160話 野営の準備
盗賊を倒した後、皆んなもすぐに戻り、今は馬車の横で固まっている。
「それでミツキさん、あそこで固まってる二人はどうしたんです?」
「あぁ、なんかよくわからないけど固まって動かないんだ」
そう言って二人の方を見る。
「あれ?私は何を…?」
縦ロールが急に動いたと思ったらいきなりそう言い出した。
「動き出したね」
「そうだな」
俺はそう言って縦ロールに近づく。
「縦ロール大丈夫か?」
「え、えぇ、それよりなんか変なものを見た気が…」
「まぁ取り敢えず盗賊退治は終わったし出発しよう」
「え?あ、うん、わかりましたわ…ブラックバス馬車を動かして…」
「お嬢様…畏まりました」
そう言ってブラックバスさんは貴族用の御者台に乗り、縦ロールは馬車の中に入っていった。
(さっきの話は後でしよう)
「取り敢えず俺たちも馬車に戻ろう」
俺がそう言うと皆んなはそれぞれ返事をして冒険者用の馬車の方に歩いていく。俺もみんなの後ろを歩きながら、〈心眼〉を発動する。
(〈心眼〉発動)
〈心眼〉を発動すると脳内にこの辺りの地形が映し出される。
(死体は全部で124か…)
全ての死体の位置を確認した俺は虚無魔法を発動させる。
(虚無魔法発動)
全ての死体が虚無魔法で綺麗さっぱり消え去る。
「よし、終わった」
「ミツキさんどうしました?」
「いや、なんでもないよ、それより早く乗ろう」
俺はそういって馬車に乗るよう促す。
皆んなで馬車に乗ってから程なくして、馬車が出発した。
それから時間が立ち今は夕方、野営の準備をするため、馬車を降りていた。
「取り敢えずこんなところか」
テントを張り終えた俺はそう呟く。
(後は…)
料理の準備はみんながやってくれてるからいいとして、他のテントは…
俺はそう思いながら他のテントを見る。
「終わってる…」
と言うか早いな…まぁ多人数で張ってたし当たり前か。ちなみにテントは3つある。一番右のテントが俺、ミーナちゃん、サーシャ、ローザ、舞、ニーナのテントで、真ん中がメイドと縦ロールのテント、一番左のテントが御者さん2人と執事さんのテントとなっている。
「ミツキ様、夕食の支度が整いました」
メイドの1人が俺の隣までやって来てそう言った。
俺は「わかりました」とだけ返しテーブルに向かった。
夕食を食べ終わり、片付けも終わり、特にすることもないので早めにテントに入る。
テントの中に入ると皆んながすでに談笑していた。
「ミツキさんが戻って来ましたよ」
「お主!早く異空間を設置してくれ!」
「わかったから」
ローザに急かされ俺はそれだけ言って〈超異空間〉を設置する。
「取り敢えず、バレないようにテントは閉めるから出たいときは通信魔法で連絡くれ」
「はーい」
「わかりました」
「わかった」
「はい」
「うん!」
そう返事をすると皆んなは〈超異空間〉の中に入っていった。
読んでいただきありがとうございます。