123話 舞の実力
冒険者ギルドの外にみんなで出て今は街中を歩いている。
「お主、これからどうするんだ??」
後ろを歩いていたローザからそう声がかかる。
「まだ14時まで時間があるし魔物を倒しに行こうか」
俺は歩きながらそう言う。
「魔物狩りですか!?行きたいです!」
「ミーナちゃんどんだけ魔物狩りたいの…」
「私もそろそろ魔物を斬らないと鈍りそうです」
「サーシャさんまで!?と言うかつい最近戦ったんじゃないの!?」
「まぁいいんじゃないか?」
「よしそれじゃ決定だな」
「私の意見は!?」
舞は完全にツッコミキャラになってるな…
まぁ魔物を狩りに行くにはちゃんと意味があるからな。
「舞は強制、と言うか舞の実力が知りたいからな」
そう、なんだかんだでまだ舞が戦っているところは見たことがない。だからどれくらいの実力か見たいと言うのがある。
「へ?」
舞は自分が戦うなんて思っていなかったのか困惑したように声をあげた。
「いやだって舞の実力を見ないと依頼受けられるかわからないだろ?」
まぁ正直あまり心配はしていない。
「た、確かに…そうだね…分かった、私も一緒に行く」
「よし、それじゃいこうか」
それから街を南に下り、門を出て森の前までつく。
「やっと森に着きました」
「結構歩きましたね…」
道中に他の森が結構あったが全部スルーしてきた。
多分ここじゃないと強い魔物が出てこないからだ。
「それにしてもここの森は結構不気味だな」
ローザの言う通りここの森は不気味だ。前に一度来たが森の中は薄暗く幽霊が出て来そうな場所だ。と言うか前に一人で来た時よく入れたな俺。幽霊は別に苦手ではないが、昔の俺ならこんな森に入るのは躊躇する。異世界に来て何か変わったのかな?まぁ考えてもわからないけど…
「ミツキさんそろそろ行きませんか?」
考え事をしていた俺にミーナちゃんが声をかけてくる。
「ごめん、それじゃいこうか【ライト】」
そう言ってから皆んなで森の中に入る。
「シャァァァア!!!」
しばらく森の中を歩いていると魔物に出くわす。
その魔物の見た目は狼みたいな見た目をしていて尻尾が蛇になっている。
なんかキメラの小さい版みたいだな…
「ローザ、あの魔物の名前はなんて言うんだ?」
「あれはサーペントウルフだな」
「そのままだな…」
「そうですね…」
舞も同感のようだ。異世界は何故かわかりやすい名前が多い気がする。まぁそんなことはどうでもいいか。
「それじゃあ舞、あれを倒して来てくれ」
「お主!?ちょっと待て、あれはAランクの魔物だぞ!?」
「それがどうかしたの?護衛の依頼者は相当自身があるみたいだしあのぐらいは倒さないと勝てないだろ」
「それはそうだが…」
「それに…舞なら大丈夫だ」
そう舞なら大丈夫、俺はそう確信している。
「分かった。サクッと倒して来ます」
舞はそう言って歩き出す。
「舞!?」
「ローザさん、ミツキが大丈夫だと言っているんですから大丈夫ですよ」
「…」
「ローザ、心配なのはわかるが本当に大丈夫だ。それにもし危なくなったら俺が止めに入る」
「ミツキさんもこう言ってますし、大丈夫ですよ」
「そうだな…分かったよ」
ローザはそう言って納得した。
「ミツキくん、出来れば皆んなに結界魔法を張っておいてください」
舞は魔物から10mぐらい距離を取り、俺の方を見てそう言って来た。
「分かった」
俺はそれだけ言って結界魔法を張る。
「【超結界】」
俺が超結界を張ったのが分かったのか舞は前を見る。
「シャァァァァア!!!」
魔物はそう声をあげながら走り出した。
「それでは行きます」
魔物が5m付近まで近づいて来た時舞はそう言い、魔法を唱える。
「【ウィンドスラッシュ】」
舞がそう唱えた瞬間、舞の周りから100個ぐらいの魔法陣が展開され、そこから無造作に風の刃が飛んで行く。
ヒュー!ヒュー!!ヒュー!!!
無造作に放たれた風の刃はさながら暴風のように荒れ狂い地面の草を巻き上げながら辺りの木の方へ飛んで行く。
「シャァァア!!!」
風の刃がサーペントウルフの方にも飛んで行きサーペントウルフを切り裂いた。サーペントウルフは風の刃の威力に耐え切れなかったのか一撃で絶命した。
ヒュー!!ズバッ!ズドンッ!ズバッ!ズドンッ!ズバッ!!ズドンッ!
風の刃はそのまま、絶命したサーペントウルフの後ろの木の方へ飛んでいき、何本か木を切り落とした。
同時に無造作に飛んで行った風の刃も辺りに生えていた木を全て切り落とした。
しばらくして風の刃が消え、風の刃が起こした風も止み、巻き上げた草も落ち辺りが見やすくなる。辺りの木が全てなくなったことでその場所だけ太陽の光が差し込む。
強いとは思っていたけどここまで強かったのか…
辺りを見ると舞から半径50mいないの木と草が全て消えていた。
「「「………」」」
三人は舞の実力を見て無言で驚いている。
「まぁこのくらいの実力です!」
舞はこちらを見ながらそう言った。
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