夢のみた過去夢 戦場の銀蝶
文字制限って、四千じゃなく四万だったんだ・・・。へ~。
と、思いました。
竜王がアリアの夢を見た夜、なんやかんやで愛美も夢を見ました。
夢の中で、愛美は空間に立っていました。
真っ白な世界で、下から雪のようなモノが降っています。
キラキラとした道があったので、愛美は辿って行きました。
穴がありました。
愛美は迷うことなく飛び込みました。
夢ってそんなもんです。
愛美は夢を見ていました。
愛美の見る先には、長い銀に輝く黒髪に、瞳孔の存在のわからない青い瞳の、綺麗な女性がいました。
彼女が、竜が言っていた『アリア』だと、愛美はわかりました。
だって夢だもん。分かるもん。
アリアは長い髪をポニーテールにしているので、エルフの尖った耳が見えています。
琴のような楽器を弾いていました。
隣には、嬉しそうな無表情の竜王がいます。
雪のような白い髪と、輝く黒髪のセットは見事なものでした。
場面が変わって戦場になりました。
夜の帳に、黒い城が見えます。
「闇の古城」
愛美はそれを知っていました。
アリアも戦っていました。
相手は漆黒の髪と目の、黒ずくめの男です。
“闇の王”と呼ばれる男でした。
白の衣で 華麗に 戦場を駆る
闇の使者は まるで花
ヒトからヒトへ 彼の王は舞い斬り裂く
蝶が花から花へ渡り蜜を吸うように ヒトからヒトへ命を吸う
そんな詩が詠われました。
魔法界の王アリアをヒトは“戦場の銀蝶”と呼びました。
幾日か過ぎ、アリアは言いました。
「終わらせよう。死と悲しみを生む戦を」
近くにいたふたりが頷きます。
アリアの執事のルカと、王佐のロンドです。
動きやすそうな白い着物と、かさばらなくて軽い、デザインの良い防具を身に付けたアリアは、空を飛ぶ白竜、竜王を見ました。
「成就?」
竜王がテレパシーで聞いてきました。
「そう」とアリアは返します。
「『夢世界』に、先に行ってて」
竜王は従って、魔法界及び世界からいなくなりました。
アリアには、結末までの道のりは分からないけど、分かっている事もありました。
「戦は終わり、私は死ぬ。そして、夢世界へ行く」
そして、再びこの世界に戻ってくる。
どれほどの時を刻んでも。
戦が始まり、すぐにアリアは真っ黒な世界に落ちました。
「?」
アリアは何が何だか分からずに、キョロキョロと辺りを見回します。
すると、突然闇が晴れました。
世界が見えると、そこには自軍の死体の山がありました。
アリアは返り血で赤くなり、その手には、命を消した感覚が残っていました。
「……わ…私が…?」
状況をアリアが理解した途端、澄んだ綺麗な、それでいてどこか悲しそうな声音の音が聞こえました。
近くなような遠くなような。
何処からの音か、何の音かも分からない音は、アリアの中に響きました。
闇の王がやってきました。
「グイル」
呼ばれた彼は、アリアに言いました。
「戦争は終わったぞ」
そう言いました。
「何で?私を知ってる筈のグイルが。何で?」
グイルは真っ直ぐな目のまま言いました。
「この世界を壊すため」
そういえば昔、グイルは言っていました。
「俺達から愛する者を奪ったこの世界を、俺は許さない」
アリアの持つ魔剣が燃え上がり、アリアはグイルを刺しました。
「もう二度と、愛する者を殺したくなかった」
目を見開くグイルは、アリアの(顔が見えないので)頭を見下ろしました。
アリアは、グイルの黒い目を見上げると、小さな声で言いました。
「私は、グイルが・・・」
闇の王は倒れて死にました。
沈黙がありました。
確認のためにアリアが周囲の死体を見渡しました。
そこに、王佐ロンドはいませんでした。
さすがにグイルも、自身が親のように慕っていたロンド先生は殺せなかったようです。
「貴方達は、生きなければいけません。私の代わりに」
アリアは死体に語りかけました。
そして、足元の綺麗な短剣を拾い上げると、その胸にかざしました。
赤い血が地面に落ちました。
「またね」
月は昇っていった
星を見下ろす高みへと
静かに 気高く 清らかに
堕ちていった
「む?」
愛美は起きました。
そこは自分の部屋でした。
現在は午後十一時。一時間しか寝ていません。
愛美は素直に再び眠りにつきました。
今度は大好きな銀魂の夢をみました。
「夢では、人間になりたい。魔力の無い女の子に」
アリアは、愛美に生まれる前にそう言いました。
竜王は頷いて、一足先に日本国の沖縄にやってきました。
そして、アリアは愛美、竜王は月野 竜となりました。
かくして、リュウとマナと魔法が始まるワケでございます。
わはは。