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大天才キヨイと白と黒の悪魔  作者: 彩ぺん


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スパルタ生活へようこそ4

 15時から小屋内で課題、予習復習の合間にクレイヤとリオとお客様と一緒にメッソルに会いに行く。

 定員5人だけではなくアンスロポスの好き嫌いもあるので、秘密の図書室へ行きたい偉い祓士とメッソルを取り持ったり疲れる。

 クレイヤはメッソルに熱愛されている。メッソルの熱愛は芸能人を見るファンみたいな感じ。

 メッソルは「レオナルドみたいで素敵だから話せるようになりたいとクロノス様にお願い中」と言っていた。

 神様と話せるってメッソルって何なの? っていうか神様、本当にいるんだ。宗教の中心にいるリオだけが驚いていた。他の人達は信心深いっぽい。


「今日も誰も図書室に入れてもらえなかったね」

「黒白結社の重鎮を、じめじめしてそうで嫌とかメッソルの機嫌を取るのは骨が折れるな」

「クレイヤは好かれたのにね」

「ヘクセライって中々いないのね」

「リオ、それ私も思った。ヘクセライに近いはみんな言われるけど、ヘクセライは今のところ私とリオだけじゃん」


 黒白結社から偉い人達が日替わりでやってくるけど、ヘクセライはゼロ。しかも本人の得意な分野ではないヘクセライに近いと言われたり、ヘクセライが何だか分からなくなってくる。

 結局才能より努力なのかも、と思う今日この頃。


「ダニエルさんが部下にバラキエルを運ばせたっていうから地下実習室に行くか」

「バラキエル?」

「雷が酷いと生まれる悪魔よ。一昨日の豪雨であちこちに出現したから」

「クレイヤ、簡単?」

「いや、どうだろう。ゴリ押しで退魔されてきた悪魔だから暴露解析は比較的近年なんだ」


 地下実習室に行くと、捕獲檻内に黒い縄状の悪魔がウネウネしていた。人と同じくらいの大きさのミミズっぽさ。気持ち悪い。


「雷なのに雷の魔力全くないじゃん!」

「おっ、それはすぐ分かるのか」

「核は……」


 複数の魔力がごちゃごちゃ渦巻いている。高密度。すぐには分からなそう。


「ダニーのおっちゃんがバラキエルを持ってきたって聞いたぜ! リオに結界張らせてちょいと俺をバラキエルに呪わせて退魔と解呪の練習をしようぜ!」


 どこからか情報を仕入れてきたルークが登場。


「お前、フィオナとブレイドから逃げてきたんだろう」

「あはは、あー、難しすぎて?」

「お前がそう言うなら生徒に見学会させるか。リオ、いけるか?」

「バラキエル1体なら何の問題もないわ。ルークを呪わせてって、あなたの体は呪いが変わるし基本的に自動で解けるじゃない」

「その通り。なので暴露訓練だ。せっかくだし早朝訓練組を参加させるか。チームワークの訓練も兼ねて」


 という訳で私、マール、メルル、ハヒル、ロナルド、ビルに特別訓練。客席に見学者達。ほぼ全校生徒が大演習場に集合っぽい。


「よし、お前ら。絶妙な具合で守ってやるし戦闘指導は俺に任せろ!」


 ルークの発言に私達はおざなりな拍手をした。


「お前は生徒が怪我しないようにする役。指導は要らない」

「そうよルーク。あなたに教えるっていうことは無理よ。大事な生徒達を助けるだけ」

「んだよ。どいつもこいつも、お前ら後輩まで」


 ルークがぶすくれる。


「こいつに指導は無理だが動きは参考になる。真似しようと工夫してみろ。大怪我をしないようにルークがきちんと守る」


 大怪我って、多少の怪我はありってこと? でもルークなら安心安全。他の皆は……不安そう。


「キヨイは後方支援。暴露や防護魔法、攻撃魔法増強などで退魔支援。敵に直接攻撃は禁止」

「はい」

「逆にビル、ロナルド、ハリル、マール、ビルはキヨイを後方に置いて直接攻撃班。もちろん仲間を助ける補助は何でも使って良い。声を掛け合ってバラキエルを退魔。中級悪魔のバラキエルやその核を知っている者は?」


 誰も返事をしない。全員首を横に振った。


「予想通り。つまりキヨイの暴露が必要。彼女に集中させないとならない。俺が把握している君達の実力だと最終的に協調退魔が必要。課題をクリア出来ると期待しているからこの訓練をする。全員俺とリオがしっかり指導するから気合い入れろ」

「はい、クレイヤ先生!」


 クレイヤには拍手喝采。


「訓練前に知識確認だ。オピオンを知っている者は?」

「はい!」


 ハリルが勢い良く手を挙げた。


「水魔法で作る蛇です! 水難救助でとても活躍します!」

「その通り。オピオンより強力なのはオピルオンだ」


 クレイヤはニヤリと口角を上げた。ハリルがビルに「退魔のヒントかな?」と耳打ちしたけど、多分逆だ。嫌な予感。


「クレイヤ、ゴリアテがセルヴァも足すわ。2体ずつでどうかしら? 皆さん、セルヴァは分かります?」

「はい!」


 またハリルが勢い良く手を挙げた。


「風魔法で作る鳥です! 主に遭難者の探索で活躍します!」

「その通りです。良く勉強していますね。セルヴァは高難度魔術になるとセルヴァジーナです」

「そんなもんだろ。ゴリアテさん、協力ありがとうございます。そこそこのやつを頼みます」

「はい、そこそこですね」


 ゴリアテも私達の様子を見て愉快そう。


「ではバラキエル退魔及び悪魔災想定訓練を行う。敵はバラキエル、オピオン2体、セルヴァ2体。制限時間は1時間」

「作戦会議は5分です。始めますね」


 クレイヤとリオ、ゴリアテ、ルークが私達から離れた。捕獲檻の近くに私の腕くらいの長さと太さの蛇が2体、人の顔くらいの体に大きな羽の半透明の鳥が出現。


 リオが結界——というか超強力防御壁(ディフェド)に見える——を張った。

 結界だからかフィオナ花や虹色の特殊魔力も見える。


「これが結界……」

「キヨイには何か見えるのー?」


 マールに向かって首を縦に振る。全員何も見えないみたい。


「時間ないからそれは後。作戦どうする?」

「ハリルはキヨイの近くだな。知識で援護とキヨイの警護」

「俺とマールはバラキエルとオピオン中心。バラキエルは分からないけどオピオンが水の蛇なら火が得意な俺達だろ」


 ロナルドがマールと並ぶ。皆、難易度上げられたのに文句言わないのね。やる気満々じゃん。


「ロナルドとマールがペアならメルルと俺か。風魔法の鳥って土系とかだよな? メルルはいけそうだけど、俺は微妙」

「あの蛇と鳥、絶対厄介だよ。悪魔じゃないから核破壊じゃなくて魔力の強さとか何かコツがないと倒せないと思う。前に極炎級の火の鳥に襲われたんだけど、分裂して火の矢になったり恐ろしかった」

「極炎級の火の鳥?」

「新種悪魔と遭遇した話をしたでしょう? 色々集まってきて大変だったの」


 魔女のことは秘密。多分。


「キヨイ、入学早々お前苦労してるんだな。良く怪我しなかったな」

「ルークが守ってくれた。さっき大怪我はしないって言ってたから多少の怪我は許容範囲ってことだよ。火の鎧と土の鎧、他の人にもいけるかな? 試してみるけど基礎の基礎しか使えないから期待しないで」

「バラキエル対策はどうするー?」

「私、ニュースで名前を聞いたことがある。豪雨の時に現れるって。悪魔災想定訓練ってそういうことだよ」

「メルル、その通りだと思う。雷雨の時に現れる中級悪魔って言ってた。でも雷の魔力は全然感じないの」

「水系か? 中級悪魔をこの6人なら退魔出来るって期待されたからこの課題クリアしようぜ!」

「5分経ちますので始めますね」


 リオが珍しく大きな声を出した。


「えっ、魔弓(フェイフノト)?」


 またしても嫌な予感。


「何あれ」

「すげぇ格好良……」


 リオは水の矢を掴み、空高く放った。そこにゴリアテが風を叩き込む。弾けた矢は雨になって降り注ぎ始めた。しとしと雨じゃなくて豪雨。


「悪魔災想定って天気も⁈」


 クレイヤが捕獲檻から悪魔を出す。それでクレイヤ、リオ、ゴリアテ、ルーク、それからいつの間にかいたブレイドが離れていく。

 リオはブレイドの移動術のソファに座り、ゴリアテかブレイドが作ったっぽい火の屋根の下。

 クレイヤは私達とリオ達の中間。ルークはクレイヤと正反対らへん。


 次の瞬間、無数の稲妻が私達を襲った。

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