第5話
「……ここは。」
ゆっくりと目蓋を開き、そう呟いたのは『白燕の勇者』である白髪の少女、心道 光咲。
昨日の夜、サクラに向かって気絶するほどの魔気を消費する『魔法』を放った少女だ。
(どうして私は自分の部屋のベッドで寝ているのだろう?たしか昨日、私はあの人と………まさかっ!?)
そう思った光咲はガバッと上半身を勢いよく起こす。
……と、同時に、顔に痛みと疲労感が襲ってきた。
そしてそのまま、ボフッと、ベッドに仰向けで倒れる。
(夢じゃ、ないんだ……。)
身体に走った、疲労感と顔に感じた痛みが「昨日の出来事」を語っていた。
痛む、左頬を指で軽く触れて、安堵し、笑みをこぼした。
光咲はフと、左側に顔を向ける。
「………良男君?」
光咲の視線の先には、耳の上で切りそろえられた黒髪にぐるぐる眼鏡を掛けた、『聖なる勇者』である、田中 良男が腕を組んで寝ていた。
どうして良男君が?と、疑問を抱きながら見つめていると、その視線に気付いたのか良男はパチリと目を覚まし、顔を上げた。
「目が覚めたのか光咲!」
上半身を起こしている光咲を見て、立ち上がる良男。
そしてそのまま頭を下げて「すまんっ!!」と、謝った。
「え?え?あ、あの、どうしたのいきなり?」
いきなりの謝罪にあたふたしだす光咲。
良男はその体勢のまま
「俺がもっと、早く気付いて、駆けつけていれば光咲がこんな事にならなかったのに。 勇者になって浮かれていたんだ。本当にすまなかった。」
二秒程して、良男が昨日の出来事について謝罪しているのだと光咲は気付いた。
「ううん、そんな事ないよ、良男君。そもそも、私があんな時間に素振りなんかをしていたのが悪いんだし…。良男君が気にする事なんてないよ。それに、私をここに運んでくれたの良男君でしょ?ありがとう。」
光咲は良男にそう言うと、にこっと笑いかけた。
「……こんな俺を許してくれるのか?……ありがとう、光咲。」
そう言った良男の瞳からは、一筋の涙が。
(流石は良男君。こっちに召喚されても厨二病は健全だね!てか、前よりも磨きが掛かったかな?)
良男の様子を見ている光咲は密かにそう思うのであった。
(……あれ?今、フラグたったんじゃね?幼馴染みルートたったんじゃね?)
光咲の発言を聞いた良男はそんな事を思い、心の中でガッツポーズをする。
(よ〜し、フィリアはもう落としたし、幼馴染みルートはたったし、いい調子だ。この調子でマリルちゃんとステラちゃん、旅先の村とかの村娘なども虜にするぞっ!目指せ!ハーレムルートっ!)
と、意気込む良男であった。
(*・ω・)人(・ω・*)
「わ〜い!川だぁ〜。」
サフィアはそう言うと、目の前に流れているちょっと狭いかな〜?と思われる、下手したら川底まで見えてしまえる透き通った川に飛び込んだ。もちろん、すっぽんぽんでだ。
サフィアの通り過ぎた後には、衣類達が脱ぎ捨てられていた。
「ん〜、きもちいぃ〜。」
バシャッと、川から顔をだして、笑みを見せる。
一緒に来ていたサクラは,溜め息を吐きながら脱ぎ捨てられた衣類達を拾い集めた。
「サクラも一緒に入ろ〜よ〜。」
川から上がり、小走りでサクラのもとに駆け寄るサフィア。
「え?やだ。」
「えぇ!?」
サクラのストレートな否定に驚きを隠せない様子のサフィア。
「ど、どうしてそんな事言うの?楽しいし、気持ちよ?水遊び。」
「どのくらい楽しいのかな?」
「え〜とね、こぉ〜っのくらいっ!」
サクラの問いに、手を思いっきり広げて表現するサフィア。………すっぽんp(殴
げふんげふん、失礼。
まぁ、頑張って表現したわけですよ、えぇ。
「ほほぅ〜。それはとても楽しそうだね。………うん、だるいからやだ。」
それを聞いたサフィアは、どこの誰が見てもわかるぐらい、目元に涙を溜め、潤目で、
「サクラはいつもそんなことばっか言うっ!お風呂は入ってくれるくせにっ!もういいもん。ムーちゃんと水遊びするもん!後で入れてって言っても入れてあげないんだからっ!。」
うわあぁぁぁぁぁぁん!
と、泣き声を上げて、小魚達がのびのびと泳いでる川にダイブした。
「ん〜、きもちいぃ〜!」
本日二度目の台詞である。
バシャバシャと、川で暴れてるサフィアを見て微笑むサクラ。
ぽふ。
微笑んでいたサクラの頭に、透き通った水色の毛並みをはやした小熊が乗ってきた。
サクラはしゃがみながら小熊を地面に下ろし、頭を数回撫でる。
撫でられて、気持ちよさそうな顔色を浮かべる小熊……いや、水色の毛玉。
数回撫でられると、満足したのか、身を翻し、とてとてと川に向かって走り、ピョーンと小熊もダイブした。
「あっ!ムーちゃんいた〜。どこ行ってたのムーちゃん?」
と、小熊、もといムーちゃんを抱き上げるサフィア。
ちなみに、ムーちゃんはただの小熊ではなく、
【流水蒼熊】と言う、とてもご立派なお名前を持ったサフィアの精霊であるのだ。
そんな光景を見守りながら、サクラは木陰に腰をおろした。
※良男君は過去に何度も「幼馴染みルートきたんじゃね?」と、思っております。ですがそのたびに「私達、親友だもんね。」と、光咲に言われ続けていました。
( ゜∀゜)o彡°幼女!幼女!
誤字などがありましたら気軽にどぞっ!




