86話 三重結界
「おーこれはすごいな」
「ミツキくん本当に大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。俺強いですから」
俺と石井さんは外に出てから辺りにいる兵士を眺めこんな事を口にした。
「石井さんちょっとここで待ってくれますか?」
「え?はい…」
「大丈夫ですよすぐ戻りますから」
「わかった…」
「あとこの結界の中にいれば安全ですから。それじゃあちょっと行ってきます」
俺は石井さんに【超結界】を張ってから歩き出す。
王城の外には鎧を纏った人たちがずらりと整列し、王城を取り囲んで一般市民は全くいなく異様なほど静か。
それにしてもすごい人数だな…この短時間でよくこれだけの人数を集められたもんだ…
王城の門を出ると30代くらいのおっさんが俺に話しかけてきた。
「貴様が逸脱者だな?大人しく捕まれば痛い目には合わないぞ?」
「それよりお前の名前はなんだ?名乗りもしないなんて失礼じゃないか?」
「ほう、この状況でよくそんなことが言えるな?周りが見えていないのか?」
なんだこのおっさん、なんか気に触るな…
「あーそういえば人がいっぱいいるな。なんかめでたいことでもあったのか?」
「そうだなこれからめでたいことが起こると言ったほうがいいか。それより貴様早く投了したらどうだ?さっきも言ったが今捕まれば痛い目には合わなくて済むぞ?」
この兵士の中に悪魔らしき人物はいないか…それにこの国の王もいないしどこにいるんだろうか。
取り敢えずこいつらをなんとかするか…
「それよりお前たちは大丈夫か?」
「何がだ?」
「いや、たった4000人で俺を捕まえられるのかと聞いたんだが?」
「貴様、この状況でよくそんな大口が叩けるな!いいだろう!お前はここで殺す!お前らやれ!」
「「「オォー!」」」
兵士たちがそう声を上げこちらに剣を構え駆けてくる。
おいおいこんな所で殺しに来ていいのかよ…しかもなんか窓から一般市民がめっちゃ見てるし…
「結界魔法Lv9【三重結界】」
俺は結界魔法を発動させこちらに走って来ている兵士の動きを止める。
この魔法は名前通り結界が三重になっていて声、魔法、物理を全て通さない結界となっている。俺はそれを広範囲に展開し、こちらにくる兵士たちの侵入を拒む。
「ん?どうした!?お前ら!?早く行け!」
【三重結界】の内側にいるおっさんが後ろにいる兵士たちに声をかけている。
「無駄だぞ。俺の三重結界は声を通さないからな。
それよりちょっと話をしないか?」
「話だと?」
おっさんが俺の方へ向き直り剣を構え訝しげな目を向けてくる。
「お前はそれなりに権力があると思うんだが、違うか?」
「私はこの国の騎士団長だからそれなりに権力はある…ぞっ!!」
おっさんはそう言いながら俺の背後に剣を振ってくる。
はぁーめんどくさいな。ちょっと話をしたいだけなのに…
俺はその剣を小指で止める。
ちょっとやって見たかったんだよねこれ。
「!!?」
おっさんは俺が小指で剣を止めたことに驚いている。
「ちょっと話をしたいって言っただけなのに斬りかかってくるのは良くないですよ。話が終わったら相手をして上げますから今はやめてください」
俺は丁寧口調に威圧を加えて言った。
そうすると騎士団長はわかったとだけ言って元のいた位置に戻って行った。
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