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姉が過去からやってきた。  作者: ゴリヴォーグ
南雲先生の長い休暇
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デートクライシス!~Mission impossible~

「こう君、スッゴい似合ってるよ!」


「言ったじゃない! 絶対似合うって! いやー、先生アンタ自信もって良いよ。そうだ写メっとこ」


「流石です、南雲先生。お見事です」


「かぁーっ! 航もなかなか似合ってるじゃねえか! まっ、俺っち程じゃあねぇけどよぉ」


「あらあら、こう君お似合いよ? 小町のクラスメイトって言われても納得しちゃうわ」


「おいコラ航てめぇ母ちゃんに手ぇ出してみろ。サンドバックがジムに一つ加わることになるからよぅ?」


 僕の気持ちも知らずに周囲は好き勝手言ってくれる。そりゃ僕だって褒められたら嬉しいし、童顔にはそれなりの自信がある。でもなぁ……、

「嬉しくないのはなんでだろうか……」

 高校の制服が似合う高校教師っていかがなものなんでしょうか? 舐められやしませんか?


「制服に合うってのはまぁ良いとしよう。でもさ、そもそも僕らは遊園地に行くんでしょ? 普段ならともかく、夏休みに入ってまで遊園地に制服で行くってどうなのよ? 私服ない子みたいじゃん」

 制服来て行くとしても、課外活動という名の遠足の時ぐらいだぞ。

「いいじゃん、青春って感じがして良いと思うけど」

「むしろ先生が制服を着て尾行しているなんて、誰だって露にも思いませんよ」

 そもそも相手も尾行されているなんて思ってもいないはず。

「でも年甲斐にもなく制服着るのはなぁ……」

 高校なんて何年前に卒業したと思ってる。その間に何人総理が変わったと思ってる。

「まだ行けるわよ。私だってたまに高校の制服着るんだから!」


『……』

 四捨五入したら30じゃないか。それを考えたら、僕はまだまだ若造だ。探偵業……、まだまだ奥が深いな。



――



 そして迎えたデート当日。


「こんなの絶対おかしいよ」

 説得も虚しく結局僕は制服で遊園地に行くことになった。ドラマやら映画でなら極稀に20代後半の役者さんが制服を着て青春を謳歌しているが、僕の職業は教師だ。もしこんな姿を知人に見られたらなんと言い訳しようものか。ドラマの撮影って言えば良いのだろうか。……、ダメだよな。


「ゴメンこう君、お化粧に手間取っちゃって。やっぱ慣れないことはするもんじゃないよ」

 何かと最近デートの機会が多いのは僕にモテ期が来たからなのかな。本日のデート相手の姉さんは、普段手を着けない化粧をしており、いつもより大人びて見える。

「そうかな、良い感じだと思うよ」


「あんがと。さて、そろそろターゲットに動きがあるかな」

 教師の持つ住所録の力を借りて、今回のターゲット、西邑の家を見張る。おやっさんが小町ちゃんの入浴中に携帯を拝借して、メールボックスを確認すると、当日は9時に駅集合となっていたらしい。そこで僕ら(主に姉さんとおやっさんが勝手に盛り上がった結果)は、朝っぱらから自宅を監視するという眠いことこの上ないミッションを始めるのだった。

『あー、こちらコードネーム暴れレイジングブル、ターゲット動き出したぞバーロー』

 どうぞーみたいにバカ野郎と言われてしまった。てかなんだよコードネームって……。

『こちら踊るダンシングシスター。こちらは未だ動きなし。どうぞ』

 ノリノリだー。ってことは僕もコードネームあるのか?

「こう君はGTOだよ?」


「グレートティーチャー!?」

 Oって何!?

「グダグダティーチャーオトウトの略」


「グダグダで悪かったな!」


「しっ! ターゲットが出てきたよ!」

 全力で突っ込みかけたが、姉さんに口を封じられキャンセルされる。

『こちら踊る姉、ターゲットに動きあり! 此方も追跡を開始するっ! 09:00に駅で落ち合おう』

「行くよ、GTO」

 こうしてスニーキングミッションがスタートする。僕は出来ることなら誰に見つかりたくない、そう心で祈るしかできなかった。

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