180話 怒ったローザ
「取り敢えず戻ろうか」
俺は固まっている皆んなそう声をかけた。
「はい」
「そうですね」
「分かった」
「うん」
「そうだね」
それぞれ返事をした後宿に戻るため歩き出した。
「そう言えばお主」
歩き出して数分ローザがそう話しかけて来た。
「何?」
「のじゃロリの言ってた事理解してたみたいだったけどなんだったんだ?」
「そう言えばミツキさんは理解してる感じでしたよね、ちゃんと話すとか深淵の森で待ってるとか」
うーん歩きながら話す内容じゃないな、誰かに聞かれたらまずいし。
「あぁ、あれね、そうだな…長くなりそうだから取り敢えず戻ってからでいいか?」
「分かった」
その後宿に戻り、〈超異空間〉に入った後、みんなでソファに座り、俺は話の続きを始めた。
「話の続きだが、最初から話した方が説明しやすいから最初から話すよ」
「まず、のじゃロリは俺たちに会いに来たんだと思う」
「会いに?ですか?」
「でもあそこに店を構えてましたよね…」
「うーんそうだな、正確に言うなら会うように仕向けたかな」
「それってどういうこと?」
「まずあんな所に酒場があるなんておかしくないか?」
「確かにそうですね」
「あんな迷路道の先に酒場なんて普通ないよね」
そうあの酒場は迷路道を進んだ先にあった。
普通に考えて客が来て欲しい酒場はあんな所に店を構えたりしない。つまり俺たちに会うためにのじゃロリが用意した場所だ。
「そう多分あの場所は俺たちに会うために設置された場所でニーナが案内するように仕向けた。その案内させる方法は多分世界樹の木の実だろうな」
「木の実でですか?」
「ニーナの種族はなんだ?」
「エルフですね」
「そして世界樹の木の実はどこにある?」
「エルフ国です!」
「そうだ、ニーナはエルフでそして木の実もエルフ国にある。何かしら木の実にエルフを引き寄せる何かがあってもおかしくないだろ?」
「そうですね、あの木の実ものすごい変でしたし」
サーシャがそう言った後ニーナは思い出したように言う。
「そうね、今思い返せば木の実の匂いだったわ。あの時はあの場所に美味しい物があるってだけで案内してたけど」
「つまりニーナさんは…」
「物につられたということですね…」
「そうだな」
ミーナちゃんとサーシャとローザがそう言ってニーナのことを小馬鹿にした。
「むぅーだってしょうがないじゃない!あんな美味しそうな匂い!食べたくもなるよ!」
「まぁそれを分かった上でのじゃロリは木の実を持っていたんだろうな」
「つまりニーナさんは」
「騙された挙句ものでつられたわけですか」
ミーナちゃんとサーシャにそう言われニーナは涙目になって
「うぅ〜、ミーナちゃんとサーシャが意地悪してくるよ〜」
そう言って舞に泣きついた。
まぁ本当に泣いてはいないのでそのままでいいだろう。
「あれ?今思ったんだが私の言ってることあってたんじゃないか?」
ローザは舞に泣きついたニーナを見ながらそう言った?
なんのことだ?
「ん?どのことです?」
ミーナちゃんもわからなかったのかそう聞き返す。
「ほら、匂いにつられてってやつだ」
あ…思い出した。迷路道に入る前の話だな…
「「「「「…」」」」」
俺たちはあの時のことを思い出し無言になる。
「あの時確か皆んな雰囲気がとか言ってなかったか?そして私をバカにしてたような…」
そう言ってローザは俺たちを一人一人見た。
「「「「「…」」」」」
「いや、別に怒ってはないぞ?ただなんかバカにされてたな〜と思って言ってみただけだ」
「「「「「すみませんでした!」」」」」
「いや、だから謝らなくてもいいぞ。別に怒ってないからな。な?ミーナ?」
声のトーンを下げ、笑顔でミーナちゃんを見ながらローザはそう言った。
ミーナちゃんに言ったのは多分ミーナちゃんが最初にローザさんっておバカさんですねって言ったからだろうな…と言うかローザが怒ると本当に怖いな…笑顔のまま表情は笑ってないもん…
「ひぃっ!ごめんなさい!」
ローザに笑顔でそう言われたミーナちゃんはそう声をあげ謝った。
「まぁ良い、それよりお主、話の続きを頼む」
ローザはこれ以上続けると話が続かないと思ったのかそう言った。
よかったな…ミーナちゃん。
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