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なんか妹の距離が近い気がする。  作者: シマイノ=ユリスキー
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51. お祭り会場へ向かう姉

〜姉視点〜


 今日は待ちに待った夏祭りの日だ。たこ焼き、焼きそば、わたがし、チョコバナナ、りんご飴…などなど、ほんとに楽しみ。体重のことは………まぁ未来の私がどうにかしてくれるはず。信じてるぞ!


 私はすでに用意を済ませ、リビングで美優を待っていた。


「お待たせしました。」


 美優の声が聞こえたため、扉の方へ顔を向けると、そこには浴衣を着た女神が立っていた。美優の雰囲気とあまりにも合っていたため、思わずその浴衣は美優のために作られた服なんじゃないかと勘違いしそうになった。


 それに、なんだかいつもよりメイクに気合が入ってる気がする。でも別に濃いわけじゃないし、とても似合ってる。もともと綺麗だけど、今日はいつも以上に綺麗だ…。


「…その…どうでしょうか?」


 ほっぺたを若干赤く染めた美優が上目遣いで聞いてくる。可愛い。


「すっごく綺麗だよ。見惚れちゃった。」


 ほんとに綺麗だ。美優が妹で誇らしいよ。


「ふふっ、ありがとうございます。お姉さまも似合っていて、とてもお綺麗ですよ。」


 ミユの ほめる こうげき!


「うぐっ!あ、ありがとう…。」


 こうかは ばつぐんだ! 


 …ちなみに、私も浴衣を着ている。実は、せっかくだし四人で浴衣着ようってなったのだ。レンタルではあるが、普段着ることがない浴衣を着れるのは嬉しい。


 それに、母さんが着付けの仕方を教えてくれたので、一人で着付けできるようになれたのも良かった。


「あ~、えっと…じゃあそろそろ行こうか。」


「あっ、ちょっと待ってください。出発前に一つだけ良いですか?」


「ん?どしたの?」


「その、以前買ったピアスのことを覚えていますか?」


「うん、覚えてるよ。しっかりピアスホールができてから付けようってなったよね。って、もしかして。」


「はい。そろそろ大丈夫でしょうし、付けていきませんか?」


 広げられた美優の右手には一組の可愛らしいピアスがのっていた。


「わぁ!良いと思う!!さっそく付けよ!!」


 美優と一緒に洗面台の前に立つ。美人な二人が鏡に映った。


 …う~む、こんなに美人な二人組だと、イケメンからナンパされちゃうかもな……な~んて。実際に来られても困る。


 前までならナンパされてみたかった気持ちがあるけど、今そんな気持ちは全くない。まぁ恋する相手が出来たんだし、そりゃそうだ。それに、そもそも美優に対してのナンパは絶対ダメだ。お姉ちゃんとして、美優に迷惑かける奴は誰であっても許さない。


 さて、そんなことを考えながらも、無事にピアスを付けることが出来た。


「えへへ、お揃いだね。」


「ふふっ、そうですね。」


 二人で顔を合わせて微笑み合う。そんな二人の片耳には同じデザインのピアスがついている。


「…さて、それでは今度こそ出発しましょうか。」


「うん!お祭り楽しみだなぁ!!」



―――――


 家の外に出る。寒くもなく、熱くもない丁度いい気温だ。


「お姉さま、たまには手を繋ぎませんか…?」


 さあ行くぞってなったとき、美優がおそるおそるこう聞いてきた。


「……。」


 顔を伏せて自分の手を見つめる。確かに、最近は美優の服の袖を摘まむだけで、手をつなぐことはなかった。というのも、単純に私の心臓がもたないからだ。そりゃ好きな人と手を合法的に繋ぐチャンスではあるんだけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。


「…ごめんなさい、何でもな―――」


「いいよ繋ご。はい。」


 だが、今日は手を繋ぐことにした。言葉を撤回しようとした時の美優の顔を見ちゃったら、私の恥ずかしさなんて消え去った。


「…ありがとうございます。…とてもあったかいです。」


 美優が私の手をぎゅっと強く握る。お返しにと、私も強く握る。


「えへへ、まるで接着剤でくっ付いたみたいだね。」


「…ふふっ、それでは今日はもう離れられないですね。」


「それは困っちゃうねぇ。」


「私は困りませんよ?」


「え~、実は私も困らない。えへへ。」


「ふふっ。では私と同じですね。」


「そうだねぇ。いひひ。」


 美優と笑い合いながら会話を続け、お祭り会場へと向かう。ん~、楽しいなぁ。このあとはもっと楽しいんだろうなぁ。あ~、ワクワクする。




 人生最大のイベントまでもう少し。


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