52話 暗殺2 情報
「それでは始める。」
そう切り出したハンはそのまま言葉を続けた。
「まずはヨーズ妨害魔法をかけてくれ。」
「わかりました。」
ハンがそう言うとハンの後ろに控えていた護衛が魔法を発動した。
(なるほどこれで妨害していたわけか。)
「終わりました。」
「よし、それでは領地の状況報告から」
そう言ってハンは子爵家のジェロに状況報告をするように促した。
「はい、私の領地では順調に集まっております。」
(おいおい、いきなりきな臭い話になったな。)
「もちろん誰にも見つかってはいないな?」
「はい、完璧な結界ですので。」
「わかった。ライタの方は?」
「私めの方も順調です。」
「そうか。それは良かった。」
(これは色々調べる必要があるな…)
「出来れば戦争までには引き渡したい。順調ならそうだな…三日以内には引き渡せるか。」
「これでようやく力が手に入りますね。」
(こいつら戦争のことを知ってるのか?どうやって知ったんだ?)
「あぁ、それじゃ次の話だ。これが本命だ、この前も言った通り決行は4日後の朝で誘拐の件を帝国中にばら撒く、国民が混乱にしている隙に一気に王城を落とす。正直悪魔からどれほど力が得られるかでことが変わって来る、私はともかくヨーズが力を手に入れさいすれば、帝都はほぼ落とせるだろう。」
「そうですね、私め達は闇ギルドを使って出来る限り騎士団を抑えましょう。王城を落としさえすればどうとでもなりますからね。」
「そういえば、例の冒険者はどうしますか?」
「あぁ、最近現れた新星か…ヤタマノオロチ討伐したという…出てこられたらちょっと厄介だな、もし王城に現れたらジェロとガラがどうにかしてくれ。止められるな?」
「はい、もちろんでございます。」
「幸いギルドマスターは今帝都を離れているからな。あと厄介なのは第1王子か…まぁ彼奴は私が相手をしよう。」
(うーん悪魔に力をもらって帝都を落とす感じか。
てか新星って俺のことだよな。まさか話に上がって来るとは思わなかったが。ヨーズとガラというのはそれぞれの護衛のことだろうな。)
「その後の手はずは、すぐに戦争が起こって反対派の騎士達を戦争に送らせる。全員死んでくれれば手間が省けて楽だがもし、生き残りそうだったら後ろから奇襲して殺せ。そして我々の騎士団と魔導師団で帝都を固める。そういえば騎士団と魔導師団はどのくらい集まっている?」
「どちらも賛成派が3割と言った所でしょうか。」
「3割か…想定よりは集まったな。そうだな…明日そいつらに戦争のことを知らせ、奇襲の件も伝えておけ。抵抗するようならバロズの洗脳スキルを使え。その後のことは悪魔が戦争を止めに入る手筈になっている。」
「わかりました。でもその悪魔は本当に大丈夫なんですか?そもそも聖国の狙いもわかりませんし。」
「狙いは教えられないと契約させられてるからな。もし裏切るようなことがあれば私たちがなんとか出来る、それに新・帝国になったら聖国を潰せばいいだけだ。」
「そうでしたね。愚問でした。」
「よし、では4日後、よろしく頼むぞ。」
(聖国がこの戦争に一枚噛んでいるのか、めんどくさいことになってきたな。悪魔は聖国の差し金だと考えて間違いないだろう。帝国の騎士を殺した後に止めるということはやはり戦争自体に目的があるのか…いやもっといえば死人か?それに悪魔はどうやって戦争を止めようとしているのだろうか?力尽くで止めるのか?それとも王国の弱みを握っているのか?それだと色々と辻褄が合うが…まぁ考えすぎか。こればっかりは悪魔に聞くか、カロン王国の国王に聞くかしないとわからないしな。よし、もうそろそろ殺るか。)
そう思い俺は動き出した。
読んでいただきありがとうございます。




