127話 護衛試験1
「どうしましょうか?」
ギルドの裏にある小さな闘技場に着き、受付嬢が縦ロール少女にそう言った。
「そうね、せっかくだし全員で掛かってきたら?」
なんかやけに自信ありげだな。
「いえ、結構ですよ。一人一人でお願いします」
ミーナちゃんがそう言った。
「そう?負けて後悔しても知らないわよ?」
「負けないので大丈夫です」
ミーナちゃんがそう言うと縦ロール少女の顔が引きつった。
「ふーん、そう、じゃああんたから潰してあげるわ」
「返り討ちにしてあげますのでさっさと闘りましょう」
そう言いながらミーナちゃんは闘技場の真ん中の方へ歩いていく。
「ミーナちゃん頑張ってね」
俺がミーナちゃんの後ろ姿を見ながらそう言うとミーナちゃんは振り返り俺にこう言った。
「はい!頑張ります!」
自信満々のその笑顔は負ける気がしないと言った雰囲気を醸し出していた。
まぁミーナちゃんが負けることはないと思うけど、なんなんだろう縦ロール少女のあの自信は…
そんなことを考えているうちに二人が決闘場の真ん中で対面していた。
「それではミーナ様対サヤ様の決闘を始めます。ルールは簡単気絶させるか、降参させるかのどちらかで勝敗が決まります。もちろんスキル、魔法は全てありです。」
受付嬢はそう言ってちょっと間を置き開始の合図をした。
「始め!」
そう言って受付嬢はこちら側に避難してくる。
俺は受付嬢を横目に見てから、ミーナちゃんの方を見る。開幕はどっちも攻めないか…
「あら?攻撃してこないのですか?」
サヤがミーナちゃんを挑発するようにそう言った。
「えぇ、私から攻撃したらそれで終わってしまいますので」
なるほど、挑発を挑発で返して冷静さをなくさせる作戦か…まぁ無難だが縦ロール少女みたいな人にはよく効くからな。その証拠に縦ロール少女の顔が引きつっている。
「い、言ってくれますわね、それでは私から行かせていただきますわ!」
縦ロール少女はそう言って両手を前に出した。
「後悔してももう遅いですわよ!水よ、敵を穿て【ウォーターアロー】」
縦ロール少女がそう言うと縦ロール少女の両手から魔法陣が展開されそこから水の矢が数個、発射された。
(ほう)
水の矢は結構な速さでミーナちゃんの所へ飛んでいく。と言ってもまぁ普通の人から見ればの話で、ミーナちゃんから見たら結構遅いだろう。
「【超結界】」
ミーナちゃんは冷静にそう唱え自分の目の前に超結界を張る。飛んで行った水の矢が超結界に当たる。
「やりますわね」
水の矢は超結界に完璧に阻まれ、縦ロールは悔しそうにそう呟いた。
「これで終わりですか?」
ミーナちゃんがすかさず挑発をする。
「まだまだですわ!」
縦ロール少女はそう言った後、右手を上に掲げて魔法を唱えた。
「雷よ、雷帝の怒りとなりて、敵を切り裂け!【ライトニングストーム】!」
縦ロール少女はそう言った瞬間右手を降り下ろす。
ドォォォン!
雷が轟音を立ててミーナちゃんの真上から螺旋状に落ち、闘技場の自慢の砂を抉り砂埃が舞い上がる。
(威力も申し分ないな)
「これでどうです!?」
縦ロール少女がそう言ってから数十秒ご砂埃が腫れてきて、うっすら人影が見えてくる。
「嘘ですわ!あれを食らってノーダメージってありえないですわ!」
そう、縦ロール少女の言った通りミーナちゃんは無傷で佇んでいた。
まぁあのぐらいの攻撃ならミーナちゃんには通用しないからな。
「もう…終わりですか?」
「ま、まだですわ!」
そう言う縦ロール少女の表情からは焦りの色が見られる。完全に動揺してるな… まぁそうだよな、普通の人が食らったら一発で気絶、と言うか死ぬ威力だったからな。それを無傷となるとメンタルに来るものはやはり大きいのだろう。
「そろそろ攻撃しますね」
ミーナちゃんはそう言って右手を前に出した。
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