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1年3組の仲間達 男子編~Introduction1~

入学式前の予習ってことでお願いします。一応今回は男子、次回は女子の紹介をします。

 伊織も帰ったので僕はクラス名簿の作成に入る。仕事が溜まってると言っても、クラス名簿作成は比較的楽な方だろう。昔は知らないけど、今はクラス名簿作成用ソフトという便利ツールがある。デジタル社会万々歳だ。

「こう君、お仕事?」

作業に入ろうとすると姉さんがやってきた。けど今は相手してる暇もない。

「姉さん、悪いけど今から仕事するんで僕のことはほっといてね」

「春休みなのにお仕事なんて先生も大変そうね。心なしか疲れて見えるよ? お姉ちゃんが肩をもんであげようか?」

 気持ちは有り難いけど、疲れの原因の半分近くは姉さんが原因なんだけどなぁ……。流石にこの場で言い出すことは出来なかった。だって姉さん、凄い心配そうな顔してんだもん。

「じゃあお願いしちゃおうかな」

「ふふ、任せて! お姉ちゃんの超絶テクを受けてあられもなく昇天しちゃうがいい!!」

 なんかその言い方嫌だなぁ……。あっ、そこっ、イイ……

「結構こってるわね、これは揉みがいがありそうだわ!!」

「あー、イイ感じイイ感じ。体が軽くなるよ」

 あー、もう仕事なんてどうでもいいやぁ……。

「……こう君、私が言うのもあれだけど手が止まってるよ?」

 そう言って姉さんはマッサージを止めた。結構気持ちよかったのに、なんか喪失感感じちゃう。って

全然進んでないじゃないの!!

「やっぱり邪魔しちゃった? ごめんね、こんな何も邪魔しか出来ないお姉ちゃんで……」

 あーもう! 何でそんな悲しそうな顔するかなぁ!!

「そんなことないよ! ほら、マッサージ効いてきたし! よーし、こう君後ひと踏ん張りしちゃうぞ!」

「えへへー、だよねえ! お姉ちゃんのマッサージは天下一品だよねえ!?」

「そうだー!!」

「もう少し仕事がんばれるよねえ!?」

「そうだー!」

「炭酸といえばあ!?」

「ソーダ!!」

「お姉ちゃんと結婚してくれるよねえ!!?」

「ごめん、それは無理」

「ウソダー!!」

 だから南雲先生、さっさと仕事してくださいよ。



「そういえばこう君、それは何の仕事なの?」

 ショートコントを終了し仕事に戻り始めた僕に質問する。姉さん、あまり話しかけないで下さい。脱線しちゃう自信があります。でもまあ答えてやるぐらいならいっか。

「ああこれ? クラス名簿を作成中。6日の入学式に向けてクラス員の名簿ぐらい作っとかないとな。」

「担任のクラスの?」

「そっ。だから姉さんも入っているよ。ただまあ、戸籍やら何やらがややこしくなるしクラスで混乱を招いちゃうんで、姉さんは僕の姪っ子って設定でお願いします。多分峰子さんから話は聞いているとは思うけど……」

「あー、確か峰子さんそんな事言ってたな。ねえこう君。お兄ちゃん、お兄ちゃま、あにぃ、お兄様、おにいたま、兄上様、兄君、兄君様、兄チャマ、兄や、にぃに、ニーサマ、兄貴、アンちゃん。どれで呼べばいい?」

「普通に先生でお願いします」

 これってあれだよな。僕への呼称が変わると一人称も変わる的な、12人も妹要らないよねって事業仕分けされそうになった『妹姫』だよな。

「ぶー、こう君ノリわるーい。でも先生ってのも……来るかもっ!」

 来ないで下さい。それと、ここに居られるとクラス名簿作れないんですけど……。いいんすか? クラス名簿見せますよ? ネタバレしちゃいますよ? 入学式のドキドキ感が薄れちゃいますよ?

「ああ、ゴメンゴメン。ネタバレ防止だね。流石にもう未来を知るのは懲り懲りだよ。んじゃ、お邪魔虫は退散しますかねー」

 そう言って姉さんは僕の部屋を出る。ふぅ、これでようやく仕事できる。



 1年3組 クラス担任:南雲航

――



 出席番号1伊藤拓也(いとうたくや) 

 なんつうか普通×普通な名前だな……。見た感じもthe.ラノベ主人公!! って感じだし。これで身長体重その他身体測定やら体力テストも凡人なら凄いけどなぁ。何々……? 中学時のあだ名は田中太郎。宇宙人かこいつは? 突出して優れたものは持っていないが、テストの点数は全て平均点、通信簿の成績も五段階評価で全科目3……。教師陣からはそのあまりにも普通なため「ミスター平凡」と呼ばれ、愛されていた。

 あれだな。個性を重視する余り、我々がとうの昔に失ってしまったものを彼は持ってそうだな。無個性という名の個性というわけですね。



――



 出席番号8古村潤平(こむらじゅんぺい)

 おや、珍しい。東中出身とは。崎校って東地区からは結構遠いし色々不便だから毎年志望者が少ないのに。今年は一人って言ってたからこいつだけか。どれどれ……中学時は野球部に所属。東中のエースだったが2年の秋に突然退部。それ以来野球に関わることなく、毎日をなんとなく過ごしているように見えた。野球部退部の理由は誰一人知ることなく彼の心の中と共にある、か。確かにこの写真見た感じ野球やってるって感じしないもんな。髪型のせいかね?



――



 出席番号14西邑歩(にしむらあゆむ)

 ちょっとまて。僕ページ間違えたかな……。なんでいきなり女子が出て来るんだ?

 何? 容姿といい立ち振る舞いといい、加えて声変わりしていないため、どっからどう見ても女子に見えるが、実はれっきとした男である。本人は女性に見られることを好ましく思っていないため間違っても女子トイレに案内しないように。因みに在校中は女子よりも男子に告白されたことが多く、女子よりも女子らしかったこともあり、学校のミスコンで男子にも拘らず優勝してしまうという偉業を成し遂げた。

 今流行の男の娘だとおおおお!!!? てかそんな人ほんとにいるんだ!! よかったねえ西邑君。男子校じゃなくて!! いや……この子は所見殺し過ぎるやろ!! 実は男子でしたー。って言われても信じれないよ!! 確かにこの子は……何かに目覚めさせてくれる気がする。うん、自己嫌悪。



――




 出席番号17氷上睦(ひかみまこと)

 この「睦」って字「まこと」って読むんだ。難しい字使いやがって、陸って呼んじゃいそうじゃねーか。中学の間は手のつけられようのない悪ガキで巷では「血祭りまこっちゃん」と悪名をとどろかせていた最強の不良。内申点は最悪で高校進学が危うかったが、どういう風の吹き回しか中学三年生の時期に猛勉強をし、模試だけなら県内どこの学校に行けるレベルの学力を身につけた。なんだかんだ言いつつも卒業式の時には泣いて先生に謝った根は優しい子。因みに子供が好き。(ノットショタコン、ノットロリコン)

 ずいぶんアバウトな情報だな……。あれか? どうしようもない悪が時々見せる優しさにキュンキュンしちゃうあれか。しかしこの二つ名はダサいな……。どうか今年一年は問題を起こさないようにお願いします。



――




 出席番号21番度会和久(わたらいかずひさ)

 6人兄弟の長男という大家族の長。両親が蒸発してからというもの、毎日の暮らしが大変なため朝も早くから新聞配達したり、授業中に内職したり、数学をしているかと思えば家計簿に頭を悩ませている節約主夫学生。危険なアルバイトやらもしているという噂もあったが調査の結果根も葉もない噂ということが発覚し事なきを得た。中学生がバイトなんてと思うかもしれないが弟妹達のために必死で生きる彼を見るとそんな無粋なことがいえなくなった。クラスで募金を募った結果10万近く集まったが彼はそれを良しとせず全額元の持ち主に返すという聖人っぷり。奨学金の助けもあり御崎原高校に入学する。

 重いよこの子の過去!! ホント奨学金制度っていいよね!! まあたしかに崎校は比較的他の私立に比べると学費が安価なのも売りだからな。苦学生でも学問を究める意思があるなら門戸を開くってのが理事長だし。どうか彼にはこの高校生活で存分に青春を楽しんで欲しいな……。

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