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【喜怒哀楽短編集】

深い微笑み

作者: 姥妙 夏希

少し暗い内容ですが。

大分前に書いて、溜まっていたのでUPしますノ

そもそも、私がここにいて、ここで生きていて、何の意味があるのかしら?

例えば、社会貢献が出来るかもしれない。何か、いい事が出来るかもしれない。

でも、だから何?言い換えれば、それは私の存在理由と合うの?何と??


分からない、分からない。

何も、分からない。


学校にて、数式を習う。

yが何だのxが何だの、そんな物ばっかりだ。これは、社会人で使うのかしら?

そもそも、習っておいても使わないのなら、覚えなくてもいいのでは?

考え、答えられないままの質問が溜まってゆく。しょうがない?

あら、また未回答の質問が。

そんなことをしている内、授業は終わり皆が散らばり何処かへ行った。


私は、黙々と本を読み続ける。

本だけは、救いだ。


その世界だけは、私のどんな論でも受け止めてくれ、そして制してくれる。

その世界だけは、私を見つけてくれる。

だから、今日も今日とて、本を読むのだ。


「佐々木さん、本ばかりではなく友達もつくったら?」

いきなり本を取り上げ、先生がそう言った。

全く...先生は、なんでそんな事ばかり言うのだろう。

大体、何も知らないくせに。

「先生、協調性と言ったほうが、より大人っぽくないですか?」

そう言うと、顔を真っ赤にしている先生から本を取り戻し、教室を出た。


学校では、良い事なんて勿論ない。

屋上で座り、授業も忘れて、本に没頭する。

先生は気付くけど、テストでいい点を取っていて、ある程度平均点を上げているのは私なので、別に何も言わない。寧ろ、手に負えない生徒なので好きにさせているようだ。


屋上では、風が爽やかで涼しかった。

何処からか、鳥の鳴き声も聞こえる。気持ちのよい世界なのだろうか。

そう、貴方達にとってはこれが良い世界なのね。


何処かで、核兵器問題があったり戦争が多発していても、見えないから。

目で見たところだけ、判断するのね。


夜、家でも本を読む。

宿題なんて、少しあれば終わるし、特に熱中するものも本以外ないから、本を読むのだ。

本の世界はとても良い世界ね...。

そこでは、そこだけの世界がある。


協調性だの、友達だの、そんな吐き気がしそうなものなどない本を選ぶから、私の思考とマッチして、とても良いのだ。


本を読みふけった私は、何時しか瞼が重くなるのを境に、寝る準備を始める。

ベッドに入る前に、星空を見上げた。


ああ、何も知らない社会に、何の存在意義があるのか分からない私。

いつか分かるかしら?全て?


「分からない、分からない...」


そう呟くと、私は深く微笑んだ。


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