176話 不思議な食べ物
「お待たせなのじゃ!」
のじゃロリはそう言ってお皿を空中に浮かせながら厨房から出てくる。
「それは何の魔法なんだ?」
「ぅん?これのことか?これは重力魔法なのじゃ」
「なるほど、重力魔法か…」
「知っているであろう?重力魔法」
そう言いながらのじゃロリはお皿を人数分、カウンターに置いていく。
「あぁ、知ってるよ。それでこれはなんて名前の料理なんだ?」
「それの名前はないのじゃ!そこら辺にある肉をステーキにして変な木の実を添えただけなのじゃ!」
「おい適当すぎだろ、変な木の実添えんなよ」
「でも見た目は美味しそうですよね…」
ステーキにはちゃんと焼き目が付いていて、木の実もちゃんと切られていてどっちかと言うと野菜?に近い見た目でステーキの横に添えられている。サーシャの言う通り、美味しそうだ。
(だけど、そこら辺にある肉と辺な木の実だからな…)
「まぁ味は保証するのじゃ、取り敢えず食べてみるのじゃ」
「分かった。それじゃいただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
そう言った後皆んなでフォークとナイフを使いお肉を一口サイズに斬り、口へ運ぶ。
(!?こ、これは)
「うまい!」
美味すぎる、それはもうありえないぐらい美味い。
一噛みすると一瞬牛肉と豚肉の中間あたりの食感を感じ、その後旨味成分を放ちながら蕩けるようにお肉が消えていく。
(何だこの食べ物、味もA5ランクのお肉より40倍はうまいぞ…)
「な、なんですか、このお肉!美味しすぎますよ!」
「味もすごく上品ですし、本当に美味しいです」
「いろんな料理を食べてきたが、この肉は今までで1番うまいな」
「美味しすぎて涙出そう」
「私もです!生きてて良かった〜」
皆んなは感想をそれぞれ口にした。
それにしてもなんの肉なんだろうか。
「その木の実も食べてみるといいのじゃ」
「あぁ」
俺はそれだけ言って、フォークで木の実をすくい口に運ぶ。
「なんだこれ!?」
口に入れ最初の一言、それしか出てこなかった。
口のに入れた瞬間、野菜の旨味がきて次に辛味、その次に苦味、酸味、甘味と次々と入れ替わり口の中を駆け巡る。
そして何と言っても
(噛めない、口の中に存在しているはずの木の実だが何故か噛めない。だが味だけは何故か変化している、不思議な感じだ)
そして口に入れてから約1分口に入れていた木の実が突然消えた。
「どうじゃ?すごいじゃろ?」
「あぁこれはすごいな…」
何がすごいのかは、あれだけ成分が変化するのにしっかり美味いということだ。
「これも美味しいです!」
「これだけ味に変化があるのに美味しいなんて…」
「なぁマスターさん、これなんて食べ物なんだ?」
「うーんそうじゃの…そっちの木の実は世界樹についてる…えーっとなんだっけ…まぁ世界樹についてる実なのじゃ」
世界樹…なんか凄そうなだな。
「なんか凄そうですね」
舞も同じことを思ったのか小声でそう言った。
あれ?他のみんなは?
「「「「………」」」」
そう思い舞以外をみると無言で固まっていた。
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