未定
普通の子ども達が待ち焦がれる土曜、日曜がひろゆきは大嫌いだった。理由は単純。学校が休みのせいで一日中施設が騒がしいのだ。そして何よりもー。
「ひろ。お前どうすんだよ。」
そう。たかしの存在が煩わしい。基本的には日中は部活で出掛けており、帰って来る前にひろゆきはバイトへ向かうため顔を合わすのはごく稀。だが、その‘稀’が憂鬱なのだ。
「もういいって。俺は俺でやりたいようにすんの。たかしだってサッカーやりたくてやってんでしょ?」
ベッドに寝転がったまま答えるひろゆき。それを見たたかしはため息をつき、
「一緒にすんなよ。」
と、呆れた様に言った。
少し前だったら喧嘩になっているところだが、諦められたのかたかしはあまり突っ掛かってこなくなった。それが余計に気持ち悪い。
「お互いやりたい事やって、毎日楽しんでんだから一緒じゃん。」
「お前はただ自分勝手なだけ。」
時々わざと逆撫でする様な事を言ってもこうやっていなされる。それが少し寂しくも感じる。
「まあ、いいや。たまには飯でも奢れ。バイトで稼いでんだろ。」
「まあ、そのうちな。」
「期待してるわ。」
そう言うとたかしは部屋を出ていった。
「面白くねえな。」
一人になった部屋で誰に向けるでもなく呟く。
お昼過ぎ、いつもより早目にバイト先へ向かった。やはり土日は施設に居ては落ち着かない。
店に着くと丁度ランチタイムが終わり、昼間のアルバイトが帰り始めていた。時々こうして顔を合わすが挨拶程度で名前も知らない。
「おっ、また早いね。」
「土日はガキがうるさくて。」
「まあ、ゆっくりしてな。」
一時は険悪だった店長とも軽口を叩ける仲にまでなった。
更衣室に入ると隅の方に寝転がり携帯電話を開く。待ち受け画面には【新着メール1件】の文字。何気ない無機質な文字だが、今、一番ひろゆきの心を踊らせる。
【今日、バイト前時間あります?】
「なんだ。」
届いていたのは高橋からのメールだった。時々こうして送られてくる高橋のメールには都度騙される。
【もう店に居る。】
業務連絡の様に返信をすると携帯電話を閉じ投げ出す。
仰向けになり目を閉じる。『今が楽しければ…』そんなふうに思ってはいるが、時々言い様のない漠然とした不安が頭の中で渦巻く。今のままでいいのかー。これからどうなるのかー。考えても答えは見つからず、渦は更に勢いを増す。




