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はじめに
指窮於爲薪 火傳也 不知其盡也
指を薪と為すこと窮むれば、火傳わりて、その盡くるを知らざるなり。
(火が消えそうなときは)その指先を火に近づければ、火は伝わって、消えることがない。
――――荘子
ヴェクサシオンはエリック・サティの書いたピアノ楽曲であり、憂鬱で難解なメロディーが八百四十回くりかえされる。きちんと演奏しきるには長いながい時が必要だ。しかし果てしなくはないだろう。ところで、この小説はメタフィクションである。つまり書いているわたしが読んでいるともいえるし、読んでいるあなたが書いているともいえる。
『ヴェクサシオン』は言葉によるいくつもの断章からなりたっている。読者は断章同士の関連を気にしてもいいし気にしなくてもいい。




