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異世界恋愛で良くある悪役令嬢に同情し子の馬鹿王子を全力で罰する王の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/01/24

 

「アドラー国王として宣言をする。我が息子ファイターよ。王太子の地位を剥奪。王族籍を抜く。去勢をしてから北の塔に幽閉。男爵令嬢は辺境の修道院で生涯お勤めせよ」



 ガクンと膝をつく2人。

 こやつらは余の決めた婚約者を貶め。余の裁可を受ける事なく婚約破棄をしたのだ。

 当然の報いだ。


「お待ち下さい陛下!」



 1人の文官が手をあげよった。

 何故だ?


「よもや、反対はしないであろうな?」

「反対でございます!」


 思わず眉があがったが、感情を見せてはいけない。

 国王たる者、諫言は聞くスタイルだ。



「当職は書記官のフェスナー・バルト、男爵家出身の者でございます。奏上をお許し下さい」

「良い。許す」



「まず。ファイター様は婚約破棄を公衆の面前でしましたが、陛下・・・婚約破棄を罰する法はございません」



 奴の言い分はこうだ。

 最近大陸では、法の支配、法治主義の話が出てきておる。

 なら、法は王を縛るのか?との議論が絶えない。



「ファイター様への処置は王族の家長たる陛下の懲戒権を超えています。罰するのならせめて貴族議会で手続きをするべきでございます。

 または、婚約破棄・・・そのものは商業ギルドの契約法を元に賠償、謝罪で済ませ。そののちに、賢者会議に諮問かけて、王太子の地位を排するのが良策だと愚考します」



 まさに愚考よのう。

 だから余は問うた。


「なら、男爵令嬢は如何する?」


 すると、フェスナーという文官は眼鏡をキリッとあげて言い放った。



「それが最重要問題です。ナイーブな問題です。貴族派閥は、陛下の一存で生命、財産を王命一つで取られることを嫌い。長年権利を求めた結果議会が出来ました。

 これも正式な裁判、公爵家と男爵家の裁判か、話会いの結果にするべきです」


「結果は同じではないか?」


「だとしても・・・、また、公衆の面前でお子である王太子殿下を王命一つで排する。

 悪しき先例になりましょう。王太子でも王の一存でどうにか出来る。

 なら、貴族ならいかほど軽いのかと印象づける・・・と愚考します」



「全く、取るに足らぬ考えよ。もう、良い。この文官も処刑せよ」


「陛下、私も貴族の端くれ。東方諸国の皇帝ならいざしらず女神信仰圏では、1人1人が女神様の子です・・・」


「もうよい!こやつを連れて行け!」



 あやつは処刑されるまで叫んでいた。



「陛下!道を間違えてはいけません!」


「お前は最も重い火刑だ!」



 国王は女神様から特別の授権を受けた地上の代理人。王を縛る物は存在しないのだ。




「火を起せ!」

「「「御意!」」」


【陛下ぁああああああーーーーーー】



 文官の最期の絶叫を聞いたとき、何かが体に落ちてきた。

 異界からの魂付か?



 そうだ。女神様の全権委任を受けた王こそが自由に法を作れる。余は今まで貴族どもの機嫌を取っていた。

 余は演説を繰り返した。口が思うように滑る。



「・・・桐の木の切り株に杉を苗木しても育たない。王は王、貴族は貴族、平民は平民だ。決してそれ以上の者になれるわけではない!生まれが全てである」



「「「「ジーク!アドラー!」」」」


 今度は同じ失敗をしない。

 前世の宿敵の奴は将校クラスを粛清して軍を引き締めた。


「無能は殺せ!殺せ!殺してしまえ!」

「「「御意!」」」


 子息の第二王子を即位させた。

 だが、余は名誉王として君臨する。




 将軍でも無能はいらない。左遷、粛清を繰り返し。


 魔族領に攻め入ることにした。魔族は人族共通の敵。


 今度こそは・・・だが、第二王子は意見する。



「父上・・・どうかされましたか?魔族とは講和条約を結んでおりますが・・」

「余も間違っているが周りはもっと間違っているのだ!」


 国王にしてやった第二王子は余の暗殺を企んだ。

 会議室に爆裂魔法を仕込んだが、奇妙な偶然で余は回避した。


 よって、現国王を廃し。永年国王に就任した。

 我は全ての王。





 ☆☆☆四年後



 ファイターの元婚約者は誰だったか。それすらも思い出せない。

 王都内に敵兵達がなだれ込んできている。


 敵兵とは魔族兵と人族国家の連合軍だ。

 魔族は共通の敵だが。人族軍も敵に回した。

 魔族領に接する小国を組み入れたのが大国の逆鱗に触れたらしい。



 今は王宮で最も堅固な塔、キープにいる。

 あの文官の最期の叫びが昼夜私を襲う。


 余は自ら毒杯をすすった。その後、火をつけてもらう予定だ。

 戦後、余の遺体が死霊にされて魔族どものオモチャにされるのを防ぐためだ。



【陛下ぁああああああーーーーーー】


 最後に耳に届いた言葉はあの文官の幻聴か。それとも現実の部下の叫び声なのか区別つかない。

 だが言える。あの文官の叫び声は王国崩壊の序章だったのだ。




☆数日後


・・・灰になった王城に1人の恰幅の良い男が兵と共に現れた。


「チャールド子爵・・アドラーの死体は見つかりません」

「だろうな・・・」


葉巻をくわえながら人族連合軍の一将校は答えた。


「馬鹿め。アドラーの宿敵、靴屋の息子は魔族に転生して母のすすめで魔神教の司祭になったぞ。奴も独裁者は嫌だったらしい。悲惨な最期を遂げたからな。

 ハンサムで魔族女にモテモテだと、カゲの情報が入っている・・名は前世と同じでヨシフだと」


「子爵殿、何をおしゃっているのですか?そうそう子爵殿は名誉公爵の地位が贈られるそうですね。宰相になれるのではないですか?」


「御免被る。いくら大きなシルクハットを被っても我は我だ」


そうだ。桐の切り株に杉の木を苗木にしても育たない。

アドラー、お前は伍長だ。伍長国王だ。絵でも描いておれば良いものを・・

とチャールドは心の中でつぶやいた。






最後までお読み頂き有難うございました。

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