133話 旅の準備
「ニーナ、今大丈夫か?」
あの後夕食を食べ、お風呂を上がった俺は自室でニーナに通信魔法をかけた。もちろん早く迎えに行くことを伝えるためだ。
((大丈夫だよ、どうしたの?))
「実は予定変更をして早めに迎えに行きたいんだけど…いい?」
((私はいつでも大丈夫だよ!))
「ありがとう、じゃあ一週間後ぐらいに迎えにいくね」
((うん!待ってる!))
「じゃあまた」
((うん!じゃあね!))
その言葉を聞いて俺は通信魔法を切った。
ニーナの了承も貰えたし、今日はもうやることないから寝ようかな。
俺はそんなことを思いながらベッドに入る。
「よし、寝よう…おやすみ…」
俺はそう呟いて眠りについた。
「おはよう皆んな」
朝起きてリビングに行くとすでに皆んな(一名を除いて)が起きていたので挨拶をする。
「ミツキさん!おはようございます!」
「おはようございます」
「おはよう」
ミーナちゃんは元気よく、サーシャは礼儀正しく、ローザはソファに座りながら振り返って挨拶を返す。
「それで、舞はまだ寝ているのか?」
「はい!ぐっすり寝ています!」
やっぱりか相変わらずよく寝るな舞は…まぁいいことだからいいか。
「そうか、今日は旅の準備をしに買い物に行こうと思うんだけど皆んなも行くよね?」
「もちろん行きます!」
「私も行きます」
「もちろん私も行くぞ」
「じゃあ舞が起きてちょっとしたら行こうか」
「はーい!」
「わかりました」
「わかった」
それからサーシャと朝の訓練をして、舞が起きていたので朝食を食べ出掛ける準備をする。
「ミツキさん、今日は何を買いに行くんですか?」
王城をでて街を歩き始めるとミーナちゃんがそう聞いてきた。
「取り敢えずテントと馬車は欲しいかな」
「テントと馬車か…」
ローザは考える仕草をしながらそう呟いた。
「あぁ、テントは護衛の時に必要になるだろ?馬車は今後必要になると思うから早めに買って起きたいんだ」
「なるほどな、テントはカモフラージュって訳か…」
「今言おうと思ったのに…本当に速くてローザは…」
俺の考えていることはローザに筒抜けなようで俺はちょっと驚き目を見開いからそう言った。
「カモフラージュですか?」
「あぁ、ローザの言った通り、テントはカモフラージュに使う。テントの中で俺の〈超異空間〉を開けば外にはバレないからな」
「なるほどそういうことでしたか」
皆んな納得したところで俺は皆んなに聞く。
「それでテントが売っている場所を知らないか?」
「あーそれなら冒険者ギルドの隣で売ってるぞ」
「ありがとうローザ、じゃあそこに行こうか」
俺はそう言って再び歩き出すと、皆んなも一緒に歩き出した。
カラン♪
冒険者ギルドの隣の店(なんの店かは不明)に入る。
「いらっしゃいませ」
中に入ると30代ぐらいの女性の方が笑顔でそう言ってきた。
「すみません、テントって置いてますか?」
特に長引かせる意味もないので率直に聞いた。
「置いてますが…階級はどうされますか?」
階級?なんだそれ…テントに階級なんてあるのか?
「階級と言っても三段階しかなく、冒険者が使う冒険者階級と市民が使う一般階級と貴族や王族が使う貴族階級の三つとなります」
俺がはてなマークを頭に浮かべていたからか、そう答えてくれる。
なるほど、うーん特に使うわけでもないし怪しまれないためにも冒険者階級が一番かな、いやでも念のため何個か別のも買っておくか…
「じゃあ冒険者階級を二つ、一般階級を一つと貴族階級を二つください」
「わかりました、お待ち致しますので少々お待ちください」
そう言って店員さんは店の中へと引っ込んで言った。
店員さんが戻って来る間は暇なので店の中に置いてあるものを見てみる。
「ナイフとか剣、防具が多いな」
ナイフはともかく剣と防具って普通鍛冶屋じゃないのか?そう思いながら見ているとローザが隣にやって来る。
「ここは駆け出しの冒険者のサポート的な役割のお店だからな、初心者が使うような物が多い」
そう言われて改めて剣や防具などを見ると、確かに初心者が使うようなものばかり置いてある。
「なるほどな、俺が使ったら…というか持った瞬間に壊れそうだな」
「だろうな」
まぁでもこういう店があるのはすごくいいことだとは思う。
「お待たせしました」
後ろからそう声がし、振り返るとテントを両手に抱えた店員さんが立っていた。
よく持てるな結構でかいぞ大丈夫か?
そんなことを思っていると店員さんが説明を始めた。
「えっと、こちらが一般テント、こちらとこちらが冒険者テントと貴族テントになります」
地面に置いてそう指をさして説明をすると俺の方を見てどうされますか?と言った感じて見て来る。
まぁ見た目はどれも変わらないけど何が違うんだろうか。まぁ大体予想はつくし取り敢えず買うか。
「それじゃあ全部ください」
「ありがとうございます。」
店員さんはそう言ってからテントを持ってカウンターの方へ歩いて行ったので俺もついていく。
「お値段の方が合計で111万リアになります」
カウンターに店員さんが着き、そう言った。
あれ?意外に高いな、まぁいいか。
特に気にする金額でもないので俺はパケットから白金貨1枚とと金貨11枚を取り出しカウンターに置く。
「ありがとうございます。テントはどうされますか?宿舎までお運び致しましょうか?」
「大丈夫ですよ、空間魔法が使えるので」
「それは珍しいですね、ではそのままお渡し致しますね」
そう言って店員さんは俺にテントを渡して来る。
俺は受け取ってから〈超異空間〉にしまう。
「皆んな次行くよ〜」
店内で散らばっていた皆んなを呼び戻し、外に出るためドアを開ける。
「ありがとうございました〜」
店員さんがそう言ったのを聞いて俺たちは店の外へ出た。
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