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Express BRZ  作者: Elena
第一章 出会い、SUBARU BRZ
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群大病院

 実家に戻った翌日、三条神流は群大病院に向かい、精神病の診断を受ける。

 三条神流はとりあえず、直ぐにでも群馬でバス運転士に復帰しようと言う思いから、文京町の最寄りのバス停から日本中央バスの広瀬駒形線で前橋駅に出て、前橋駅で関越交通のバスで群大病院に行く方法を取って、群馬のバス運転士の仕事を覗こうとした。

 だが、日本中央バスの広瀬駒形線に乗って前橋駅まで行ったものの、いざバスの車内に入ると、アルピコ交通で南條美穂にされた事や、その後の事態を思い出し、それが恐怖心となって三条神流に襲い掛かって来た。なんとか、前橋駅まで行けたものの、乗り継ぎの関越交通のバスに乗る事が出来ない。

 呼吸を整える三条神流。だが、バスに乗ろうとすると、恐怖心が芽生えてしまう。ふと、タクシーが目に入った。三条神流はフラフラしながら、黒いクラウン・スーパーデラックスのタクシーに逃げ込む。

「ご乗車ありがとうございます。どちらまでお送りいたしましょうか?」

 と、眼鏡っ子のドライバー。

「ぐっ群大病院に―。」

「群大病院ですね。ご指定のコースはございますか?」

「コース?あっいや、お任せで―。」

「かしこまりました。申し遅れました私、日本交通の松田と申します。安全運転でまいります。念のためシートベルト着用をお願いします。」

 そのタクシー運転手の眼鏡っ子を、三条神流はどこかで見ていたのだが思い出せない。

 群大病院に着いて、料金を払う時、眼鏡っ子はじっと三条神流の目を見ていた。

 そして、群大病院での診断の結果、三条神流は軽度ながらうつ病にかかっているという事が明らかとなった。これでは、バス運転士に戻るのは絶望的である。

(もう嫌だ。なんでこうなるんだ。鉄道好きからの乗り物好きで、それが高じて、彼女の住む町へ行って、バス運転士になったのに、その彼女のために―。)

 と、三条神流は思うが、現に今は、人に会う事ですら恐怖に感じている。

 これでは、バス運転士に戻るどころか、再就職すら厳しいだろう。

 そして、群大病院から実家に帰る事すら恐怖だ。どうするか考える余裕すらない。そもそも、何がどう恐怖に感じているのかさえ分からないのだ。

「あれ?」

と呼ばれ、「ひっ!」と悲鳴を上げる。

「三条?三条じゃねえか!群馬に戻って来ていたんだな!」

 エヴァンゲリオンの碇ゲンドウに似た、サングラスをかけた男。かつて、鉄道好きだった時、一緒に行動していた鉄道好きの同好会「群馬帝国帝都防衛連合艦隊」の司令長官である霧降要だった。

「やっやぁ」と、何とか声を絞り出す。

「何してんだ?」

「ちょっと検診に。これから実家に帰るところ。」

「そうか。ならさ、俺が送ろうか?」

 と、霧降要が言うので、三条神流はそれに甘える。

 多数の誰と分からぬ人と乗り合うバスには乗れず、かといってどこの誰が運転しているか分からないタクシーに乗るより安全だと考えたからだ。

 三条神流の記憶では、霧降要の車はマイクロバスを改造したキャンピングカーだったのだが、それが見当たらない。

「こいつだ。」

 と、霧降要はSUBARU BRZ‐R(ZC6)のドアを開けた。

「連合艦隊のメンバーはみんな今、車好きになった。今の俺は司令長官ではない。指揮を取っているのは別の奴さ。」

 言いながら、霧降要はBRZのエンジンをかけて発進する。

「そういえば、お前のキャンピングカー。確か「エメラルダス」号だっけ。あれは今も居るのか?」

「居る。」

 短い返事の三条神流。霧降要はそんな三条神流を昼飯に誘った。

 東部バイパス沿いの三俣のマックに入る。

 しかし、客の多さに三条神流は震え上がって顔が青くなる。

 流石に霧降要も変だと思って話を聞いてみる。三条神流は震えながら診断書を見せた。

「マジかよ。」

 と、霧降要は言い、三条神流は自分の今の状態を震えながら話す。

「この件は誰にも言わないでおこう」

 と、霧降要は言った。



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