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レプリカント・シティ

作者: 2040123

 人の心とは,国のようだと思う。様々な感情が住んでいて,様々な記憶が建っていて,様々な言葉で装飾されている。様々な街が廻ってる。中でも,その人の価値観に深く関わる場所は首都であり,首都は他人に見せるものだから,多少無理してきれいに装飾したり,発展させたりしている。

 私は,物心ついた時から首都が普通の人と大きく違うことを認識し,嘘や秘密で塗り固めた。誰が見ても,きれいな街だね,と言ってもらえるように,必死に作り上げた。でもそうしている内に,それは首都ではなくなった。嘘を何層にも塗り重ねすぎて,もはやそれが一つの街になった。隅から隅まで偽物の,首都だ。でも,その偽物を壊す気はないし,壊す勇気もない。今の人間関係を維持したまま生きていこうと思えば,これからもこの首都が本物だと,他人を騙していかなければならない。

 でも,自分を騙す必要はない。人付き合いに疲れたときは,自分の首都を眺めてみるのも悪くない。勿論,本物の首都を。私は,時間があるときは絵を描いたり小説を書いたりと,創作活動を多く行う。創作というものは,自分の本物の首都と向き合い,さらけ出さなければ,「本物」を作り出せない。他人がどう思うかにこだわりすぎ,自分の偽物の首都を見せながら作っても,出来上がるのは「偽物」に過ぎない。

 自分の創作物が,「本物」なのか「偽物」なのかは分からない。どこかで,他人の評価に怯え,偽物の首都を見せてしまうかもしれない。だから私は,皮肉を込め,このペンネームを使う。今日も,このペンネームを,書こうとする。でもそこで,手が止まる。

 「本物」を書きたいなあ。


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