182話 会いに来た理由
「そして次に出てくるのは、そこまでして俺たちに会わなきゃいけない理由だ」
「ミツキさんはわかってるようでしたけど…」
まぁ、予想は出来るが…
「まぁ、予想でしかないが多分俺とローザのことだろうな」
「ミツキさんとローザさんです?」
「うーん、正確には、俺とローザと言うよりは異能者と火の魔女だろうな」
「理由は?」
「のじゃロリがローザに言ってた言葉だな」
「お主、聞こえていたのか…」
ローザの言う通りあの時の耳打ちはしっかりと聞こえていた。と言うかあの狭い空間の中で耳打ちとかしても普通に聞こえちゃうからな。
「あいにく目と耳と鼻と感覚はいいんでね」
「それ全部ですよ!?」
「そうか?まぁそんなことよりローザに言っていた言葉だが」
「火の魔女よ、異能者を頼むぞって言ってたな」
ローザが俺の言葉に付け足す。
「あの時そう言っていたのですね」
「でもどういうことでしょうか?」
「そうね、私には意図がわからないわ」
「そうだな、まずローザと俺に限定した言い方だろ?ローザと俺に関係することで一番有力なのは異能者関連のことだ、つまり俺たちに話しかけてきたのは異能者関連で何かがあったから接触してきたと踏んでいる。さっきも言った様に今は伝えられないかもしれないが何かが起きようとしているそんな感じのことを俺たちに伝えようとしてきたんだろうな。そしてそこは深淵の森に行った時にちゃんと話してもらえるだろう」
まずローザと俺の正体はバレている。というかバレていないとおかしい。そこで火の魔女に俺を頼むということは火の魔女と何かしら関係がある人間だ。つまり異能者ではなく異能者を守る側の人間だろうな。
「それなら早く深淵の森に行った方が良くない?」
それはそうだがあの深淵の森で待ってると言う言い方はどちらかと言うといつでも大丈夫的な感じだろうな。急ぎの用なら時間指定などしてきてもおかしくないしな。だから何か起こるとしたら1年、いや2、3年先のことだろうな。早く行くにしても勇者国の後だな、それに神に関する情報をもしかしたら持ってるかもしれないし。
「そうだな、出来れば早く行きたいが行くとしても勇者国の後にしたいと思ってる」
「そうですね、今は護衛依頼中ですしそれを放っておいて行くわけにも行きませんからね」
「あぁ、まぁ深淵の森は近いから行こうと思えばすぐ行けるんだが…」
「ミツキ、さっき深淵の森知ってるって行ったよね?」
「うん知ってるよ」
「じゃあ深淵の森の位置は?」
「それも知ってるけど…どうしたの?」
「それを知っていてなんで近いってことになるのよ…」
いや近いだろ?
「いや、だって飛行スキルで1時間もかからないしすぐだろ?」
うん、1時間もかからない距離だ、それで遠いとか言われたら悲しいんだが…
「ニーナさん諦めてください、ミツキに常識が通じないのは今に始まったことではありません」
「そうね…元からおかしかったよね」
「はい、ミツキは異常ですから」
おい、二人とも最近なんか俺に対して酷くないか?
「二人とも?深淵の森二人で行ってくる?」
「「ごめんなさい!冗談が過ぎました!!」」
「二人とも懲りないな…」
「取り敢えず深淵の森に行くのは勇者国の後でいいか?」
「はい!」
「わかりました」
「わかった」
「うん」
「はーい」
「じゃあ今日はもう寝ようか、明日朝早いし」
そう言った後皆んなは返事をしそれぞれの部屋に戻って行った。
「それにしてものじゃロリか…」
ちょっと戦ってみたかったな…何せ俺にとって初めての同格の存在だ。まぁあそこ戦ったら戦ったで帝国が滅びるのは確実だし敵対はしない様に〈心眼〉などは使わない様にしたけどまぁ杞憂だったな。あの感じだとのじゃロリは完全に味方だろうな…
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