163話 縦ロールのお礼
縦ロールが練習を始めて1時間、夜も遅くなってきたので縦ロールを寝させる事にした。
「縦ロールそろそろ休め」
「そうですわね、魔力が底をつきそうですしそうしますわ」
縦ロールはそう言って立ち上がりテントの方を向く
「その、なに今日はありがとうございましたですわ…」
縦ロールは小声でそう言ったあとテントに戻って行った。まさか縦ロールに礼を言われる日が来るとは…あれ?そういえばさっきも言われたような?まぁいっか。
「ミツキ様、お嬢様のためにありがとうございます」
今まで傍観してたブラックバスさんがそう言ってきた。
「いえ、大した事はしてませんから」
「ご謙遜を、普通無詠唱は1時間であそこまで形に出来るものではないですよ」
「それは縦ロールの才能ですよ」
縦ロール才能はトップクラスだ。この1時間で無詠唱をほとんどものにしている。この練習方法だと毎日練習しても普通は1ヶ月はかかる。それを1時間だ、正直普通じゃない。
「確かにお嬢様は昔から物覚えは早い方でしたが…でもやはりミツキ様が教えて下さらなければお嬢様はスタート地点に立つことすらできなかったでしょう」
「いえ、多分ですけど俺が教えなくても自分で見つけていたと思いますよ」
そう、俺が教えなくても…縦ロール才能はそこまで凄いものだ。
「…随分お嬢様を高く評価してくださってるのですね」
「えぇ、実際すごいですから。あそこまでの才能はなかなかいないですよ」
「ミツキ様は本当に凄いですね。会ってから1週間ぐらいしか経っていないのにそこまでわかるなんて…」
「なんか言いました?」
「何でもありませんよ」
「そうですか」
それから2人で話をして朝になった。
メイドさん達は朝食を作るため朝からせっせと働いていた。
「ミ、ミツキ…おはようですわ!」
「おはよう、縦ロール」
縦ロールがテントから出てきて俺に挨拶をしてきたので俺も挨拶を返した。
「ブラックバス、おはよう」
「おはようございます。お嬢様、朝食の準備をしていますので少々お待ちください」
「わかったわ」
縦ロールはそう言った後俺の隣に腰を下ろした。
「ミツキ、その、朝食が出来るまで私の魔法を見てくれませんか?」
「あぁ、いいぞ」
「ありがとうですわ!」
それから朝食が出来るまでの時間、縦ロールの魔法を見た。
「ミツキ様、お嬢様、朝食の準備ができました」
メイドの1人がそう伝えにきてくれたので俺は縦ロールに終わるように言う。
「よし、じゃあここまでだ」
「はいですわ」
縦ロールはそう返事をした。
「それじゃあ俺はみんなを起こしてくるから」
「わかりましたわ」
縦ロールのその返事を聞いて俺は歩き出した。
テントの前に着き超結界を解き〈超異空間〉の中に入る。
「皆んなおはよう」
中に入り、そう挨拶をすると皆んなはそれぞれ挨拶を返して来た。
「ミツキさん!おはようございます!」
「おはようございます、ミツキ」
「おはよう」
「ミツキおはよう!」
「それで、舞は?」
案の定舞の姿が見えない。
「お主、聞かずともわかるだろう?」
「舞さんはいつも通りねぼすけです!」
「そうだよな…」
あんなに馬車でも寝てたのによくそんな寝れるな…
「取り敢えず朝食が出来るから舞を起こして来てくれないか?」
「はーい!私行ってきまーす!」
そう言ってミーナちゃんは舞を起こしに行った。
その後舞が来て、準備した後〈超異空間〉から出た。
皆んなが〈超異空間〉から出た後俺は〈超異空間〉を閉じ皆んなでテントの外へ出て朝食を食べるため歩き出した。
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