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第4話

ひゃっほーーーーーぅっ!!


幼女っ!幼女っ!

「………またか。」


はぁ…と、溜め息をついたのはベッドの上で上半身のみを起こした、腰あたりまである、癖っ毛の黒髪に黒色の瞳の少j……ゲフンゲフン、失礼。

黒髪黒眼の少年、サクラ・ハーツロード。

サクラの視線は隣で「すぅ…すぅ…」と、寝息をたてて眠っている、幼女に向けられていた。


サクラの隣で寝ているこの幼女の名前はサフィア。

海のような透き通った感じの青髪を臍あたりまで伸ばした子だ。


サフィアはほぼ毎日と言って良いほどにこうしてサクラの寝床に潜り込んでいるのだ。


最初の頃はきちんと「自分の部屋で寝ろ。」と、言っていたのだが、言っても言っても潜り込んで来るものだから諦めてしまったのだ。


サクラはサフィアのさらさら〜とした、青髪を一撫ですると、起こさないようにそっとベッドから起き上がり、部屋を出て行った。




バシャッ、と洗面所の冷たい水で顔を洗い、眠気を飛ばすサクラ。


「………勇者、か。」


サクラは昨日の事を思い出し、ぽつりと呟いた。




(*・ω・)つ(回想)ビシッ!!




「もう一度聞く。お前が光咲をこんな風にしたのか?」


まだひんやりとする気温の中、敵意の籠もった言葉がサクラに向けられる。


(そうか〜、あの少女の名前は光咲って言うのか〜。)


ゆらゆらと、氷で構成された扇を扇ぎながら思う。


「黙ってないで何か言ったらどうだ?【氷雪黯狐フェンリル】さんよ。」


ギラリと、ぐるぐる眼鏡を光らせて問いてくる青年。


「……お前は、『勇者』か?」


サクラは少々驚きながらも青年に問い掛けた。


「だったらどうする?」


少し前屈みになり、警戒心を強めた青年。

そんな青年の頬に伝う、一筋の汗。


「……そうか。」


ピシャッと、扇を畳むサクラ。


(勇者の加護か…厄介だな。)


サクラは畳んだ扇の先っぽで頬をかく。


【勇者の加護】

勇者の加護とは、こちらの世界に『勇者』として召喚、または転生などをした場合のみ、加えられるチート能力だ。


勇者の加護の能力は基本的には二つ。


一つは身体能力や、魔気の量などがバカ高くなる。

どんなに弱い勇者でも音速で動けるのだ。

魔気に至っては一般的に多くても大体、5000ぐらいあれば天才と呼ばれる。

しかし、勇者は最低でも1000以上は所持している。


もう一つは、相手の所持している魔気の量や、使える属性、精霊の有無に、一般常識と、武器の扱い方などを教えてくれたりするのだ。


一般的には魔気の量や精霊の有無は相手に教えてもらうかとかしない限り、知るすべはない。辛うじて属性だけは髪の色や瞳の色でわかる。

が、稀に属性を複数扱えたり、髪の色とは全くの別の属性を扱ってる者がいるため、なかなか見分けるのが難しい。


現にあの少女は白髪なのに光属性ではなく、火属性を扱っていた。

それに、あの青年もだ。

黒髪なのに、闇属性ではなく、光属性を放っていた。


だから、あの少女と青年はサクラが所持している精霊を見抜くことが出来たのだ。


それと、もしも、相手が自分よりも強かった場合は、瞬時に判断し、忠告するのだ。


そう、今まさにあの青年の中で響いてるように。




『逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ逃ゲテ。氷ノ死神ガ、キタ。今スグニ逃ゲテ。』



(おかしいだろ。まだ、こっちに来てから一ヶ月しかたってないが、今までこんな事なんてなかったのに。)


青年は冷や汗をかきながら思う。


だが、青年は光咲をこんな風にしたサクラと戦う気らしい。


二人の間に沈黙が走る。


「……よし。行くか。」


沈黙を破ったのはサクラ。

サクラはそう呟くと身を翻し、塀の上に跳躍する。


「待てっ!!」


青年はそう叫ぶと後を追おうとした。

しかし、青年がその場から動くことはなかった。いや、動けなかったが妥当だな。


青年の足下は氷によって凍てつかれており、一歩も動かせなかった。


「じゃあね、『勇者』様。」


サクラは『勇者』に手を振って、その場を後にした。



「……クソッ!」


サクラがいなくなった中庭。

青年は足が自由になると、その場で片膝をつけて、地面を殴りつけた。



(*・ω・)つ(回想終了!)ビシッ!!




(ちょっと、大人気なかったかな〜。)


と、思いながらもう一度顔を洗い、タオルで顔を拭いていると。


「さくら〜。」


と、サクラを呼ぶ幼い声。

サクラは声のした方に顔を向ける。

視線の先には、まだ眠たげでしょぼしょぼするサファイアみたいな蒼い目をこすりながら、とてとてと歩いてくるサフィアが。


そして、サクラにぎゅぅと抱きつき、「ふあぁ〜」と、可愛らしい欠伸をする。


サクラは笑みをこぼし、自分のお腹に顔を埋めているサフィアの頭を優しく撫でる。


「ふにゅ〜」と、目を細め、気持ちよさそうな顔をするサフィア。


周りから見たら「姉が微笑みながら撫でて、撫でられて気持ちよさそうにしてる妹。」みたいな微笑ましい光景だろう。


でも、言っておくが、この二人は姉妹ではない。それ以前にサクラは男である。注意してほしい。




くぅ〜。


サフィアのお腹が空腹の鐘を鳴らす。


「あぅ…///」


どうやら恥ずかしいらしく、顔を赤くしたサフィアはサクラのお腹に顔をさらに埋めた。

「朝食にしようか。」

「うんっ!」


サクラの問い掛けに顔を上げて、笑顔で答えるサフィア。


サクラはサフィアをもう一度撫でると、サフィアと一緒に洗面所を後にした。



なんか、無理やり感が否めませんね…トホホ


誤字などがありましたら気軽にどぞっ!

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