108話 競争1
「取り敢えず門を出てから飛ぼうか」
俺たちは宿から出て今は外にいる。
今飛んだら色々まずいので取り敢えず門の外に出ることをみんなに伝える。
「はーい」
「分かりました」
「こんなところで飛んだら街中がパニックになりそうだな」
「」
街の外にでてから暫く歩き、森の入り口までいく。
「ここら辺でいいか」
「そうですね」
「それじゃあ舞、手を」
俺はそう言いながら舞に手を差し出す。舞は俺の手を掴んだ。
「それじゃあ行こうか」
俺はそう言って飛行スキルを発動させ、舞と供に空中に浮く。俺と舞に続いてミーナちゃん、サーシャ、ローザが飛行魔法を使い、空中に浮く。
「ミツキ様高度はどのぐらいですか?」
「んーそうだな、700mぐらいでいいかな」
今回は五人いて、空にいても目立つので高めに言う。
「分かりました」
それを聞いて俺は舞と供に高度を上げる。
それに続いて三人も高度を上げる。
「上空はちょっと寒いですね」
「確かに」
結界魔法を張ってないから風が冷たい。
なんとかならないかな。
ピロン!
("寒冷耐性Lv3"を習得しました。)
………
「もうなにも言うまい」
「え?」
「いや、なんでもない」
俺だけ寒くなくなっても意味がないんだけどな。なんか魔法作れないかな?ちょっと試してみよう。
イメージは魔力を服に見立てて全身を覆うように、魔力自体を身体が暖かくなるぐらいの温度にしてに、それを魔力で挟む。こちらの魔力には風を通さないようにする。そして暖かさが伝わるようにする。
ピロン!
(オリジナル魔法【防寒魔法】を習得しました。)
これはオリジナルなのか…まぁいいか使ってみよう。
「【防寒魔法】×5」
「あれ?なんか暖かくなりました」
「本当ですね。寒くなくなりました」
「この魔力の感じ、お主の魔法か?」
「え?そうなの?」
「寒いと思って魔法を創ったんだけど、どうだ?」
「すごい暖かいですよ!これ!」
「そうですね。ポカポカしていて気持ちがいいです」
「なんかコタツの中にいるみたい〜」
「コタツとはこんな感じなのか、確かに気持ちがいいな」
みんな暖かそうにしていて良かった。
「それじゃあ改めて行こうか」
俺がそう言ってから、俺たちは上空を進み出す。
「こうして上から街を眺めるのはやっぱりいいですね」
今は街の上を飛んでいて、その街を眺めながら進んでいる。上空はみる街は屋根が色とりどりで、人々がものすごい人数歩いている。
「確かに、こういった景色は何度も観れる訳じゃないからね」
「まぁそもそも空を飛ぶ事自体ないことなんですけど…」
俺の隣にいる舞がそう言う。
「そろそろ街から出ますね」
「そうだ!皆んなで競争しませんか?」
「競争?」
サーシャが言った後にミーナちゃんが提案してローザが聞き返す。
「はい!次の街まで競争です!」
「いいね、やろうか」
「ミツキ様は速すぎるのでハンデをつけてください!」
「お主の速度だと1秒も掛からずに次の街に着きそうだしな」
「いや、舞もいるし1秒は無理かな」
まぁ絶対障壁を使えばいけるとは思うけど
「ハンデか…なんかいいのあるかな?」
「ミツキは空中を走るっていうのはどうですか?」
「え?どういうこと?」
「そのままの意味ですよ。ミツキは空中を走ってください」
「どうやって?」
「お主なら出来そうだな…」
「ミツキ様なら出来ますよ!頑張ってください!」
「やっぱりなんでもできると思われてる!?」
「できないのですか?」
「いや、できると思うけど」
「できるんだ…」
一応結界魔法で足場を作ればできる気はする。
「それじゃあ一列に並んで!よーい!どん!」
「急だな!」
ミーナちゃんがそういうと皆んな同時に飛んで行ってしまった。
出遅れたな。取り敢えず舞の安全を確保するために結界魔法を張ろう。と、その前に
「舞、抱っこするから俺の前に来れるか?」
「え?」
「手を繋いでたら走れないからな。それともおんぶがいいか?」
「え?え?」
「どうしたんだ舞?」
「い、いや、抱っこって…そんな急に言われても…」
「早くしないと皆んなに追いつけなくなるぞ?」
「で、でも…」
仕方ない
「きゃっ!」
俺は舞をお姫様抱っこする。
「それじゃあ行くか、舞危ないからちゃんと捕まってろよ」
「ぅ、ぅん」
舞はそう返事をしながら俺の首に手を回してくる。
俺は結界魔法で足場を作り、飛行スキルを解除して足場に降り立つ。
「【超結界】」
超結界を張ってから、しゃがんで足場を思いっきり蹴る。
ヒュンッ!
風を切りながら、空を一気に駆け抜ける。
これでも十分速すぎるな…
さっき居た場所から500mくらいは離れている。
というかこれ、走ってるって言うより飛んでるよね。
まだ踏み出しの一歩しか足を使ってないのにもう1kmぐらい進んでいる。
1.2kmぐらい進んだところで足場を作りもう一回踏みだす。
「舞、大丈夫か?」
「うん、だ、大丈夫」
舞は俺の胸に顔を埋めながらそう言った。
「気持ち悪くなったりしたら言えよ?」
「うん、ありがと」
そうして俺と舞は空中を走った。
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