戦いのおわり。
「何ィィィィィ!?月姫さまの守護者ぁぁぁぁ!!?」
雷の絶叫が響きます。
「そうだよ。まあ竜王の場合は守護獣だけどな」
「はっ?獣?」
「俺たちのことはいい。さっさと帰れ。魔術師」
すでに脱出用のゲートを作った竜王は、雷を急かします。
「お前らはどうするんだ?」
「主の元へ戻る。後で会おう」
「じゃあな」
「ワタクシとはもう会うことは無いじゃろう」
あくまで雷くんには帰ってほしいお三方です。
「月姫さまがいるのか!?なら挨拶を……」
「しつこい」
「帰れ」
「失せろ」
かくして少年は、お尻を蹴飛ばされてゲートにぶち込まれ、強制的に帰されたのでした。
銀を弾く黒髪に、青い目の女性、アリアが立っています。
その眼に映るのは、闇の王。
「…囚われていた少年は、返していただいた」
「そうか」
「他の魔術師さんたちは、間に合わなかったようだが」
アリアがちらりと見た先には、魔力を吸い尽くされた人間がぼうっと座っています。
「私は、いまあった事の全てを忘れる。グイルに会ったことも」
「…そうか」
しばらくの静寂がありました。
「私は、もうすぐ戻る。私の生まれた世界に。魔法界に」
グイルはアリアを見ました。
「グイル。今一度問う。光側に戻る気は無いか?」
「俺も今一度聞く。闇の側に来る気は無いか?」
ふたりは真っ直ぐに見つめあって言いました。
「「無い」」と。
「戦争がまた、始まるな」
「勝つのは私たちだよ。グイル」
「何故そう言いきれる?」
「それは、後でのお楽しみ」
アリアは悪戯っぽく笑いました。
いつかしたその会話はスグに終わりました。
「「マナ~」」「「月夜様ぁぁ」」
「おや。もうお別れの時間か」
遠くからの声を聞き、グイルは呟きました。
「竜王。ベル、百眼。夢幻」
「アリアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
竜王が抱きつきました。
「久しぶりに見た。アリアぁぁぁ」
「おお。やっぱ美女」
「って、アレ?闇の王…グイル・ジャスティス?」
ベルが気づきました。
「よォ。相変わらず髪の色が二色だな。ベル」
「それがどうしたか。ってか何してやがんだこんな所で?」
まさか日本にいるとは思わなかったグイルに、ベルはツッコみます。
「ヤンチャしてる手下共の回収にな。何。用が済んだらさっさと帰るよ」
「……。一応魔法界に通報はしとくからな」
「ああ。ついでに、魔力のある人間をしっかり護れとの苦情も入れといてくれ」
グイルは、そこでのびている人間を指さしました。
「全くだ。おかげで私は半年、復活を遅らせることになった」
「え?」
「本当なら、明日にでもアリアに戻れたかもしれなかったのにね」
「身体はほとんど再生していたのでありんすが」
「チッキショー!俺と竜王の貴重な時間を返せバカヤロー!!」
グイルがこの瞬間、
「この騒動の原因奴らは皆殺しにしよう」
と思って、後に実行したのは秘密です。
「まあいいじゃないの。なんでも」
「よかねーよ!」
「帰ろう。マナミの世界に一旦帰ろう。夢幻と百眼は夢世界にね」
「「はい」」
シュンッと、式神たちは消えました。
夢世界という空間に戻って行ったのです。
「俺があのバカ共を引きつけている間に、お前らは逃げろ」
「マジ?いいのかよ。魔王陛下」
「フン。どうせ戦うなら、れっきとした戦場でがいいからな」
聞きましたか?皆さん。 コイツがツンデレという物です。多分。
「ありがとう、グイル!ホラ、ふたりも」
「「ありがとー(棒読み)」」
さんにんは、瞬間移動とよばれる魔法を使って帰りました。
帰った瞬間、愛美は今までの事を見事に忘れました。
お久しぶりです。
同時進行の阿修羅華ばっかりやってたら忘れてました。
(笑)