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その10 死への固執

 周辺の探索をしていた時に、二十メートル以上ある高さの崖から足を滑らせ落ちてしまい、腕と脚の骨を折ったことがあった。気づけたのが腕と脚の骨だけで、他の部位も骨折した感じはあったが、どうしようかと考えている間に全ての怪我は直っていた。


 そんなこともあり、骨折ですら瞬時に直ってしまうことは知っていたため、骨折よりも酷い怪我をしたらどうなるのかを知ろうとする。そして、やるしかないと意を決し、回復力の限界を計るため、体の一部を切断することにした。


 切断すると言っても、もし指を切り落として回復しなかった場合が恐ろしかったので、腕の肉を少しだけ噛み千切ることにした。痛みがないと分かっていても、自分の腕を噛み千切るのには相当な勇気が必要で、口を開いた状態で数秒固まり、躊躇った後口を閉じ、また勢いをつけて口を開くことを繰り返す。


 そんな動作を半日繰り返し、いよいよ自分に苛立ちを感じ出すと、怒りの力を借りて、腕を噛み千切る。当然痛みはなく、血もでておらず、口の中には懐かしい肉の感触があった。


 懐かしい感触ではあったが、自分の肉を堪能する気は起きず、すぐに吐き捨てたところ、腕の傷は回復せず、肉片の方が光の粒子となり消え去り、腕の傷へと戻り完全に修復された。


 何度か試して分かったことだが、面白いことに体から千切れた肉片には意識が残っており、粒子になるまでの僅かな間は、自分が二人いるような感覚があった。そのため、投げ捨てた肉片の方に、本体を粒子に変え復元することにも成功したが、当然その場合は衣服はおきざりになり全裸になっていた。


 ひと月も過ぎると、セルフ人体実験は更に過激さを増し、自己再生能力テストから、死ぬことへと興味が移ってゆく。


 決して死にたいわけではなかったが、死の危機感が鈍くなったことで、自分の身が危険にさらされるのではないかという不安は、常に付きまとい、それを解消するため、死ぬ直前の限界を見極めようとする。


 以前に突然湖が現れ、溺れそうになっていることから、窒息した場合にどうなるのかと、鼻をつまみ息を止め続ける。一瞬苦しさを感じたような気がしたが、その後は三十分以上息を止めていても平気なことが分かり、それ以上は時間の無駄だと思い中断する。


 それだけでも理解するには十分だったが、実際に試さずにはいられなかったため、また湖が現れた時に潜ることにしてみた。


 水の中で全ての息を吐き出し、肺が水で浸されているにも関わらず、まったく苦しさはなく、息を長く止めていられるとかそういう次元ですらなく、呼吸自体が必要ない体になっていた。そして陸地に上がり肺から大量の水を吐き出したあとは、この体に染み込んだ癖とでも言うのか、また普通に肺呼吸をしていた。

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