二分の一
『あ...』
ノナは目が覚めた。何だか冷たい地面にうつ伏せになっていた。顔を上げると、7歳ぐらいの少女が立っていた。薄手のポンチョを着て、ツインテールだ。少女はニヤニヤ笑う。
『あらら、本当に落ちてきたし。あいつの言うことが本当だなんて、なーんかムカつくなぁ...』
ノナは重い身体をなんとか起こすと、そのままへたり込んだ。濃い霧により目の前の少女以外何も見えない。
『誰...』
少女はニヤニヤしながら首を傾け、ノナに顔を寄せた。
『ねへへ。君、良いよー。私は、世界を...救うから、』
『...?』
『君は、そのためのさ、道具になってもらうよん。大事大事な...道具。道具?いや、何でもいいや』
『...え...』
『あっははー。ごめんねい。でも、さ。むこうの世界で生きてても...辛いでしょう?ん?』
『...え...え...』
『まぁ、いきなりだし、ね。一回帰らせてあげるから。ちゃんとむこうの世界にさよならしてきて。あ、そうだ。わたしの名前はアリス。よおく、覚えといねん』
そう言うと、少女はノナの額に手をかざした。
『...』
視界がぼやけてきた。ノナは、また深い眠りについた