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カト村へ

道を走り始めて2時間 景色は草原だったり林があったりする程度で

あまり変化がない さらに遠くの景色では山も見えるが

俺の知ってる景色じゃないし 気を失う前の位置関係からも

ここがまったく別の場所だとわかる


違いは他にもある

生えてる植物が違う

山とか何度もいってる人にはよくわかるのだが

そこらに生えてる植物は地域によっても違うし 国によっても大きく異なる

海外のラリーの映像などで 山道の映像を見ると 寒い地域と熱帯の地域では

植生がガラリとかわったりするが そこまででは無いものの

見かけない花がチラホラとある


 『ヒロキさん!』


ミナの声で自分が運転しながらも考え事に耽っていた事を実感する


「どうした?なんか獣でもいた?」


 『いえ 何も喋らないのでなんか気になって』


「あぁ ごめん ちょっと周りの景色が色々違うのが気になって」


 『ヒロキさんが違う世界から来たのは知っていますが そんなに違いますか?』


彼女に俺が植生の違いや景色の違いなどを説明する

やはり スマホから得られたのは 俺がこの世界の人間じゃないという事意外は

かなり乏しい知識しかないようだ」


あれ?なんかおかしいな・・・


「スマホの中の情報を見たのは聞いたけど 俺の世界の文字よめるの?」


 『いえ 読めませんよ 私がヒロキさんの情報として知っているのは

  声や音楽から得た物です』


俺はスマホの中に録音したラジオが大量にある事を思い出した

持ち物の中にラジオもあるけど 走行中はノイズが酷くて聞こえないし 暇な時間にでも

聞こうかと 昔から集めていたデータも入れておいたのだ


あとは普段 伝言メッセージに残された音声なんかも聞いたのかもしれない


うん まぁそこはいいんだ だが おかしいのはそこじゃない


「俺がこの世界の人間じゃないって判ったのって そこから?」


 『違いますよ』


「じゃあ 何?」


 『”妖精喰い”から逃げてる時に 空がぱっと 光ったと思ったら 空中から

  突然ヒロキさんが現れて落ちてきたんです』


「え!?」


彼女から思わず 俺の気がつく前の話がでてきた


 『それに ヒロキさんの格好が・・・』


白いヘルメット、白のライディングジャケット、Gパン、茶色のオフロードブーツ

ちなみにGパンの中はニーシンガードも付けている


バイク乗りとしては至って問題の無い格好だ

まぁ 街中とかだとゴテゴテしてるかもしれないが


「なんか変か?」


 『ヒロキさんの被ってるのとか その服とか見た事無いですよ』


まぁ フルフェイスヘルメット被ったままでバイク無かったら

どこへいっても不審者ではある


「でも スマホに入った時って そんな格好の人間に近づいたんだろ?」


 『必死でしたから それに ”すまほ”の箱が魅力的に見えたので・・・』


猫に袋を与えたときのような物だろうか? 妖精にはスマホが魅力的に映るらしい


「でも服の中にあったのに なんで見えたの?」


 『よくわかりません ”すまほ”がぼんやり光っているとでもいうのか

  誘われるように入り込んで気を失ったみたいです』


Gホイホイならぬ妖精ホイホイだったのか俺のスマホ


それにしても 俺が気を失っていた間に 俺は空中から現れて落ちてきた?

バイクが刺さってたのはそれでか

下が火山灰だったのが幸いしたんだろう 普通の地面だったら俺は骨折は免れなかったかも

背筋がゾクっとした・・・


さらに1時間 景色はなにもない草原だったのが 畑がみえはじめた

この間 人はおろか獣も見なかったのだが 道の続く向こうに煙が見える

村の普段の生活ででる煙にしてはかなり濃い

火事が起きているようだった もしかして ミナが言ってた地震は

こっちでも被害が出たのかもしれない。


段々煙だけだったのが 火事もみえる

そのうち 村の入り口らしき物がみえ 付近に人の姿がみえた

こっちが見えてるのか 何か騒いでるような気がする

ライトが点いてるから向こうでも気づくはずだ

近づくにつれ 入り口の門や周りを囲う塀が見えたのだが 所々壊れている

人々が修復というより 片付けをしている感じだ


そして俺は門の前まで来た

門番だろう人物が二人 片方は小柄で長い髭 恰幅のいい皮でできた鎧を着ている

片方は俺と大差ないが こちらも皮鎧 それぞれ 小柄なのが斧 もう片方が槍

何か言ってるのだが わからない 外国語だろうか

いや それ以前に小柄な人は ファンタジー系では有名なドワーフという種族ではなかろうか?


「ミナ 何言ってるのか わかる?」


 『やはりヒロキさんとは言葉が違うのですね』


「やはりって 知ってたなら予め教えてくれよ」


 『すいません 気づいたのが 今さっきでしたので』


「お前わかるの?」


 『ええ』


「じゃあ 俺に彼らの言ってる事をおしえてくれ」


俺はイヤホンジャックをスマホから抜き ヘルメットを脱ぐ

こっちがミナと話してる間 反応が無いので あきらかに顔が不審者をみるソレになっていた


 『何者だ! と言ってます』


「ミナの言葉は向こうに通じるのかな?」


 『とりあえず試してみますね』


彼らにスマホからミナの声で聞きなれない言葉が聞こえるのかと思ったが

スマホからは

 

 『こんにちは 怪しい者ではありません 旅の途中で迷っているうちにここに来ました』


俺には日本語に聞こえるのだが 彼らに通じたらしい


「俺にも意味が通じているんだが どうなってるの??」


 『私たちの種族は言葉を思念で周りに伝えるので 周りには言語の壁がありません』


「あ、そういう事か」


一端ほっとしたように見えた門番の二人がまわりをキョロキョロとして何事か喋る


 『私はこの男性の魔道具に住み着いた妖精です ヒロキさん スマホを出して彼らに見せて下さい』


俺はバックパックの肩紐に付けたスマホの入ったケースを外し 彼らにみせる


 『私はこの箱の中におります 彼はヒロキさん 異国から彷徨いついた方です』


「どうも はじめまして ヒロキです」


俺の言葉は通じないが 挨拶は気持ちだ 会釈しながら日本語で挨拶する


それから門番とミナは 俺の身の上を少々大げさに喋る

バイクや俺の服装などの質問は ミナに聞かれた事を俺が喋ってミナが伝えた


そして しばらくの後 村長の所まで案内される

バイクは厩舎の前に置くように案内された


火事はまだ燃えているのだが 周りに延焼しないように周りの建物を壊して

あとは燃え尽きるまで周りに延焼しないように水を掛けている状態なのだという


昨日の地震があってから 倉庫と村の者数件分が燃えているとの事でかなりの火事

なのだが 周りは壊れた家の片付け等に追われて 数人が延焼防止に走り回る以外は

見物人もいない程なのが違いだろうか。


村長の所に案内される時 荷物もいっしょに持っていくように伝えられたので

何回かに分けて運ぶ 荷台に振り分けるタイプのバックが一式

荷台に乗せるバックとテントやシュラフ そして自分のバックパックに

タンクバック かなりの大荷物だ。


そして村長宅という割に 立派には見えないログハウスっぽい建物に入る


俺を案内してくれたのは ドワーフの門番 名はローさん

案内する間中俺の持ち物や服装がきになるようで

色々質問されたのだが ミナにわからない事を通訳してもうのが

とても面倒だった 俺が腰に下げてたナタにえらく興味を

そそられたらしく 抜いて刃を俺のほうに向けてローさんに

さしだし ミナに「貸すだけですよ」と通訳させると 以後それを

食い入るように見入ってしまった


案内を忘れたように見入るので 鞘を外しそれも渡してやって

「案内を先に御願いします」 と通訳してもらうと

笑い顔が見えた 自分の仕事も忘れる程すごい物じゃないのだけれど。


建物の中はこれまた殺風景なというか 簡素な椅子とテーブル暖炉がある程度

壁は丸太の外壁と同じく丸太がもろに見える


そんな部屋の簡素な椅子に 髭もじゃの小さい人らしい誰かがいる

村長というよりは 長老 もしくは仙人という感じで


村長というその小人は ダーイという名前で この村の村長だそうだ。


ミナが改めて俺の事 ミナ自身の事を話し ここらでは行く当てもなく

しばらく厄介になれないか 仕事も建築方面でできる事があるかもしれない

事などを通訳してもらう


すると ローさんと村長さんが何か話し会っている。


「何話してるのかな?」


 『ヒロキさんの格好や荷物は誰も見た事がないので 何者なのかの判断が付かなくて

  処遇について困っているようです』


まぁ それはわかる 皮鎧に斧や槍が武器に出てくるような世界で

俺の格好はありえない 場違いすぎる


「とりあえず 贈り物でもしたらいいのかな?」


 『贈り物ですか?』


俺はバックパックから 携帯食料を取り出す カロリーなんちゃらいうお菓子っぽいあれだ


3箱あったので 2箱を差し出し1箱開封して 自分で食べて見せつつ


「俺の国の食べ物の一つです」


と ミナに通訳して貰い 開封した残りを村長とローさんに手渡す

二人がそれを食べると 何事か喜びながら喋っている


「おいしいとか言ってるの?」


 『ええ 食べたことの無い味だそうです』


それから 俺の持ち物を片っ端からバックから取り出しテーブルの上に並べる


「武器になりそうな物からそうじゃない物 全部みせるから それも判断基準に

 してもらうように言ってくれ」


ここからが大変だった 荷物がかなりの数なのもあるが 見た事ない物の

説明に時間が掛かった それでも 免許証の写真に関しては

文字こそ読めないが 見た事もない作りの小さいカードに俺の顔が映っているのは

摩訶不思議な物として映ったようだ


他にも 紙幣も時間が掛かった こちらには紙幣が存在しない

紙幣は国や組織などが保障するからこそ存在して使える物であり

また 偽造されないように 精緻を極める紙幣の絵の中に文字があるのと

透かしに関して解説した時は どうやって作ったのかしつこく聞かれたが

俺にも印刷である事意外わからない話なので回答に困った


ちなみに財布の中にあったのは千円札数枚だけだったのだが

おぼろげな記憶で 夏目漱石の肖像画のある面の透かしの

右側に ”ニ” そのかなり下に”ン” ”ン”の反対側の”ホ”

を見つけ出すまでに とげ抜きように使うつもりで荷物に入れてた

虫眼鏡を用いて30分程かかった


*ニーシンガード

 膝から脛までを覆うガード

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