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カントリーロード 18
いつもより急いで教室に入ると、もう鉄子は来ていて、古木と話をしていた。
「テッちゃん」という絹代の呼び掛けに顔を上げて絹代を認めると、鉄子は笑顔で大きく手を振った。そんな仕種に絹代の罪悪感は幾分和らいだ。それでも恐る恐るしか近づくことはできなかった。絹代は鉄子の傍に立つと、
「昨日はごめんね」と言った。鉄子は驚いたように応えた。
「何しただ?おら、別に謝ってもらわなきゃならんこと、何もされてないだ」
「でも、昨日、あんなこと言って」
「あぁ、ん、仕方ないだ。キヌちゃんたちは、あのビッキのうまさ知んねえもん。やっぱ、気持ち悪いって思っちまうさ。おらが悪いんだ」
「…でも…昨日、帰ってこなかったのは…怒ってる…からじゃないの?」
「なして、おらが怒るんだ?おらの方が悪いんだ。怒られることはあっても、怒る理由なんかどこにもありゃぁせん」
「…でも、昨日、先生のとこに泊まったんでしょ?」
「あぁ、あれは、そういうことにしてもらっただ。ほんとは違うだ」
「え?じゃあ、どこに泊まったの?」
「知りたい?」
「…うん」
「じゃあ、ちょっと来て!」
鉄子に促されるままに絹代はついて行った。古木は要領を得ず、ぼんやりと二人を見送った。




