開けた道のその先へ
何だか豪華な部屋に、竜と雷がいました。
竜は、性格と目を変える魔法具の眼鏡をしていません。
龍の眼は丸出しだし、性格は丸変わりだし、知らない人恐いしで大変してました。
~テイカー邸~
「異空間。入口はココだよ」
「ふむ。わかった。ありがとう」
ロジャーとマナミが、水晶玉を覗きながら対話していました。
「俺もついて行けたらよかったのに。ごめんよ」
仕事があって行けないロジャーが、残念そうに言いました。
手には桂小太郎のぬいぐるみ(攘夷戦争バージョン。愛美ちゃんお手製)を持っています。
完成度はかなり高いです。
マナミとベルは、爽やかなロジャーの応援を背に受け、歩を進めました。
目指すは森の中。
異空間に存在する“夜の一座”のアジトです。
マナミの周りを、赤い精霊が飛び回ります。
嬉しそうに飛び回る精霊は、異空間への道を簡単に開けました。
「おのれ、夜の一座め。待ってろよ、竜王」
「ベル。少しは落ちつてくれ。というか、そのでっかい剣はどこにあった?」
マナミはベルがしょっている、やたらとでかい長剣を指して言いました。
「マナの兄ちゃんの落書きを具現化した」
「あ~。『お兄ちゃん』は武器が好きだから。戦闘機は嫌いらしいが」
「だってウルサイもん。なんであんなもんが民家の上を普通に飛んでるの?」
「こっちが聞きたいわ」
雑談を交わしながら、緊張感を全く漂わすことなくふたりは乗り込みました。
「そもそもさ、何か穴の周りにやたらと霊が見えるんだけど?」
「……。お祈りして通り過ぎなさい」
「で、あの穴は何?」
「ガマだよ。あそこに戦争中は人が隠れたんだ」
「ふ~ん。…アレ?マナ?何で泣いてるの?」
「勝手に出てきたんだよ。前がかすんで見えない。どうしてくれるんだ」
「ふ~ん?」
「あの人たち、可哀そうだな。何か」
「可哀そうでしょ。とっても」
月桃の花が咲いていたそうな。
戦火舞う地獄の地で。
日本兵がいたそうな。
沢山の島んちゅを殺したそうな。
沢山の人が死んだんだそうな。
知ってます?“沖縄戦”