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カントリーロード 10

 一緒に南門を出てすぐ、古木と西野と別れた。西野はバス通学なのでバス停まで帰る方向が同じの古木が右に折れる。わざわざ絹代は今朝来た北門とは逆の南門から公園を抜けて帰ることにした。鉄子に緑地公園を見せたかったのだった。

 住宅地を抜けて公園に入ると、鉄子は感心した声を上げた。

「ひっろいなぁ、ここは」

「どう、きれいでしょ」

「ん、けっこういいな、ここも」

「テッちゃんはきっとこういう雰囲気が好きだと思ったから、ちょっと遠回りになるけど、こっちから帰ろうと思ったの」

「ん、いいな、ここ。空が広ぉい」

絹代は得意気になって沿道を歩いていたが、いつのまにか鉄子は芝生の中に入って歩いていた。

「あんまり、草の中歩くと犬のフンがあるから汚いわよ」

「ん、おらかまわんねぇ」

鉄子の答えに絹代は一瞬絶句した。

「どうして?」

「んでも、生き物がいりゃ、うんこくらいするだろ。キヌちゃんも」

「そ、そんなこと…」

時々鉄子と話すのが嫌になってくる。そう思いながら歩を進めると、鉄子がついて来ていないことに気づいた。振り返って見てみると、鉄子は芝生の上で地団駄を踏んでいた。地団駄に見えたのは絹代の気のせいで、よくよく見ると鉄子は土を踏みしめて感触を確かめているようだった。四股でも踏んでいるかのようなガニ股で。

「どうしたのぉ?」

少し離れた場所から絹代が鉄子に声を掛けると、鉄子は首を傾げたまま地面を見ていた。それからゆっくりと沿道に戻り、絹代に近づいてきた。

「どうしたの?」

「ん、土がかてぇ」

「固い、の?」

「んだ。ここの土は、変だ」

「変?どう変なの?」

「あんなぁ、土って、こう土っころの上に腐った木や草が積もっててな、腐植っていうんだけんども、その上に草が生えるんだ。ここの芝生は、ほとんど直接土っころの上に生えてる。こう、なんてのかな、クッションみたいな感触がねえ」

「そうかな」

試しに絹代が芝生を踏んでみた。いままで立っていた沿道よりも柔らかな感触で絹代の体重を受け止めている感触があった。

「これで、ダメなの?」

「ん、ちょっと違うんだ。ここは、きれいだけどんも、ここの土地にあってねえような気がする」

「じゃあ、あっち行ってみよう。城跡のあたりは昔からの森が残ってるから」

絹代は鉄子の手を引いてそう言った。そう言って触れた鉄子の手は、絹代よりごつごつしていた。一瞬違和感を感じてしまった絹代に気づかず鉄子は引かれるままに歩きだした。


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