指輪
本作は仮想で作られたフィクションの物語です。 実在する人物、事件などとは無関係です。
「ティロンティロン」
休む間もなく開いて閉まるカフェのドア。
「え、ヨンウさん? 塾がここ? 授業が終わったようですね。」
その時、入口から入ってきたスーツ姿のある男がヨンウに挨拶した。
「あ!アン代理、本部長は?」
ヨンウはスプリングのように席から飛び上がり、
アン代理の周辺を見回した。
「本部長はこの近くで打ち合わせがあるので···」
「あ、忙しいんですね···」
「でも、この方たちは?」
「あ!今度一緒に復学する友達です。
私も今日度塾で会いました。」
ユンギュとジヘを見たアン代理は、
完全に対照的な二人の雰囲気に ヨンウを前にして、
なぜか何の話が交わされたのか分かるような気がした。
「みんな、ごめん、急に急用を思い出したの。 また来週!」
ヨンウは何を思ったのか急いでカバンを背負った。
コーヒーを注文しようと並んでいたアン代理の肩にそっと腕を上げた。
「アン代理、今日ここで私に会ったことを本部長に秘密にしてください」
「あれ?なんでですか?」
「広報室から送ってもらった資料、
今日確認しようと思います。」
「あ~~!!」
アン代理の目が輝いた。
拳を握ってヨンウを眺めたアン代理。
ヨンウが笑いながらアン代理と拳の挨拶をした。
「お客様.. そのように手にはめて行けば、
彼女の方がすぐ分かると思いますが···
もしかしてサプライズじゃないですか?」
ヨンウに指輪を渡した販売員は恥ずかしそうに笑いながら言った。
「あ…ありがとうございます。」
ヨンウは顔を赤らめ、照れくさそうに言った。
ヨンウはシンユルに確信を持ちたかった。
順番がめちゃくちゃだけど今、ヨンウはほとんど毎日
シンユルの高級ビラの家に泊まっていたのですが、
この前シンユルは自分の家、
空いているゲストルームを ヨンウが使えばいいのではないかと、
この家が不便でなければ一緒に暮らそうと言った。
鍵はもう前にもらったし、まだシンユルの家事を手伝っているオ女史が少し不便で、
シンユルとアン代理が出勤する時 一緒に出てヨンウは自分の部屋に帰ったが。
これからオ女史とよく会う間柄なら、
先に心を決めたほうがいい 思った。
最近はよくヨンウ一人でシンユルの家に残って書斎で本も読み、
必要な勉強もした。
家に帰ると言ったら、オ女史がよく食べなければならないと
必ずお弁当だし、おやつを作ってくれたから緊張したヨンウの心も早く和らいだ。
ヨンウがたくさん食べられないことを分かってくれるのもあれこれ無理に勧めないことも、
ヨンウの心に大きく貢献した。
家の問題は一人で決める問題ではないようで
少し時間をくれと言ったら、シンユルも分かったと言った。
あれこれ受けてばかりいたという気がして、 彼女に内緒で
「指輪の準備」のような検索をして試みたが、いずれも失敗した。
ヨンウは、シンユルに内緒でドレスルームのアクセサリー箱を探すのも嫌だった。
結局アン代理に聞いてシンユルがSNSに載せた指輪のサイズが
知りたいと告白すると、アン代理は静かに興奮し、
その日のうちに 広報室で資料を受け取り、ヨンウに資料を渡した。
洪社長からもらった507号室は、
今やヨンウの専用シャワー室になった。
一緒にいる家に帰ってシンユルに1分だと早く 寄り添いたい気持ちで
「Adam's apple」売り場でヨンウはシャワーを終えて帰った。
ヨンウとシンユルの二人は一緒に暮らし始め、
外でのデートよりも家にいる時間が多くなった。
書斎にこもってお互いに本を読んだり、
シンユルが買ってきたゲーム機でゲームもして、
ある日は本当の世界地図を広げておいて
行きたい国の土地を買ってホテルを建ててみようと
ブルーマーブルゲームをしていたら、外でのデートを楽しむ回数が減った。
「ヨンウさん、心臓の鼓動が速すぎませんか?」
リビングのソファーに座って映画を見ていたシンユルは映画が終わる頃ヨンウに言った。
ヨンウはゆったりとしたTシャツ姿で半ズボン。
シンユルはいつも家で着ているロングスリップにローブを羽織っている。
「本部長、このように着て。 僕の胸に寄りかかっているんですね···
反則だと思いませんか? 僕が肩と腕を内側でタッチする時
知らないふりをされたことは全部知っているんですよ。」
「あ...あの女主人公が着た、
チェック柄がとてもよく似合ってつい…」
「あ…なんて。書斎から急に眼鏡をかけて来る時に気づいたんです。
もう映画も終わったから。 部屋に行って寝たいです。」
ヨンウはシンユルの肩にローブをそっと持ち上げてロングスリップの紐に口づけをしながら優しくささやいた。
「ヨンウさん、もう少しこのままで居てくれませんか?」
シンユルがヨンウの胸に顔をうずめて言うと、
ヨンウが「はい」と言って、シンユルの肩を抱いてそっと体を揺らした。
「お代わりに、話があります。」
シンユルが目を丸くして緊張した目でヨンウを見上げた。
ヨンウは指輪ケースをポケットから取り出し、テーブルに置きながら言った。
「何か、本部長に会って順番がごちゃごちゃになったけど、
私と正式に付き合ってくださいませんか。」
すると、シンユルがいたずらっ子のような表情で左手の指をぱっと広げた。
ヨンウがシンユルの左手薬指に指輪をはめてやったら、
シンユルも指輪ケースで指輪を取り出してヨンウの左手の薬指にはめた。
日曜日を個人的な都合で休載します。私が書いた話を読んでくださって心から感謝申し上げます。




