193話 ピンチなローザと縦ロール
☆☆☆ローザ視点☆☆☆
ミツキから通信魔法がきて数分、私とロールは森の深くまできていた。
「ローザさん…一旦引き返しませんか?」
深くまできてから数秒、縦ロールがそう言ってきた。
森の深くに来てから入った時の倍以上は魔力濃度が濃くなっているからな…流石に縦ロールにはきついか…
「そうだな…これじゃきついよな、配慮が足りなかった…一旦引き返そう」
「はい…」
縦ロールのステータスを考えたら気絶していてもおかしくないのによく今まで耐えてたな…
それに縦ロールの口癖まで無くなってるし、相当やばそうだ。
私はそう思いながら縦ロールに肩を貸し、来た道を戻ろうと振り返った。
その瞬間、急に背筋に悪寒が走る。
「まずい!」
私はそう言葉に出し縦ロールを抱え、即座に横に飛び退く。
シュォォォォォンッ!!!
飛び退いた瞬間、さっきまでいた場所から凄まじい機械音が聞こえてきた。
私は思わず耳を塞ぎ、そのまま飛び退いて地面に着地した。
「なんだこれは…」
さっきいた場所を見ると地面が砂埃を上げずに、綺麗にえぐれていた。
あんな高速で何かが飛んできたら普通に考えて砂埃は舞うはずだ…この不自然さはなんだ?
いや…今はそんなことを考えてる場合じゃないな…
私は首を振り、そう自分を納得させ、腕に抱えている縦ロールを見る。
「気絶してるか…」
まぁあの悪寒をあの状態の縦ロールが感じ取っていたのなら仕方ないか…
私ですらやばかったからな…
そんなことを思いながらボーッとしていると、さっき聞いた音と同じ音が聞こえてくる。
シュォォォォォ!!!
「まずい!」
私はそう言いながら飛び退こうとしようとしたが、その音元凶であろう白い光が近くまで迫ってきていた。
(あの速さ、避けるにも間に合わないし、魔法も今からじゃ間に合わない…)
そう思いながら私は光が来ている方向を見ていると、私の目の前に虹色の壁が現れる。
「!」
私は壁を見た後安心してギュッと目を瞑った。
だってあれはミツキの魔法だから。
キュィィィンッ!!!!!
目を瞑ってすぐにそんな甲高い音が私の耳に入る。
「ごめんローザ、遅れた」
そして甲高い音が森中に響いている中、私の前から安心する声が聞こえてくる。
そして徐々に甲高い音が止んでいき、私は目を開け前を見るとミツキの後ろ姿が目に入る。
「ローザ、大丈夫か?」
完全に音が止み、ミツキがそう声をかけてくる。
「あぁ、大丈夫だ、助かった」
私はそれだけミツキに言って、光が飛んできた方向を見た。
☆☆☆ミツキ視点☆☆☆
ふぅ…結構間一髪だったな…
ローザと縦ロールは無事そうだし良かったけどもうちょっと早く来るべきだったな…
俺は心の中で反省し、次の一手を考える。
いやその前に二人を安全な場所に移動させた方がいいか…
「ローザ、一旦馬車に戻るからつかまってくれ」
「わかった」
ローザはそう返し俺の手を握る。
「【テレポート】」
俺はそう言ってローザと縦ロールと一緒に馬車にテレポートした。
「よし、ついたぞ」
走っている馬車の中にテレポートした俺はローザにそう声をかける。
「一瞬だな…というかミツキ、テレポートなんて使えたのか」
ローザが疑問に思ったのかそう聞いてくる。
「まぁ一応ね…あまり使いたくない手段ではあるけど緊急事用に一応覚えてる」
「そうか、流石だな」
「まぁその話は後にして、取り敢えず皆んなをここに集める」
「わかった」
俺はローザのその返事を聞いてみんなに通信魔法をかける。
((ミツキさんどうしました?))
((ミツキ、どうかしましたか?))
通信魔法をかけるとミーナちゃんとサーシャが同時に出る。
「ごめん二人とも一旦馬車に戻ってきてくれ」
((わかりました!))
((分かりました、理由はあとで聞きます))
「あぁ、助かる、それじゃ」
俺はそう言って通信魔法を切る。
二人とも何かを察してすぐに返事をしてくれて本当に助かる。
俺は心の中でそう思いながらローザの方を向く。
「ローザ、ミーナちゃん達が戻ったら縦ロールに回復魔法をかけるように言ってくれ」
「あぁ、わかった。それでミツキはどうするの?」
「ちょっとさっきの場所に戻って元凶を叩いてくる」
「そうか…」
ローザはそう言って下を向いた。
「ローザ?」
「いや、ちょっと不甲斐ないと思ってな…」
なるほどそういうことか…今回のは完全に俺のミスだから気にすることないのに…
「気にするなローザ、今回は二人をあんな場所に行かせた俺が悪い」
「いや!そんな事はない!」
俺がそういうとローザは食い気味にそう返してくる。
そして続けてローザは言った。
「わ、私がもっとしっかりしていればなんとかなったから…」
相当落ち込んでるな…完全に俺が悪いのに…
ローザは責任感が強いし、今ここで色々話してもローザに負荷がかかるだけだ…
俺はそう思い言葉を発する。
「一先ずこの話は後にしよう、時間も限られてるし、ここで言っていてもしょうがないからな」
「あぁ、そうだな…わかった」
「それじゃ、元凶を叩きに行ってくる【テレポート】」
俺はそう言ってさっきの場所へとテレポートした。
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