134話 馬車購入
「そういえば馬車ってどこに売ってるんだ?」
店を出てそう呟く。
「確か馬車屋が南の方にあったな」
ローザがそういうと舞が反応してこう言った。
「そのままなんだね…」
うん、俺も思ったよ。
「じゃあ取り敢えずそこに行こうか」
そう言ってから皆んなで馬車屋がある南側に歩き出す。
「ここか」
しばらく歩くと大きな店があり、店の前にはにはいろんな馬車がずらりと並んでいる。
「大きいね…」
舞が店を見てそう言った。
外観は白を基調とした館みたいな感じで舞の言う通り相当でかい。
俺たちはそのまま中へ入る。
「なんか店というよりは役所みたいな感じだな…」
「そうだね」
中に入ると物なんかは置いてなく、カウンターが一列にずらりと並んでいてそれぞれ座る場所がある。
「すみません、馬車を購入したいのですが」
俺たちは一つの受付に行き、購入の有無を伝える。
「はい、馬車の購入ですね。ではこちらにおかけください」
そう言って受付の人は椅子に座るよう促して来たのでその椅子に座る。
「馬車の種類はどうされますか?」
また種類があるのか?まぁわからないし一応聞いてみるか。
「すみません、種類って何がありますか?」
「えっと、冒険者用と商人用、貴族用の三種類があります」
あぁ、やっぱり三種類なのね。
「全部見せてもらうことってできますか?」
「えぇ、できますよ」
「じゃあお願いします」
「わかりました、ではこちらへ」
受付の人はそう言って立ち上がりカウンターから出て外に出るため先頭を歩き出した。
俺たちはその後ろをついて行き外に出る。
「こちらが冒険者用の馬車です」
外に出て左手側に置いてある馬車を指差して受付の人がそう言った。
冒険者用の馬車は開放的だが結構小さく、人が数人乗れる程度のものだ。
「そしてこちらが商人用の馬車です」
商人用の馬車は冒険者用の馬車に比べて一回り大きく
帆がついていて荷馬車みたいな感じだ。
(まぁ冒険者用の方がいいかな、食べ物とかは〈超異空間〉でなんとかなるし)
そこで貴族用の馬車がまだ残っていることに気づきその事を聞く。
「貴族用の馬車を見せてもらえませんか?」
「わかりました、ではこちらへ」
受付の人がそう言ってから反対側に置いてある馬車の方へと歩き出す。
俺たちは受付の人について行く。
「こちらが貴族用の馬車になります」
そう言って受付の人が貴族用の馬車を指差す。
俺はその馬車を見る。
うん、一言で言えば豪華だな。
箱型になっていて商人用の馬車よりもでかく、外観の豪華さから内装も想像がつく。
(まぁでも旅をするにはこれは目立ちすぎてダメだよな。冒険者用の馬車にするか)
「皆んなはどの馬車がいいとかある?」
俺はみんなの意見を聞こうとそう皆んなに聞いた。
「私は冒険者用の馬車がいいです!」
最初に答えたのはミーナちゃん。まぁミーナちゃんは多分貴族用の馬車には見慣れているんだろうな。
「私はなんでも大丈夫ですよ」
「うーんそうだな、商人用の馬車は広くて良さそうだけど特に物を置かないと思うからスペースが余るだけだしな…冒険者用の馬車で充分かな。貴族用の馬車は旅には向かなそうだし」
「そうだね、貴族用は悪く言えば派手で目立つからね。私も冒険者用の馬車に賛成かな」
決まりだな。
「よし、じゃあ冒険者用の馬車でいい?」
「はーい!」「はい」「うん」「いいよ」
みんなの返事を聞いてから受付の人の方へ向き直る。
「では、さっきの冒険者用の馬車を一つください」
「お買い上げありがとうございます。馬はどうされますか?」
馬か、というかここで選べるのかな?
俺が困惑していると受付の人が聞いて来る。
「一応馬も馬車と一緒に販売しているんですよ。ちょうど中庭にあるんで見て見ますか?」
うーん馬は〈超異空間〉に入らないしな、勇者国についてからでもいい気がするな。
「いえ、馬はまだ大丈夫です」
「そうですか、わかりました。ではお会計の方が10万リアになります」
そう言われたので俺は金貨10枚を出し、受付の人に渡す。
「ありがとうございます。馬車はここに留めておきますか?」
「いえ、持って帰ります」
「え?持って帰る?」
「自分、空間魔法が得意なんで馬車ぐらいなら入るんですよ」
「あ、そうだったんですか。わかりました、では馬が必要になったらまた寄ってください」
「えぇ、ありがとうございました」
俺はそう言ってから馬車をしまう。
「それでは」
続けざまに俺はそう言う。
「ありがとうございました!」
受付の人のその声を聞きながら俺たちは後ろを振り返り歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。