第ってことで」
――
「伊織ちゃんってさ、お金持ちだよね? どんな家に住んでいるんだろ?」
「ダンボールハウス」
「さすがにその嘘は一発でバレルよ!? 」
「ここから離れたところにある高級住宅街にあるよ。そのなかで最大なのが麻生邸。でもマンガにありがちな、インターホン押しても20分も待たされるとか、家主が迷うとかはないよ。壁中に矢印があるし」
「迷わないように配慮してくれてるんだよ。あれ? こう君伊織ちゃんち行ったことあるの?」
「元担任ですから。家庭訪問に行ったぐらいだよ。いやああの時は死ぬかと思ったね。いたるところから侵入者駆除のトラップが襲いかかってくるし……。しかもご多忙につきご両親は不在でしたというオチでした」
「ってことはうちも家庭訪問するの?」
「訪問なう」
――
「私はあまり詳しくは知らないんだけど、香取さんてこう君の知り合いだったんだって? しかもファーストキスの相手」
「分かってるとは思うけど、僕はロリコンじゃないからな」
「そうだよね、シスコンだもんね、仕方ないなぁこう君は。ぎゅーってしてあげる!」
「シスコンでもねえよ!」
「でもさ、伊織ちゃんのこと考えたら、こう君やっぱりロリコンだよね。結婚できる年齢とはいえ世間的にはそう見られるよ? ってなわけでお姉ちゃんと結婚しましょう!」
「そっちの方が世間的にアウトだよ!! シスコンかつロリコンじゃねえか!!」
――
「ねえ、こう君。早苗のどこが良かったの?」
「うっ、人の黒歴史を開きよって……」
「あれっ? タブーな話題だったりする?」
「個人的には遠慮して欲しいかも……、特に姉さんは加納先生を生き埋めにしそうだからやめとく」
「でもそんなの関係ない! そんなの関係ない!!」
「……」
「そんなの関係ないっ! そんなの関係ないっっ!」
「せめてうろ覚えでやるのは止めようぜ……、全てにおいて、中途半端を究めているよ……」
――
「古村君変わったよね」
「変わったな。とくに頭部が」
「もう! こう君ったら! 古村君がお気に入りなのは分かるけど、あんまりいじっちゃダメだよ? 野球部に入部してからは服装とかも真面目になったしね」
「でもこの前伊織を口説いてたぞ。思いっきりそのはげ頭をフライパンでジャストミートしてやったけど
ね」
「この暴力教師」
「暴力ではない、教育的指導さ。人の嫁に手を出すとどうなるかってことを身をもって知って貰っただけだよ」
「生徒のことを嫁って言う変態教師が隣にいるんだけど安価で痛い目に合す」
「スレタイ長っ! あと2chなんてやめなさい! しかも僕のPCでやるんじゃねえよ!!」
「こう君、やっぱりロリコンだったね」
「見たのか!? 人の聖域を見たのか!?」
――
「古村君も大概だけど、伊藤君も扱い悪いよね。無理矢理委員に任命したり、なにかあると伊藤君パシらせてるし」
「平凡キャラは僕だけで十分なんだよ。この高校生活で彼に平凡以外のキャラを一つ付加したいと考えてますっ!」
「あんまりやりすぎると刺されるよ?」
「ヤンデレとかマジ勘弁」
「ヤンデレって?」
「善本が愛に目覚めたらそうなる」
「うへぇ、マジ勘弁だね」
――
「個人的にクラス内ベストカップルは西邑君と小町ちゃんに1票を入れたいな」
「奇遇だね。僕もそう思う」
「それじゃあ結婚しよう!」
「ごめん、それは同意しかねるわ」
「けど小町ちゃんやけに西邑君に執着するよね? ひょっとしてLove?」
「どちらかというとJealousy」
「まあ、色々あべこべだからね、あの二人」
――
「度会君だけど、前は道路工事していたよ」
「また随分なハードワークを選んだな……」
「ヘルメットはあまり似合わなかったかなぁ」
「だよな、あいつの売りは汗が似合わぬ爽やかさだし」
「爽やかだもんねえ。1年生男子で1番人気みたいだよ?」
「もうそんなのがあるのか」
「ちなみに度会君は現在30人切りを果したんだって。うち二人男の子だけど」
「アベさーん!!」
のんびり過ごす姉との一幕。存在が非日常でも、ゆるやかに流れる日常。




