・・・そして時間が静かに流れていく 雨の中を歩く (2篇)
・・・そして時間が静かに流れていく
雨はひたすら降り続ける
太陽も、月も、星の存在も
夢であったかのように
雲と大地をつないでいるものが
大地に届けばその形を失う
・・・そして時間が流れる
形のないものが形を残していく
太陽を東から西へ昇らせ
月を欠かさせ また満たさせ
星を消えさせ また生まれさせ
雨の季節に思う
雨と時間の綾を
時間と人の綾を
時間は流れる
ただ静かに形作るために
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雨の中を歩く
つま先ばかりを見つめて
誰かのかかとを追って
雨の中を歩く
傘を背負えば亀のように
誰からも見られず
誰も見ず
私は誰からも隠れようとしているのではない
私は誰かの目から逃れようとしているのではない
亀になった私は強くなっただけ
だらだら泣いているのは空
ズルズル鼻をすすっているのは人
かかとの行方を見逃さないで