ヤンデレから逃げれません~No escape from the nightmare~
「せんせぇ、助けてくれよ……」
戦慄の出会いから翌日、疲れ切って灰になりそうな古村に話しかけられる。
「なに贅沢なこと言ってんの。年上の御姉さんで、一途に愛してくれて、おまけにお前の好きな巨乳と来た。これは神様の粋なプレゼントじゃないか?」
彼女とか羨ましいなぁ。
「神は神でも「死」がつくけどな!!」
上手いこと言いよった。
「見ろよこのメール!! 5分に1回来るんだけど! しかも返さなかったら返さなかったでめんどくさいしよ……、いやだぞ、生まれて初めての彼女がメンヘラヤンデレって……」
涙目で答える。確かに失礼ながらメンヘラやらヤンデレはお付き合いしたくないタイプだ。愛が強いのは嬉しいんだけど、その反面それ以上の愛を求めてくる。疲れるってレベルじゃないのはお分かりいただけただろうか。そう考えたら勝手に被害妄想に浸って自虐に走る分善本の方がまだ微笑ましいのかもしれない。彼女は変に強がりだから他人に助けを求めようとしないけど……。まぁ助けてくれって常言ってるようなもんだからな、あの子。
「どれどれ……」
ヤンデレのメールというものとは……。
『古村君、アドレス先生から聞いちゃいました! えへへ、祝福されてるね、私たち!』
「ってなに勝手に教えてんだこんにゃろおおおおお!!!」
「待て待て待て!! これにはふかーい理由が……」
――
『先生? 古村君のアドレス教えてくれませんか? じゃないと私、夢に出ちゃいますよ?』
『ひぃ!?』
――
「夢に出てくるんなら仕方ないよね」
「なくねーよ!!! 大体夢に出てくるなんて……、あるかもしれねぇ……」
だってヤンデレだし……。
「で気味が悪いことこの上なかったから無視してたんだ。そしたら……」
『あれあれ? 御風呂かな? 湯冷めし内容にね!』
『長風呂だねー、そうだよね、私のために綺麗にしているんだよね』
『長くないかな……』
『ねえ、まだ入ってるの?』
『おかしいよおかしいよおかしいよ! ドウシテカエシテレクレナイノ?』
『ウデキルカラ』
――
「うわぁ……」
わが身可愛さにとんでもないことをしてしまったんじゃなかろうか……。
「どうすんだよ! つーか付けられてる気がするんだけど。しかも現在進行形なうで」
付けられてるって。
「あのな、過去の反省を生かしてうちの学校はセキュリティには厳しいんだ。ねずみ1匹入れるのも大変だというのに……」
「うふふふ……」
「「……」」
「「出たあああああああああああああ!!!」」
――
「というわけで本日から事務員として働くことになった新田光奈君だ」
「新田光奈です! 好きなタイプは野球に一生懸命な古村君です!! もし古村君に近寄るようなまねをしたら、相手が誰であろうと真っ二つにしてあげます! うへへへへへへへ……」
これが運命石の選択か……。