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エピローグ

 敵を欺くには見方から。私たちは、ネオ・トーキョーを出る計画を綿密に立てていた。それを私たち以外の誰にも話さずに、今日を迎えた。

 しかし私には一つだけ気がかりなことがあった。

「お父さま?」

「私の、事実上の父親」

 これは推測だけれど、お父さまだけは多分私や研究所に対して中立の立場にある。

 何かお偉い方のようであるし、研究員が私に話せない事もサラリと話していた。

「どうしても?」

「どうしても」

 一応、今まで私がお世話になった人だ。それに、彼なら全て打ち明けてくれる気がした。

「じゃあ俺も行く。片瀬さんに何かあったら、意味がないしな」

「わかった」

 私が会いに行くと言ったら、お父さまは、直接学校に来た。何でも、僕が来ると騒ぎになっちゃうからとかで、こっそりお忍びで来たらしい。

 いつもみたいに白衣ではないから、私ははじめお父さまと認識できなかった。

「エマ」

「お父さま?」

「僕に話しがあるのだろう?」

「はい」

 私は全てを話した。鞠香や麻奈美、鴇子のことや御影くんのことも。そして、六王子くんのこと。

「君が六王子長政くんだね?」

 お父さまは六王子くんのことを知っていたらしい。六王子くんは緊張気味に返事をした。

「自然体が飛行訓練でエマに勝ったと研究所では話題だよ」

「はあ」

「ときに、エマ。僕はお察しの通り、君と研究所との間、中立の立場にある」

 お父さまは全て話して下さった。お父さまの妻、つまり私のお母さまは、私と同じ人工体であり、やはりパイロットになるべくして生まれた。ところが、当時研究員だったお父さまと恋に墜ち、両者の精子と卵子を提供することを条件に、パイロットを諦めお父さまの妻になることを許されたのだという。

「エマ。お母さまの名前はね、ルカ・アーダ・ジョルターノと言う」

「アーダ・ジョルターノ?」

 それは、麻奈美と同じ名前ではないだろうか。

「まさか」

「お前のお姉さまだよ。麻奈美は」

「だって、似ていないわ!」

「似せたらわかってしまうだろう」

 姉だと言うから、てっきり年上だと思っていた。確かに麻奈美は私よりも誕生日が先に来る。お父さまは今度は六王子くんに話しかけた。

「六王子くん、エマと君の恋愛を許してもらうには、やはり僕たちと同じ選択肢を与えられるだろう」

「俺たちを誰だと心得ておいでですか。アンタがどれほどお偉いかは知りませんが、将来はネオ・トーキョー一、二を争うパイロットになる人間ですよ? どこまでも逃げます」

 お父さまにメールが届く音がした。

「ごめんね、エマ。さっきも言ったように、僕は中立の立場なんだよ。どうやら時間がないらしいね。研究所の職員総出で君たちを留めるつもりのようだ」

「逃げるなら今だ、と?」

「そうなるね」

 私と六王子くんは愛用の飛行機に乗り込んだ。一度別れて、然るべき場所でおちあうつもりだ。

「さよなら、お父さま」

「不思議だね。ときどき遺伝子をデザインした君の方がルカに似ているように感じるのだから」

 スロットル・レバーを強く引いた。空の彼方に、敵機が見える。でも、私も六王子くんも大丈夫。だって、私たちは愛と言う自由を知っているから。

「六王子くん」

「何、片瀬さん?」

「私、あなたが好き」

 その日、ネオ・トーキョーに住む多くの人が風を受けた二機が、まるで鳥のように敵機をかわして去って行くのを見たという。

さてさて、皆さんこんにちは。そしてはじめまして。紗英場です。

やっとこさ終わりましたね。

お気づきの方もいらっしゃると思いましたが、この作品ははじめ短編として完成させたものを分割して連載形式にしたものなのです。

と言うのも、やっぱりモバイルから閲覧して下さる読者さんのことを考えると、十を超えるページを一気に読むのは辛いかな、と。

さて、作品のテーマは、やっぱり自由について。実はもう一つ同じテーマのものを書いていますが、あれが僕が無計画に適当に書いているとしたら、これはきちんと書いたものです。

それだけ。因みに、六王子くんは僕の理想の男子です。僕の悩みをスルーしない人、かな。まあ、僕の理想のタイプはどうでも良いですよね。まあ、それだけで人を好きになることはありませんがね。

エマは、僕に似ています。僕はお人形みたいではないですが、やっぱり背は低めです。僕は女子ですからね。

それでは、長々と書くとウザがられそうなので、この辺りで失礼します。

またあなたにお会いできたら光栄です。



紗英場

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