92話 ミツキvs悪魔&熾天使
「【厳重結界】」
俺は石井さんを守るようにLv9の結界魔法を張り、石井さんの方を見て声をかける。
「石井さんはそこから動かないでください」
「う、うん」
よし、取り敢えずこれで石井さんに被害が行くことはないだろう。
「それじゃ始めようか」
俺は悪魔と熾天使にそう言うと、熾天使が上を指差した。
なんだ?
シュィィィィィンッ!!!
それは唐突に鳴り、神殿の天井を突き破って降ってきた。
「光魔法Lv8【ニードルレイ】」
熾天使がそう言う。
尖った光線が20個、俺めがけて降ってきた。
ズドドドドドンッ!!
その光線は地面に突き刺さり激しい音と共に地面が壊れていく。
「これだけか?」
俺はその場に立ったままそう言った。天井からは瓦礫が落ちてきている。
正直どのくらいの威力か試したが全くの無傷。
魔防は俺の方が圧倒的に上だとわかった。
「へぇー下等種にしてはやるな。どうやって避けたかは知らんが次は避けられないぞ」
いや、避けてないんだが…
「【ハイパーレイ】!」
熾天使はそう唱えながら両手を前に出す。
キュュュューー!!
熾天使は両手の前にある魔法陣から光を貯め、巨大になった光を俺に向かって放ってきた。
シュィィィィィンッッ!!!!
あ、まずい。
何がまずいってなんかこの光線巨大すぎて後ろの壁とその後ろにある民家を壊しそうなんだよね。聖国の人間はどうでもいいとは言ったが俺が避けて死んでしまうのはなんか嫌だ。
パチンッ
「【反射結界】」
俺は指を鳴らしLv9で覚えられる反射結界を使う。
この結界は名前の通り魔法を反射する結界だ。指を鳴らす意味は特にない。ただやってみたかっただけ。
キィィィンッ!
俺の前に透明な壁が現れ光線を跳ね返す。
もちろん跳ね返した光線は悪魔と熾天使の方へ飛んでいく。
悪魔と熾天使はその光線を飛ぶことで回避した。
あっ!ちょっと待て、飛ぶな!
「虚無魔法発動!」
俺はとっさに反対側の壁に向かっている光線に虚無魔法を掛ける。
なぜ光線を消したのかは明白、あっちの壁の後ろにも民家があるからだ。
くそこいつの戦い方ずるいな
「おいお前場所を考えろ!場所を!」
「なんのことだ?それよりどうやって私のハイパーレイを消した?」
「教えるわけないだろ」
って言っても俺思いっきり魔法名叫んでたけど…
てか悪魔がいないな、気配はわかってるからいいんだけど。
「もらった」
「なにをだ?」
悪魔が俺の後ろから剣で攻撃をしてくる。俺はそれをレーヴァテインで防ぐ。
「!?」
悪魔は俺が攻撃を防いだのをわかると熾天使の方へ戻った。
「あれを防ぎますか、さすがですね」
「まぁ普通に見えてたんでな」
俺がそう返すと悪魔は沈黙する。
そんなに強くないしハンデやるか…
「俺は『異能』を使わずにお前らと戦ってやる。そうしないと勝負にならないからな」
「下等種が言わせておけば!」
「その言葉後悔しても知りませんよ」
そう言いながら俺の方へ突っ込んでくる。
「はぁ!」
「ふん!」
俺は右から殴ってくる熾天使を右手だけで対処し、左から殴ってくる悪魔は左手だけで対処する。
パァンッ!パァッン!
30秒ぐらい経ち全てを防ぎきった俺に驚いたのか、悪魔と熾天使は一旦距離を取った。
「もう終わりか?それじゃあそろそろこっちからいくか…」
俺はそう言ってステータス半分ぐらいのスピードで駆け出しファイヤーボールを左手と右手から悪魔と熾天使に発射しながら突っ込む。
「ふっ!」
「はっ!」
悪魔と熾天使はなんとか避けてたり、防いだりしている。
俺は半分ぐらいまで行った瞬間にファイヤーボールを撃つのをやめ、ステータス8割のスピードで熾天使の裏側へ回る。
俺は余裕がない熾天使の裏に回り蹴るモーションに入る。
「っ!?」
「もう遅いっ!」
バァァンッ!!!ズドドドドドンッ!
俺は熾天使の振り向こうとしている顔面を左脚で蹴り悪魔の方へ飛ばす。
激しい音と共に吹き飛び悪魔と一緒に熾天使は壁にぶつかり壁の深くまでめり込んだ。
「「っ」」
数秒して悪魔と熾天使が壁から出てくる。
「おー意外とタフだな」
出てきた熾天使の顔は血だらけになっていた。
悪魔はガードが間に合ったのか意外にも大丈夫そうだ。
「き、貴様ぁぁっ!」
「やってくれましたね」
「おいおい下等種じゃなかったのか?呼び方変わってるぞ?」
俺がそう言うと熾天使はキレてるのか、ひどい顔になっている。
「もう許さねぇ!本気でいく!」
「最初から本気出しとけよ雑魚が」
熾天使はさらにキレて俺に突っ込んでくる。
だがそれを悪魔が止めた。
「まて、熾天使!私に考えがある」
「離せ!」
「簡単に挑発に乗るな!奴は強い!」
熾天使は悪魔にそう言われ少し冷静になったのか話を聞く体勢に入った。
「今のままでは正直奴には勝てない、だからあれをやるぞ」
「あれか、仕方ないが乗るしかないようだな」
「それじゃあどっちが主導権を握っても奴を倒すぞ。そのあとは分離する」
「わかっている」
そう言って悪魔と熾天使は何かを始めようとしていた。
うん、なんかしそうだし見とくか…
それを俺は黙って静観することにした。
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