174話 のじゃロリ
「ここか…」
あれから10分、複雑な道を歩き、着いた場所は古いボロ屋だった。
「なんか書いてありますね…」
「えっと、何とかの酒場?」
ニーナがそう言って俺も看板を見ると薄っすら[〜〜〜の酒場]と書かれていた。
(文字が消えてて見えないな…)
「取り敢えず入って見ましょうか…?」
舞が恐る恐るそう言った。確かにこの店の雰囲気は不気味だし、怖がるのはわかる。
「そうだな、大体こういう店って料理が美味しいのは定番だし」
「そうだね」
カラン♪
「お邪魔しまーす」
恐る恐る扉を開け中に入ると、中から女の子の声が返ってくる。
「こんな変な店に来るなんて、物好きもいたものじゃ」
のじゃ?………今のじゃって言ったよな!
俺はそう思い声がした方を見る。するとそこにはカウンター両肘を突いてこちらを見ている黒髪の幼女が居た。
(!?…。きたー!のじゃロリ来たー!ついに出会えたぞ!のじゃロリ属性!!)
俺は心の中でそう歓喜しているが、表情には出さない。
「ミツキさん、なんで笑ってるんです?」
(あれ?笑ってた俺?嬉しさのあまり表情を抑えきれてなかった?)
「な、なんでもないよミーナちゃん、それより貴女は?」
俺はのじゃロリにそう聞いた。
「わからないかの?見ての通り私はここのマスターなのじゃ」
「………いや、酒場を小学生が経営しちゃダメでしょ」
「しょうがくせい?なんじゃそれは?」
「いや、なんでもない、気にするな」
(見た目は幼くても中身は…)
「…何か失礼な事を考えてないかの?」
そう言ってのじゃロリは俺のことをジト目で見て来る。なんで女性は年齢に敏感なんだ?もしかして心の中読まれてるの?
「いえ、何も…」
「そうか、まぁいい適当に座ってくれ」
のじゃロリにそう促され俺たちは取り敢えず指示に従いカウンター席に座った。
「それでなぜこんな酒場に来たのじゃ?」
「なんでって…夕食を食べに来ただけですよ」
「そうか…まぁそうだろうな、だけどこんな場所にある店じゃ、どうやって知ったのじゃ?」
「それは、私の感だね」
そう言って話に割って入ったのはニーナ。
「そうか…お主が…」
のじゃロリはそう言ってカウンターから身を乗り出しニーナの顔をジーっと見つめた。
「え?なに?私の顔に何かついてる?」
「…お主…じゃないな…」
ニーナがそう聞くがのじゃロリはそれの疑問に応えようとはせずにそう呟いた。
「うん、まぁ大体わかったのじゃ…」
のじゃロリはもう一言そう呟いた後、椅子から降りた。
「「「「「「………」」」」」」
のじゃロリが椅子を降り地面に足をついた瞬間俺たちは無言になった。なぜ無言になったのかというと明らかにおかしいからだ。だってのじゃロリ、鼻から上だけしか見えないもん。体全部隠れてるんだもん。
「なんじゃ?」
(いや、なんじゃ?じゃないよなんでカウンターとほぼ目線の高さが一緒なんだよ…)
「色々とツッコんでいいか?」
「うん、なのじゃ?」
「取り敢えず、なんでカウンターから顔の上半分を出してるんだ?」
「むっ失礼なのじゃ、私の身長はこの高さなのじゃ!椅子に座ってないとこうなってしまうのじゃ!」
のじゃロリはそう言いながらむっとした顔をして、言っても目だけしか判断できないが…
「そ、そうか、それは悪かった…」
「許すのじゃ!それより注文は何にするのじゃ?」
のじゃロリはそう俺たちを見て聞いて来る。
ん?メニューがない?
メニュー表みたいな物があるかと思い辺りを見てみるが特にそういったものは見当たらない。
「メニューはないのか?」
「ないぞ?」
「え?じゃあ…」
「だから注文出来る食べ物は一つしかないのじゃ!」
「「「「「「………」」」」」」
殴ってもいいかな?
「一発殴ってもいいか?」
俺は思ったことをそのまま口に出し、拳を握ってのじゃロリを見る。
「ご、ごめんなのじゃ!許してほしいのじゃ!」
「許すから食事を持って来てくれ」
「わかったのじゃ!」
のじゃロリはそう言い、颯爽と後ろにあるだろう厨房に駆けていった。
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