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姉が過去からやってきた。  作者: ゴリヴォーグ
僕と周りの女性たち
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みんなアンタが好きなんだ~Everyone Says I Love You~

「こう君、伊織ちゃん、ご飯美味しかったよ!! こう君も伊織ちゃんも私の嫁になりなさい!! 抱きしめてやる!」

 パーティー料理を美味しく頂いた姉さんはちょっとばかり過激な感謝表現をする。あぁ、ついに姉さんも一夫多妻制に目覚めてしまった! いや一婦多妻制か?

「ハハ……、美桜さんって欧米スタイルなんですね」

「あ~、もう! 気持ちはスッゴく分かったから離れて! いやホントお願いしますって!」

「まあまあ。美桜、その辺にしておけ。家に帰ればいくらでも航に出来るだろ?」

「それもそうね。んじゃ後に回そっ」

 出来ればそのまま永久に後回しにしていただければ不肖南雲嬉しゅうございやす。

「さて、誕生日のイベントをまだ二つ残しているな。それじゃあ先ずはバースデープレゼントの開封と参ろうか。というわけだみんな、プレゼントを持ってきてくれ。美桜は少し待っていてくれ」

 峰子さんの指示のもと各自バースデープレゼントを持ってくる。って伊織、それデカすぎないか!? 箱のサイズもなんつうか不自然だ。一緒に来たときこんな物体無かったのに……。

「まあ運ぶのは凄く簡単なんですが、昨日のうちに理事長先生の家、って要はここですけど郵送しておいたんです。プレゼントなんですから新品じゃないと」

 とはいえ中身が気になるな。これで中身がちっちゃかったら笑えるよな。大は小を兼ねるって感じで。

「エスパ○伊東入ってそうだね……」

 姉さんもビックリしているようだ。

「流石御令嬢様はビッグよね。アタシのプレゼントなんて渡しちゃって良いのかしら?」

 加納先生はバツが悪そうに言う。まああんなインパクトのあるプレゼント出されりゃそう思うのも無理はないが。

「大丈夫ですよ、加納先生。プレゼントはサイズよりハートです!」

「南雲、あの子天然さん?」

「まあ時折抜けているところはありますけど……」

「私もしかして変なこと言いました?」

 なんにも気づかない天然お嬢様は穢れのない宝石のような瞳でこちらを伺う。

「まあ、そのままの君でいてくれたら良いよ」

「?」

 突っ込もうとした言葉をすんでのところで飲み込む。



「お前が言うな」



 サイズよりハートだよね~(笑)。はぁ……。



――




「よし持ってきたな。それでは先ずは私が先鋒を務めよう」

 プレゼントタイムって剣道なんですか? 伊織程ではないけどなかなか分厚いな、何が出て来るのやら。

「開けていいの?」

「ああ。開けてくれ、そして驚くがいい」

 ガサガサと袋を開ける。そして中から出てきたのは……、

「……」

「なんだ、驚きの余りリアクションが取れないか。どうやらプレゼントは当たりだったようだな。これからはこの形で行こう」

 峰子さんは勝手に盛り上がっている。それ以外は皆ポカーンってなってますけど……。

「ねえこう君、私今日で何歳になるんだっけ?」

「16歳ですよ。民法上は結婚可能です」

「だよねえ。私ついつい12年後に来てしまったんじゃないかと錯覚してしまったよ」

 峰子さん、貴女という人は、

「どうだ? 感想はあるか?」

 どうして16歳の誕生日を迎えた相手に、18禁のエロゲーをそんな自信満々で渡せるんだよ!? アンタそれでも教育者かよ?

「教育者だ。それにこれも教材だ」

 なんの教材だよ!? 保健体育か!? 安易に保健体育なのか!?

「昨今の若者の性の乱れを憂いているだけだ。別にエロゲー仲間が欲しかったとかそんなんじゃない」

 どう考えてもそうだろうがあああ!! しかもまだ姉さん16歳なんだよ? 本来なら今頃26歳のバースデーを祝ってるんだろうけどまだ未成年じゃん!!

「仕方ないだろ? 職員室では出来ない話題だからな。それに最近は中学生もエロゲーをやるぞ?」

 それは創作上の話だああああああああ!!!

「ありがとう峰子さん。でも悪いけど後二年は押し入れの中に眠らせるからね」

 まさかのプレゼントがエロゲーだったことが原因だろう、姉さん凄くドン引いてらっしゃいます。

「泣きゲーなんだがな……。まあいい、次鋒は加納先生だ」

「この後にわたすのかよ……。あー、美桜。アタシからはこれだよ。ホントは10年前に渡したかったんだけど叶わなかったからさ、ようやく渡せるわ。今となっては時代遅れな物かもしれないけど、まあ受け取ってよ」

 加納先生はプレゼントを投げて渡す。キャッチしたからいいけどエラーしたらどうなったんだろうか。

「これって……」

 意外なプレゼントに姉さんも驚く。「も」って言ったのはもう一人驚いた人間がいたわけでして、

「そっ。アンタが欲しいとか言ってた時計。10年前から時間刻みっぱなしだったから何回か内部の電池を交換したけど、まあ使ってないし今日からもジャンジャン現役で使えるぞ。ってどうした?」

 それはもう笑うしかなかった。どういう因果か姉と弟の腕に同じ時計。ナイスな計らいじゃないか。

「早苗、ありがとう。えへへ、こう君とお揃いだね」

「そうだね」

 まあたまにはこういうのも良いかな。

「うむ……。私のより加納先生からのプレゼントの方がウケが良いのは甚だ不本意だが美桜が喜んだから、次のボーナス三割カットで大目に見てやろう」

「この人公私混同激しくない!?」

「ぬかすな。さて、次は麻生さんのプレゼントといこうか。大トリは航が一番だろうしな」

 伊織からのプレゼント、その謎のでかい物体の正体が今明らかにっ!

「私からのプレゼントはこれです!」

 伊織が手を叩くと、何処からともなくエージェン○スミスみたいな黒服がやって来る。

「ちょ、不法侵入……」

 16歳にエロゲーをあげようとした貴女が法を語っちゃダメな気がしますが、伊織さんもサプライズは法を守って下さい。

 峰子さんの突っ込みに耳を貸さずエージェント達は黙々と作業をする。

 そして中から現れた物は……。

「自転車?」

 箱のサイズがデカすぎたからそれなりの大きさの物が来るとは思っていたが、自転車が箱の中から出て来るなんて初めて見たぞ。

「麻生グループ系列の麻生サイクルが開発した最新型モデルアネモネです。アネモネという名前の通り、美桜さんの誕生日のために開発されました。って言うのは冗談ですが、まだ市場に出回っていないプロトタイプですので、世界に一つしかない自転車と言っても構いません。折り畳み式なので遠出にも便利かと思います」「こんな凄いもの貰っちゃっていいの?」

 姉さんも受け取って良いのか分からないようだ。僕だって親以外から、しかも一高校生から自転車を貰えるとなると少し構えてしまう。

「是非とも受け取って下さい。美桜さんに合わせて製作されているので使って頂けないとこの子が可哀相です」

「そ、そこまで言うならありがたくいただくわ。伊織ちゃん、ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして」

 う~ん、やっぱり庶民派を自称しときながらも素のところは天然お嬢様なんだよな……。そこが魅力なんだろうけど。

「残すは航のプレゼントだけだな。さあ航、お前の10年間の思いをさらけ出す時が来たぞ!」

 勝手に盛り上がっている峰子さんに促されるままにプレゼントタイムに移る。

「え~と、姉さん。僕からのプレゼントはこれです。開けてみて」

 丁寧に包まれたそれを姉さんは開ける。

「これは……」

 箱から出てきたもの。それは小さな人形が桜の木の下に立った木箱。

「これって……オルゴール?」

「正解だよ姉さん。姉さんさ、10年前の僕の誕生日……、って姉さんからしたら一週間ぐらい前かもしれないけどオルゴールを置いて行ったじゃん。ご丁寧にバースデーソングが流れるやつ。そん時僕にとってはオルゴールってなんつうか別れの象徴みたいになってさ、どう言ったら良いんだろ……、姉さんが僕にトラウマ植え付けちゃったんだ。オルゴールの音色が無機質に聞こえたからかな。余計別れが虚しく感じた。だから僕は誕生日が嫌いだった。バースデーソングが嫌いだった。でもさ、今年の僕の誕生日に姉さんと二人で聞いたハッピーバースデーは、凄く優しく聞こえてさ、初めてオルゴールが好きになれたんだ。久しぶりに誕生日が嬉しいと思えたんだ。姉さんにも自分の誕生日が嬉しいと思ってほしい、その時にコイツが流れてくれたらいいなって。姉さん、ネジを回して御覧」


 姉さんにネジを回すよう促す。みんな何が起こるかを固唾を飲んで見ている。

 ネジを巻かれたそれは、歌を歌いながら桜の下をクルクル回る。


「この曲……」

「懐かしい?」

「うん。でも凄く好きな曲」

「ふふっ、知ってる」

 やがて人形は歌うのをやめて回転を止める。桜の下を舞う彼女はさながら桜吹雪のようだった。

「ねえ、こう君。この人形って……」

「うん。姉さんをモデルにした。桜の木の下に美桜ってなんだか駄洒落みたいだけど」

 桜の木の下の彼女は――姉さんをモデルにした。神戸さんには手間かけさせちゃったけど、キッチリと仕事をしてくれた。ふふっ、感謝してもし足りないなこりゃ。


「こう君、本当に嬉しいよ。私もこう君、みんながいる誕生日なら毎日来てほしいぐらいだよ。みんな本当にありがとう。今日は生涯で最高の日になったよ」

 最大級の褒め言葉を貰った僕達も自然と笑顔になる。ああ、今日は素晴らしい一日だった。

「おいおい、まだパーリィーは終わってないぞ? メインイベントを忘れてないか?」

 そう言った峰子さんは手を叩く。すると先程のエージェント不法侵入がバースデーケーキを持ってくる。いつのまに合法侵入になったんだ?


「さあ刺さっております蝋燭は16本。これが歳をとるにつれて憂鬱になるのはまた別の話。それじゃ電気を消すぞ」

 電気が消え蝋燭の明かりだけが周りを照らす。そこに浮かぶ姉さんは、美しく神秘的だった。

「「「「「「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディア美桜♪ハッピーバースデートゥーユー」」」」」」


「「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」」

 いつの間にかエージェント達も混じっての大合唱になっていた。さあ、パーティーはこれからだ!!


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